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お気に入りの紙とリボンで

2021年02月08日

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お気に入りの紙とリボンで
(10号「贈り物をすてきに包めたら 後編」)

2号にわたってお届けするラッピングの特集の、
後半となる10号では、「プレゼント包装といえばコレ!」という基本の
キャラメル包みとリボンの結び方を中心にご紹介します。

かわいらしい柄の包装紙にきれいに結ばれたリボン。
すてきに包まれた贈り物をもらうと、とても贅沢な気持ちになりませんか?
贈り物のうれしさはもちろんのこと、
自分のために丁寧に包まれた品を手にすると、
贈る人の想いがじんわり心にしみ入る気がします。

企画を進めていくうちに、
包装紙の色や柄、リボンの幅や素材の違い、組み合わせによって
仕上がりのイメージが異なり、ラッピングの奥深さを知りました。
誌面では、色とりどりの包装紙とリボンの組み合わせを紹介しています。
ぜひ、色々な紙やリボンを使って、お気に入りの組み合わせを見つけてみてください。

コロナ禍で、気軽に会えない大切な人へ、
それぞれの想いを込めて、贈り物を包んでみてはいかがでしょうか。(担当:山崎)

前編の記事紹介は下記のリンクよりお読みいただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/blog/editorsnote/20201203

気持ちをカードに込めて

2021年02月05日

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気持ちをカードに込めて
(10号「ちぎり絵のグリーティングカード」)

離れて住む家族や友人に、なかなか会えない状況が続いていますね。
そんななか、私は手紙やカードを送ることが増えたように思います。
たまには、何か気のきいた絵の一つでも添えたいのですが、
絵心がないので、それは難しい……。
何かいい方法はないかなと考えていた時に、
絵本作家のMiyaUni(ミヤ・ウニ)さんのちぎり絵を目にしました。

小さくちぎった色紙や折り紙を使って描かれた、
鳥やちょうちょ、花や虹、船——。
色とりどりの紙が連なった、
愛らしいちぎり絵にふっと心が和み、
「こんな絵をカードに描いて送ることができたら」と感じました。

誌面では、ちぎって貼る手順やコツとともに、
それぞれの図案もご紹介しているので、
拡大コピーして、お好きな絵を描いてみてください。

次はどの色を貼ろうかな、と手を動かすひとときは楽しいものですし、
思ったよりもやさしく作れます。
描く大きさにもよりますが、1時間ちょっとで出来上がります。

写真の丸くうずくまった猫のカードは、
家にあった包装紙や紙袋をちぎって作ってみました。
しばらく会っていない猫好きの友人に送ったところ、
とても喜んでくれて、棚に飾ってくれているそうです。(担当:井田)

自分の「好き」を大切に

2021年02月04日

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自分の「好き」を大切に
(10号「布のかけら、花の途中」)

「このアップリケ、気になりませんか?」と、ライターの渡辺さんからいただいた写真に、一目で心奪われてしまいました。
植物や蝶をモチーフにしたそのアップリケからは、とても純粋な、作り手の想いが伝わってきました。
どんな方が作っているんだろう。細かいところはどうなっているんだろう。実際に見てみたい……!

そうしてはじまったこの企画。作者の則武有里(のりたけ・ゆり)さんにお話を伺うと、
「誰に見せるつもりもなく、自分だけの楽しみとして、10年間少しずつ作りためたものなんです。
だから今でも、人に見られるのが不思議」と、はにかみます。

古い布が大好きで、どんな小さなはぎれも捨てられないという有里さん。
家族が家を留守にして、一人きりになるような時間に、はぎれでアップリケを作ります。
それは彼女にとって、忙しい日々の中で、自分に向き合う大事な時間です。

有里さんのアップリケを見ていると、私も、どうしても捨てられない紙きれや、はぎれを思い浮かべました。
こんな役に立たないもの、いつまで持ってるんだ、と自分に呆れていたけれど、
自分の好きなものや、その気持ちを、ずっと大事にしていいんだ。そんなふうに、背中を押してもらったように感じました。
そして、他人の目は気にせず、自分自身のためだけに何かを作りたい、と胸がたぎるのです。

ほかにも、有里さんのお話には、はっとすることがたくさん。
アップリケの大きな写真を載せていますので、よーく目をこらして、有里さんの宝物を眺めてみてくださいね。(担当:平田)

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「また作ろう」と思えるプリン

2021年02月02日

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「また作ろう」と思えるプリン
(10号「なっちゃんの大きくつくるプリン」)

長引くステイホームの期間中、「お菓子でも作ろうかな」という気持ちになった方、
きっと多いと思います。
そんな方にぜひ作っていただきたいのが、このプリン。わざわざプリン容器を買わずとも、家にある耐熱容器ひとつで気軽に作れます。しかも、ひと口食べれば「う〜ん」と唸るほどのおいしさ。
濃厚な玉子のコク、バニラビーンズの香り、しっかり苦いカラメルソースが一体となった、記憶に残る味わいなのです。
試作を担当した、お菓子作り初心者の編集部員Sは、「簡単でこれだけおいしいと、また作ろう、と思える」という言葉を残しました。

今回レシピを教えてくださったのは、
東京・深大寺で「dans la nature(ダン・ラ・ナチュール)」という
小さな焼き菓子屋さんを営む千葉奈津絵さん。
「子どもに、お店に並ばない、『おうちだけの手作りお菓子』の思い出を作ってあげたい」という思いで作り始め、今では家族だけでなく、友人たちのためにも作る機会が多いという大切なレシピを、惜しみなく公開してくださいました。

実はもともと、千葉さんの友人である編集部員のひとりが、このプリンの大ファンでした。
コロナ禍で千葉さん宅に遊びに行けなくなり、このプリンを一緒に食べた時間がいかに幸せだったか、何度も思いを馳せたのだそう。

みなさんも千葉さんのように、プリンをお皿に「パカッ」とひっくり返す瞬間を楽しんでくださいね。この大きなプリンを、大切な人たちと分かち合う時間が、早く訪れますように。(担当:田島)

いびつでヘンテコで、愛しい家

2021年02月01日

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いびつでヘンテコで、愛しい家
(10号「ミロコマチコさんの家づくり」)

本誌の連載「ミロコマチコ奄美大島新聞」第7回(8号)で、
家づくりの様子を綴ってくれた、画家のミロコマチコさん。
「私たちらしく、いびつでヘンテコにできて、
ますます愛しい家になってきている」

そのおおらかで楽しそうな様子に惹かれ、
ミロコさんと親交のある写真家・平野太呂さんとともに、
奄美大島を訪ねました。

家づくりの現場に到着すると、
床に所狭しと積まれたたくさんのコンパネにびっくり。
さらに、引き戸を開けるとカニがいてびっくり。
(連載でも書いていたように、
目の前の海から、カニがやってくるのだそうです)

驚いてばかりのこちらをよそに、
ミロコさんと夫のマサシさんは、
キッチンを設置する壁にタイルを貼ったり、
コンパネで収納を作ったり、
時々お互いの様子を覗いておしゃべりしながら、
和やかに作業を進めていきます。

ここは、もともと二人にとって地縁のない土地でしたが、
次第に島の人との交流も生まれ、
今では、作業中に集落の人が不意に訪ねてくることもよくあるのだとか。

ミロコさんとマサシさんの様子を見ていると、
知らない土地で暮らし始めることも、家を自分たちで作ることも
なんだか特別なことではないような気がしてきて、
不思議と元気が湧いてきました。

年始にミロコさんから届いたメールによると、
無事に家づくりが終わり、新居へ引っ越したとのこと。
でもきっと、ちょっとずつ手を加えたり、屋根を塗り替えたり、
二人の家づくりはまだまだ続くんだろうな。
そんな気がしています。(担当:井田)

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本誌の連載中の「ミロコマチコ奄美大島新聞」

アバウトでも、おいしくできますよ

2021年01月29日

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アバウトでも、おいしくできますよ
(10号「長尾智子のおいしい干し野菜」)

長尾智子さんからそう伺ったのは、確か、昨年の初夏頃だったような気がします。その頃に長尾さんがアトリエのベランダに干していたのは、きゅうり、ズッキーニ、ミニトマトなど。
真似をして、きゅうりを3本ほど斜めうす切りにし、平ザルにのせてベランダに置いてみました。4時間後くらいだったか、夕方に取り込んで試しにひと切れ食べてみると、表面は乾いて、中はみずみずしく、ちょっと歯ごたえのある食感です。
その晩、その「セミドライきゅうり」をオリーブ油と白ワインビネガーで和えて、塩をぱらり、黒コショーをカリカリ挽きかけると、ただそれだけで、なんだかとってもおいしい。ふだんなら、「塩もみきゅうり」でつくるような料理ですが、それよりもコリコリと食感がよくて、箸が止まらなくなりました。
野菜を干すというと、「自家製」なんて言葉も浮かびますが、これは気楽で、なにより、おいしくていいなあ。
そんな実感から、今回は冬野菜バージョンで、長尾さんにお料理を教えていただくことにしました。
メインとなる野菜は、大根、きのこ、白菜。干すと、うま味が凝縮して、ごくシンプルな調理でもおいしく仕上がりますし、カサが減ってたくさん食べられるのもいいところです。
たとえば「干し白菜とベーコンの塩炒め」は、水分が抜けた白菜だからこそつくれるひと皿。オリーブ油でこんがり焼いた白菜とベーコン、味つけはにんにくと塩だけですが、この取り合わせがおいしい!
そのほか、玉ねぎ、紫玉ねぎ、カリフラワー、かぶの葉、柿なども、「干したからこその味わい」を生かした、料理のヒントをたくさん紹介しています。

在宅ワークの日々、昼食をつくるついでに、半端に余っていた白菜や大根を切ったり、きのこをほぐしたりして、平ザルにのせてベランダへ。夕方に取り込んで、水分をもう少しとばしたいな、というときは、そのまま室内に数時間置いておく。「下ごしらえの延長」みたいな干し野菜を、気づけば、ずいぶん活用しています。
最近、ぐんと冷え込んだ晩には、「干し大根と玉ねぎのスープ煮」と「ミックス干しきのことじゃがいものオーブン焼き」をつくりました。
アバウトに干せばいい、けれどもしっかりおいしい干し野菜の料理、おすすめです。(担当:北川)

病気になったら、仕事をやめる?

2021年01月28日

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病気になったら、仕事をやめる?
(10号「病とともに生きる」)

もしも今、自分に大きな病気が見つかったらどうするだろうと考えることがあります。

きっと第一に、治療について心配し、そしてそれとほとんど同時に、仕事についても考えるとも思います。
「ああ、なんとかして、治療しながら働き続けられないか」と。
生きるためにはお金がいりますし、それに私は仕事が好きで、働いている自分も好きですから。

この企画は、自分が大きな病気にかかった時、いかに治療と仕事を両立するか、また、同僚などが病気にかかった時に、どのように関わり、サポートできるかについて考えるものです。
がんを治療しながら転職活動をし、現在フルタイムで働いている方。脳梗塞の後遺症を抱えながら自営業を続けている方。
お二方にお話を伺うとともに、治療と仕事の両立支援の専門家に、当事者が使える制度や、病気の従業員に対する企業のあり方などについて教えていただきました。
お話をお伺いした専門家の先生によれば、ひと昔前までは「病気になったら仕事をやめ、治るまで治療に専念する」というのが一般的な考え方だったのだそうです。

「治るまで治療に専念」。

この言葉を思う時、私の頭の中に、「病気(治るまで)」と「健康(治ったら)」の間に、線がビシッと引かれているような、そんなイメージが浮かびます。太くて立派な線が、両者をきっぱり分けているのです。
けれど、少し考えれば分かるように、現実にはそんな線は存在しません。
「今日元気だったから明日も健康」という保証はどこにもありませんし、「今日まで病気だったけど、治療したから明日から健康」なんてそんなふうに簡単にもいきません。「病気」と「健康」の境界はもっと不確かで、曖昧なものではないかと思います。

今回、記事の制作にあたり、病気を抱えながら働いている方のお話をたくさん伺いました。
けれど、多くの方が「病気を公表するのはちょっと」と躊躇われ、掲載は叶いませんでした。「病気があると周囲に分かると、仕事の取引に差し支えるので」とおっしゃった方もいました。
そこに、治療しながら働くことの難しさを垣間見たように思いますし、「私は、その難しさを我がこととして真に想像できていなかったのではないか」と反省もしました。

病気を抱えながら働く意味。そのために必要なこと、できること。
私たちみんなの問題として、お読みいただけたらと願っています。(担当:島崎)

※今号の目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/honshi/c5_010.html

天ぷら上手への道は、さつまいもから

2021年01月27日

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天ぷら上手への道は、さつまいもから
(10号「初心者歓迎! 天ぷら教室」)

「天ぷらが、どうしてもうまくつくれません」

家庭料理家の本田明子さんに、そんな相談をした際、
「まず、さつまいもの天ぷらから練習してみたら?」という
思いもよらない言葉が返ってきたところから、この記事作りが始まりました。

本田さんによると、さつまいもは水分が少ないため、天ぷら初心者でも失敗なく揚げられる素材なのだそう。
しかも、天ぷらにするからこそおいしくなる素材なのだとも。

誌面では、さつまいもを4〜5センチの厚さに切り、
弱火でじっくり揚げることで、
素材が持つ甘さと食感を最大限に引き出す方法を教えていただきました。
お皿にどどんと盛り付けた分厚いさつまいもの天ぷらは、見た目のインパクトも大。
試作をしたところ、我が家の子どもたちからも「大きい!」「すごい!」と歓声が上がりました。
天ぷらをつくるのが苦手という方はもちろん、そうでない方にもぜひ試していただきたい一品です。

さつまいもの天ぷらで自信をつけたら、
葉物野菜、きのこ、エビ、鶏など、他の素材にも挑戦してみてください。
下ごしらえの方法や、揚げ方のちょっとしたコツを、写真でわかりやすくお伝えしています。
サクッとカラッとおいしい天ぷらが揚がることに、きっと驚くはずです。(担当:田村)

※今号の目次は下記のリンクよりご覧ください。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/honshi/c5_010.html

愛子さんの温かいメッセージが詰まっています。

2021年01月26日

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愛子さんの温かいメッセージが詰まっています。
(10号「迷惑かけたっていいじゃない」)

本誌8号の連載「子育ての悩み相談室」で、横浜市で自主幼稚園「りんごの木」を運営されている保育者の柴田愛子さんのもとへ取材に伺いました。
園の子どもたちから「愛子さん」「愛子ちゃん」と親しまれ、愛子さんのまわりにはいつも人がたくさん集まっているのがとても印象的でした。

ルールのほとんどないこの園では、子どもたちはキラキラと目を輝かせて、自分がやりたいことをして過ごしていました。階段からジャンプしたって、壁に絵を描いたって怒られません。(子どもたちの帰宅後に保育者たちがきれいにします)みんなで同じことをしなきゃいけない、なんてこともないのです。

このときの子どもたちのいきいきとした様子と、愛子さんの笑顔とホッとする言葉が心に残り、今回改めて取材をお願いしました。(ちなみに、8号の取材内容は、「きょうだいげんか」でした。ぜひこちらも併せて読んでいただきたいです)

今回の記事では、「りんごの木」の少し変わった特徴を紹介しながら、愛子さんから大人の私たちへ向けたメッセージを
たくさん詰め込んでいます。
タイトルに掲げた、「迷惑かけたっていいじゃない」も、そのメッセージのうちのひとつです。

子育てする人に限らず、今多くの人たちが「まわりに迷惑をかけないように」必死に暮らし、そのせいで苦しくなっているのではないかと感じます。
会いたい人に会えない今だからこそ、人と関わりあって、迷惑をかけて、かけられて、助け合って生きていきたいものです。

多くの方に、愛子さんのメッセージが届きますように。(担当:小林)

※今号の目次は下記のリンクよりご覧いただけます。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/honshi/c5_010.html

【朝日新聞掲載、武田砂鉄さんの書評――『花森安治選集 全3巻』】

2021年01月23日

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今朝の朝日新聞掲載の「好書好日」に、『花森安治選集 全3巻』の書評が掲載されました。評者は本誌連載「今日拾った言葉たち」でもお馴染みのライター・武田砂鉄さんです。
全文をこちらで読むことができます。

https://book.asahi.com/article/14128399

「雑誌『暮しの手帖』初代編集長が残した言葉をまとめた三冊の選集に共通するのは、個人の営みから社会を見渡す目線、そして、権力者が個人の営みを奪おうとするのを、もう二度と許さない決意だ。」とし、
この三冊の魅力をわかりやすく伝えてくださっています。

もう二度と戦争をしない世の中に、「暮し」が何よりも大切な世の中であってほしい。
花森の文章には、『暮しの手帖』の出版理念でもあるこの思いが貫かれています。
敗戦から激動の昭和を生き、庶民の「暮し」に寄り添いながら、一貫して庶民の味方であった花森が見つめていたこと。
ほんとうの美しさとはなにか、ほんとうの幸福とはなにか、国とはなにか……。
そして、自分たちの暮しは自分たちで守ろうと、ときに鬼気迫る筆致で訴えかけます。
まるでいまの日本の現状と展望を危惧して語っているかのようです。

「時系列ではなく、『美しく着ることは、美しく暮すこと』『ある日本人の暮し』『ぼくらは二度とだまされない』と題した三つのカテゴリーに分けて編まれており、この整理によって、花森の思いが再びの強度を宿して放たれている。」
と武田さんが書かれているように、
この三冊は、それぞれ「美学」、「愛」、「怒り」のテーマを持たせ、ひとつひとつが粒立ちした巻としてまとめ上げました。
そして、装釘は花森安治の装画を用い、函入り上製の、愛蔵したいと思っていただける本作りをしています。

花森がこの世を去ったのは1978年です。
私も現編集部員のみなも、残念ながら花森には一度も会ったことがありません。
そこで今回の編集にあたっては、彼が書き手として、また編集者として、
何にこだわり、何を大切にしてきたかを知るために、ご遺族や社のOB、ならびに花森を長年研究していらっしゃる世田谷美術館の学芸員・矢野進さんにご協力をいただきました。
みなさんのアドバイスをいただくなかでしみじみと感じたのは、
「花森安治は今も生きている」ということでした。
彼の提言やその人間性は、今もなお、みなさんの胸に生き生きと宿り、ことあれば導き、心に灯をともし続けているのです。

庶民のあたりまえの暮しを守るため、一本のペンを武器に挑んだ檄文の数々は、現代日本にも通じる魂の叫びでもあります。
世の中がますます不透明、不安定になっている今、花森の言葉には、自分がこれからどう生きるかを考えるヒントが数多く詰まっています。
この選集で花森という人物を読み尽くしてみてください。

「一難去って、また一難とは、このことだろう。
 やっと、オリンピックさわぎがおさまったとおもったら、こんどは万国博覧会だという。まったく、なんちゅうこっちゃ、である。」
――(3巻収録「お茶でも入れて11/運動会がすんだら博覧会」(1965年)より)

1964年開催の「東京オリンピック」と1970年の「大阪万博」を揶揄したこの一編は、とくに今刺さります。
ぜひ、書店でお買い求めください。(担当:村上)

そして、お知らせです!
◎神戸ゆかりの美術館「花森安治『暮しの手帖』の絵と神戸」展開催中

花森が描いた『暮しの手帖』の表紙原画を、関西で初めてお目にかける展覧会です。神戸は花森が生まれ育った街でもあり、開放的な港町の気風や、旧居留地から入る外国文化は花森の美的感覚に大きな影響を与えています。
会期は3月14日まで。
館内のショップでは、暮しの手帖社の書籍や、花森関連グッズも多数販売しています。
お近くの方は、ぜひお運びください。

花森安治『暮しの手帖』の絵と神戸
会期:2020年12月19日(土)〜2021年3月14日(日)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)
会場:神戸ゆかりの美術館

詳細は、下記の神戸ゆかりの美術館公式サイトにてご確認ください。
https://www.city.kobe.lg.jp/a45010/kanko/bunka/bunkashisetsu/yukarimuseum/tenrankai/index.html

年末に、来し方行く末を思う

2020年12月27日

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9月下旬に刊行した『いつもいいことさがし3』。小児科医、細谷亮太先生が『暮しの手帖』に1997年から昨年まで23年連載したエッセイから、後半8年の50編中37篇を選りすぐってまとめたもので、63〜71歳の思いが綴られています。
細谷先生は、臨床の現場を第一に、医師になりたての頃は不治の病であった小児がんの8割が完治するようになった現在まで、子どもたちに病気を告知し、一緒に病気と闘ってきました。
そんな先生も、年齢を重ねるにつれて、後輩を育てる仕事や、病を抱えた子どもたちと家族の居場所をつくる仕事などが増えてきました。医師に限らず、誰しも、若いころと仕事の仕方や内容が変わってくる時期がやってきます。
連載当初から担当をしていた私も、63歳になりました。入社してからずっと、この編集部で過ごしてきましたが、40年以上の間には、手書きがワープロ、パソコンへの入力になり、電卓、手書きのグラフからエクセルへ。編集部内でしていたレイアウトもデザイナーに依頼し、写真はフィルムからデジタルになりました。若いときには想像もしなかったことが、待っていると実感しています。でも、やってきたことの中には応用できるものもあるはず、人間は一人一人違い、得意不得意がある、助け合っていくことができるはず、そう考えて日々過ごしています。
本書の一節
——亡くなっていった子ども達、その家族が私に教えてくれたことはいっぱいあります。その一番目は、人生で大切なものは絶対に金銭や経済ではないのだということ。次に、その人が生きる上で拠り所としていたもの、子どもならばお母さんやお父さんの存在、おとなならばその人なりの哲学や思想の他に、宗教がとても大きな力を持つのだということ。そして人は生きてきたように死ぬのだということの三つです。——
宗教は、キリスト教や仏教、イスラム教などに限らず、何か祈りたくなる大きなもの、いつも見ていてくれると感じるものでありそうです。
コロナ禍で自宅にいる期間が増えた今、自らの来し方行く末や、拠り所となる大切なもののことを『いつもいいことさがし3』とともに、ゆっくり考えてみませんか。(担当:高野)

対話が暮らしを変えていく【『わが家の家事シェア』3章 いつだって、関係は変えられる。】

2020年12月26日

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暮しの手帖別冊『わが家の家事シェア』から、「3章 いつだって、関係は変えられる。」をご紹介します。
この章では、長年の勤めを終えて退職したり、病気を患ったり……、あることがきっかけで家事のバランスを見直した2つの家庭を取材しました。

1つ目の家庭は、山中とみこさん(66歳・服飾デザイナー)と山中利充さん(72歳・元会社員)。
利充さんは団塊世代の猛烈サラリーマンで、長年、一切の家事を妻に任せて働きました。一時期は月の残業が180時間を超え、「ほとんど家にいなかった」といいます。とみこさんは、専業主婦としてふたりの男児の子育てと家事をしていました。それでも「いつかは好きな仕事に就きたい」という気持ちを持ち続け、40代の終わり頃、少しずつ、洋服のデザインを始めました。それぞれの役割に懸命だった夫婦には、夫が家事をするという考えはありませんでした。ところが、利充さんが定年を迎える頃から、とみこさんの仕事が忙しくなり、夫は家に、妻は仕事に——とライフスタイルが逆転。自分の茶碗を洗うことから、1つずつ家事バランスを見直したというエピソードをご紹介します。

2つ目の家庭は柏木美紀子さん(73歳・主婦)と柏木 博さん(74歳・デザイン評論家)。
博さんは3年前に大学を定年退職後、妻に任せてきた家事に自然に関わるようになりました。「ルールを決めすぎると、家庭ではなくて工場のようになってしまう。その都度、想像力を働かせて手を動かせばいい」と博さん。そう考えた理由を、自身の病気と関連付けて話してくださいました。
「これから自由時間が増えるなと思っていた矢先、僕にがんが見つかりました。抗がん剤治療の副作用で足の痺れや冷えが今も続いています。その痛みは誰にもわかりようがないんです。誰かと衝突するのはたいがい、なぜ相手はわかってくれないのか、と思うから。でも、わかりあえないことっていくらでもあるし、何でもわかってもらえると思うのはわがままだ、ということを覚えておかないと。わからないことを前提に、相手の気持ちや立場を『読み取る』想像力を働かせるんです」。

家事分担の在り方のみならず、「人と共に生きるってどういうこと?」ということを考えさせられるエピソードが満載の本です。
年末年始、ぜひこの本を読みながら、あなたの家庭のこれまでとこれからについて話してみていただけたら嬉しいです。
(担当:長谷川)

この本詳細は下記のリンクよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/life-style_survey_report/


暮しの手帖社 今日の編集部