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ラジオとわたしの特別な関係

2024年02月06日

ラジオとわたしの特別な関係
(28号「ラジオは友だち」)

家にいる時間が増えたこの数年、ラジオを聞く人が増えた、という話を耳にしました。
私もその一人で、ある日、本当に久しぶりにラジオアプリで聞いてみると、たわいもないおしゃべりなのに、妙に落ち着く。常にラジオがついている家で育ったこともあり、そういえばラジオ、好きだったなあと思い出しました。

アプリなどを使って、自分の聞きたい時間に聞きたい番組を聞けるようになった、昨今のラジオライフ。ラジオがお好きな方々に、ラジオとの出合いや思い出を語っていただいたのが、こちらの企画です。

ご登場いただいたのは、ジョン・カビラさん、黒沢かずこさん、いとうせいこうさん、桂二葉さん、後藤繁榮さん、瀧波ユカリさん、秀島史香さん、山口晃さん、そして佐藤雅彦さんの9名。

取材を通して感じたのは、ラジオの向こうには、まぎれもなく人がいる、ということです。どなたもラジオから伝わる人柄や声、音楽に魅せられていて、だからそれについて語るときも自然と生き生きとしたり、懐かしんだり。

思い出のほか、「今おすすめの番組」についても伺っています。
ご無沙汰という方も、久しぶりに聞いてみませんか。(担当:佐々木)

漆器を愛するお二人に聞きました

2024年02月05日

漆器を愛するお二人に聞きました
(28号「漆器を使ってみませんか?」)

以前、日野明子さんの連載「あれやこれや、道具の話」を担当していた時、「漆器に盛りつけると、ごはんやおかずがおいしそうに見える」「漆器は手触りがいいから、洗うのも楽しい」など、日野さんがたびたび漆器について話されるのを聞いていました。いつか使ってみたいなあと思いながらも、決して安くはなく、食洗機に入れられないことも気にかかり、宝の持ち腐れになりそうで購入には至らないままでした。

そんな折、漆器を扱うギャラリー「スペースたかもり」主宰の髙森寛子さんと日野さんが、漆器の産地へ旅行に行かれたと聞き、その様子を尋ねてみました。すると、「漆器のこととなると全然話が尽きなくて、二人でかなり盛り上がりましたよ」と日野さん。一体、どんな話で盛り上がったんだろう。漆器の世界に一気に興味がわいてきて、髙森さんと日野さんに漆器について話してもらったら、私のように使ったことのない人にもその魅力を伝えられるのではないかと考えました。

この特集では、お二人がすすめる漆器の使い方や選ぶときに気を付けること、簡単な手入れの方法などについてお話を伺いました。また撮影は、お二人が愛用する漆器に料理やお菓子を盛りつけて、日常使いのイメージがわくように工夫しました。みそ汁やうどんなどの何てことない料理がぐんと映えることも、漆器の大きな魅力です。

これまで、漆器は扱いが難しそうだし、自分にはもったいないと考えていた私も、お二人の話を聞くうちに、気軽に自由に使っていいものだと知りました。そして取材後に汁椀とスプーンを手に入れて、毎日手触りや口当たりを楽しみながら使っています。
漆器をこれから使ってみたい方はもちろん、すでに使っている方にも役立つお話がたくさんありますので、ぜひご覧いただけたらうれしいです。

最後になりましたが、本特集に掲載する漆器の多くは、石川県輪島に根ざした作り手によるものです。このたびの能登半島地震で被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。(担当:田村)

春に一歩、近づきますよ

2024年02月02日

春に一歩、近づきますよ
(28号「春待ちキャップを編もう」)

この冬は暖冬と言われていますが、それでもぴゅーっと吹く北風には体が縮こまりますね。けれども、陽ざしはまぶしく、春の訪れを感じる時もあります。そんないま、みなさんに身に着けてほしいのが、今号でご紹介する「春待ちキャップ」です。
この帽子は、去年のいまごろ、あみもの作家の那須早苗さんがモヘアの毛糸を眺めていて、「こんな帽子がほしい」と思いついたもの。初心者でも編めるシンプルな形ですが、モヘヤのふんわりと軽いかぶり心地で、しっかり暖かいのがうれしいところです。今回使ったモヘヤ糸は鮮やかな色が豊富で、暗くなりがちな冬の装いのポイントにもなりますから、糸選びも楽しいものです。
さらに、覚えておくと便利な「マジックループ」での編み方もご紹介しています。思い立って編み始めたらすぐ完成するので、この冬最後の編みものとして、ぜひ挑戦してみてください。(担当:平田)

家族のために、そして自分のために

2024年02月01日

家族のために、そして自分のために
(28号「家族が認知症になったら」)

「実の親のこととなると、なかなかうまくいかなくて」
これは、認知症のお母さまと暮らしている、ある介護職に就いている方が、ふともらした言葉です。
他人ならばさりげない声かけができるのに、家族にはつい厳しい伝え方になってしまう。家族だからこそ、難しい。介護は特に、そんなふうに感じる場面が多いかもしれません。
この企画では、認知症の親の介護と向き合っている2組のご家族のほか、数多くの現場に携わってきたケアマネジャーとホームヘルパー、そして、当事者や家族が安心して相談できるような取り組みを行っている方々にお話を伺いました。
取材先でたびたび耳にしたのは、「現場の人の力を借りてほしい」「家に閉じこもらないで、外の人を頼ってほしい」という言葉です。
家族のあり方がそれぞれ違うように、介護のかたちもさまざま。ひとつの正解はありませんが、家の外に目を向けると、たくさんの手が差し伸べられているのだということに、取材を通して気づきました。
今、まさに介護と向き合っている方にも、今後のために知っておきたいという方にも、このページが一助となることを願っています。(担当:井田)

自分の暮らしは自分で作る

2024年01月31日

自分の暮らしは自分で作る
(28号「自分ルールでいい」)

みなさんは、いまの暮らし方に満足していますか? 理想の暮らしとはほど遠い、と嘆く方もいらっしゃるかもしれません。では、あなたの「理想の暮らし」って、具体的にどんなものでしょう? 
今回の企画は、生活研究家の阿部絢子さんに掃除法を取材した際のやりとりから生まれました。
「阿部さんはふだん、どのように掃除をしていらっしゃるのですか?」
「ホコリを見かけたら、すぐに手でつまんで、ごみ箱にポイ! だから掃除機は頻繁にかけませんよ」
「掃除機をかける目安はないんですか?」
「そんなの、自分が気になったときよ! 一人ひとりの暮らしは違うでしょ。だから自分で決めたらいいのよ」
その言葉に衝撃を受けました。「掃除機は、何日に一度はかけるべき」などの答えを私は期待していたのです。けれども確かに、阿部さんがおっしゃる通り、家の作りや家族構成によって、それぞれ違うはず。人と違っても、自分が心地よいと感じればそれでいいと、阿部さんはきっぱり言います。
聞けば阿部さんは、パッと買ったマンションに収納が少なくて悩んだ経験から、自分の性格や理想とする暮らしをとことん見つめ直し、こつこつと整えてきたそうです。「掃除が嫌いだから、楽にできる工夫を重ねる」「人と集うことが好きだから、大きな座卓は譲れない」。そんな阿部さんの、これまでの試行錯誤や、家事や生き方の指針についてたっぷり語っていただきました。阿部さんの経験を参考に、あなたにとっての暮らしの「自分ルール」を考えてみませんか?(担当:平田)

落としブタで煮ものが変わる

2024年01月30日

落としブタで煮ものが変わる
(28号「ひと味違う 煮もののコツ」)

一昨年、23号「季節を味わう 和のおかず」の取材で、日本料理店「てのしま」の林亮平さんを訪ねたときのこと。紹介するメニューを相談しているうちに、木製の落としブタのことが話題にのぼりました。「持っていない場合は、アルミホイルで代用してもいいですか?」そんなふうに私が尋ねたのかもしれません。林さんの口調が一気に熱を帯びて、「木製の落としブタには適度な重さがあるから、煮崩れるのを防いだり、煮汁を対流させて味を均一に含ませることができる。木製の落としブタを使う理由があるんですよ」ときっぱり。それまで、なぜ煮ものに落としブタを使うのかを深く考えたこともなかった私は、衝撃を受けました。
そして、落としブタについて、煮ものについて、林さんにもっと詳しく教えてほしいと思ったことが、今回の企画の始まりになりました。

この企画では、落としブタのほかにも、煮ものをおいしく、見た目にも美しく作るためのコツをご紹介しています。カレイ、サワラ、カキ、イワシなどの魚介類、里いも、かぶ、れんこんなどの野菜を使ったいろいろな煮ものが、コツを実践することで驚くほど簡単においしく作れますので、ぜひお試しください。
木製の落としブタをお持ちでない方は、この機会にお求めいただくのはいかがでしょうか。お近くの金物屋さんや百貨店などで、1000円前後で購入できますよ。使ってみると、きっと林さんの言葉の意味を実感していただけると思います。(担当:田村)

大人気企画の第二弾です

2024年01月29日

大人気企画の第二弾です
(28号「新・塩豚のおかず」)

困ったときの救世主となる「塩豚」。今も冷蔵庫に仕込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

4世紀93号(2018年)にて、「塩豚のおそうざい」としてさまざまなレシピを紹介しました。わたしもそんな塩豚に助けられている一人ですが、編集部内から「もっといろんな塩豚レシピを知りたい」という声があがり、第二弾が立ち上がりました。

今回ご紹介するのは、料理研究家の荻野恭子さんによる、〝荻野流〟塩豚レシピ。塩だけではなく砂糖も合わせてすり込むことで、塩の浸透力を高め、しっとりと発色よく仕上がります。また、荻野さんご自身がだんだんとかたまり肉を買わなくなってきていることから、今回は手に入りやすい「厚切り肉」と庶民の味方「切り落とし肉」を塩豚に。中華、洋食、エスニック料理に展開していきます。

最初にどーんと登場するのは、塩豚のシュウマイです。うま味たっぷりの塩豚ですから、タネに調味料は不要。切り落とし肉をたたいて、玉ねぎのみじん切りと合わせて包むだけ。たたくなんて手間じゃない? などと言わず、一度お試しください。歯ごたえのある豚肉の食感がくせになり、もうひき肉のシュウマイにはもどれなくなるかも……。

同じタネと残りのシュウマイの皮で作る、揚げワンタンもご紹介します。同じ材料と思えない仕上がりで、こちらはおつまみにもおやつにもぴったりのひと品です。

そのほかにも、塩豚と大根の炒めもの、塩麻婆豆腐、ポトフにリエット、カレーまで、塩豚のうま味を最大限に活用した8品をご紹介します。(担当:小林)

手の上の、小さな白鳥

2024年01月26日

手の上の、小さな白鳥
(28号「夢のスワンシュー」)

白鳥の姿をした、スワンのシュークリームをご存じでしょうか。思わず笑みがこぼれる、なんとも愛らしいお菓子です。繊細で、パティシエのなせる技だと思っていましたが、なんと、家庭でも手作りすることができるのです。
今回、菓子研究家のいがらしろみさんに、作り方を教えていただきました。

「コンビニでもシュークリームが買える時代だけれど、手作りのおいしさってありますよね」と、いがらしさん。撮影では、丸い尾がアクセントのスワンたちが次々に誕生し、その可愛いさとおいしさに歓声が上がりました。輪を描くように並べると、なんだか北国の湖が目に浮かんでくるようです。
意外にもむずかしいことはなく、手軽に作れますし、小ぶりなので2つくらいは食べてしまいます。
家庭で作るお菓子には、市販品にはない大らかさ、温もりがあるように感じます。きっとお子さんにも喜ばれることでしょう。
ぜひ、たくさんの方に、楽しんで作っていただけたらうれしいです。(担当:佐藤)

普通の暮らしのありがたさ

2024年01月25日

普通の暮らしのありがたさ
――編集長より、最新号発売のご挨拶

こんにちは、北川です。
早いもので、すでに1月も終盤です。みなさまも、お正月の温もりを胸に、日々の家事や仕事にいそしんでいらっしゃるのかな、と想像します。
私は大晦日の午前より、石川県珠洲市に出かけていました。22号の特集記事「湯宿さか本 坂本菜の花さん 普通をしっかりやっていく」を、ご記憶の方もいらっしゃるでしょうか。珠洲の里山に佇むこのお宿では、年末年始をお客さんたちと賑やかに過ごすのが恒例とのことで、そこに私も混ぜていただいたのです。
各地から集まった人びとと坂本さん一家、総勢20人あまりで、大掃除、餅つき、グループに分かれて蕎麦打ち大会。元旦は、お節を盛りつけていただき、海辺の「須須神社」へ初詣に出かけました。
あの地震が起こったのは、夕食前にみなでくつろいでいたときのことです。立っていられず、ただうずくまって頭をかばうだけ。近くにいた女性は、9歳の少年をしっかり抱き抱えてうずくまっていました。幸い、建物は窓ガラス一枚割れず、けが人も出ず。しかし、翌日に周辺を歩いてみると、半壊した家も多く、アスファルトには大きな地割れが走っていました。
地震当日の夜は、念のために高台にある消防署の駐車場に避難し、初めての車中泊。ここには電気が通っていて、こうこうと光る街灯のそばに車を停めたので、私はその灯りのもとで本を読むことができました。清潔なトイレが使えないストレスや、「いつ帰京できるだろうか」という不安はありましたが、ページにぼんやり浮かぶ言葉を追っている間は、心が静まったものです。

それから数日間の出来事は、最新号巻末の「編集者の手帖」に書きましたので、お読みいただけたら幸いです。人の手で作られた温かな食事をとること、お風呂にゆっくり浸かり、寝床で体を伸ばして眠ること。そんな「普通の暮らし」のありがたさが身に染みましたし、同時に、いまも不自由を強いられている方々のご苦労を思います。
今号では「漆器を使ってみませんか?」という特集記事を組んでおり、ここに掲載した漆器の多くは、輪島に根ざした作り手によるものです。私も幾度か訪れたことのある輪島は、鈍色の民家が建ち並ぶ、慎ましい風景が魅力の街ですが、ご存じのように、今回大きな被害を受けました。
しかしながら、作り手がいて、求める人がいる限り、輪島の漆芸産業は必ずや復興するはずです。被災した方々が一刻も早く、穏やかな暮らしを取り戻せることをお祈りいたします。報道がしだいに下火になっていったとしても、ささやかでも自分ができる支援は何か、考え続けていきたい。そう思います。

ロシアとウクライナの戦いは2年近く続き、昨秋からは、パレスチナのガザ地区で戦争が勃発、子どもをはじめとする民間人の虐殺に対し、日本でも抗議の声が上がっています。一方で、「日本も自国の安全のために、防衛力(抑止力)を高めるべきでは」という意見も聞かれます。他国に攻め込まれないために、威嚇として武器を持っていたほうがいいのでは、といった考えですね。
そんな「いま」の状況を考えたとき、思い浮かんだのは、初代編集長の花森安治が冷戦の時代に書いた「武器をすてよう」でした。この文章は、ちょっと意外なほど呑気な調子で始まり(地球上で暮らすいろんな国の人々のユーモラスな描写)、読者の心を惹きつけておいて、しだいに本題へと切り込んでいくようなつくりとなっています。
訴えていることはごくシンプルで、まさに「武器をすてよう」。いまの時代なら、「お花畑的な思想じゃない?」と笑う人もいるかもしれません。
でも、はたして本当にそうでしょうか。花森は、そんなふうに笑う人も想定して、これを書いたように私には思えるのです。

この文章を今号に載せるにあたり、私たちの大先輩である元編集部員で、花森と20年ほど仕事をした、河津一哉さんに話を伺いました。
花森が「武器をすてよう」を発表したのは、『暮しの手帖』第1世紀97号(1968年)。一冊丸ごと、読者の投稿による「戦争中の暮しの記録」を特集した96号の、翌号でした。96号が大きな反響を呼んだことから、花森はある達成感を抱いて「武器をすてよう」を書いたのではないか、そう河津さんは話します。
しかし、それから数年後、1970年代に入って学生運動が盛んになった頃には、花森は、変わりゆく日本の状況に「苛立ち」を覚えていたように見えたといいます。若い編集部員が戦争にまつわる軽々しい発言をすると、花森はひどく怒り、デモに行きたいというある編集部員には、こんなふうに話したといいます。
「気持ちはわかるが、きみがジャーナリストを志すなら、それよりもまず、ペンの力を磨け。人の心を動かすような文章が書けなければ、ぼくらは押されていってしまうんだぞ」
大きな力に押されていかないために、何を書き残すか。「武器をすてよう」は、やがて改稿のうえ、自撰集『一銭五厘の旗』に収録されました。花森の遺言の一つとも言えるこの文章を、いまこそお読みいただけたら嬉しく思います。

表紙画は、画家の今井麗さんによる「FLOWERS」。ひと足早く、春をお届けいたします。12本の特集記事は、明日より一つずつ、担当者がご紹介しますね。
寒さはこれからが本番です。どうぞご無理のないように、身体を休めながらゆったりとお過ごしください。

『暮しの手帖』編集長 北川史織

良いマッサージのヒントとは

2023年12月14日

良いマッサージのヒントとは
(27号 10分でスッキリほぐします)

いよいよ冬本番ですね。寒さで肩や背中が縮こまり、ガチガチになっていませんか。そんなときに試していただきたいのが、ペアで行うマッサージです。

頭、肩、背中のマッサージや、肩こりなどに有効なツボを教えてくださったのは、目白鍼灸院の柳本真弓院長。「良いマッサージにはコミュニケーションが欠かせない」と柳本さんはおっしゃいます。マッサージをする側は、相手に聞きながら痛いところの有無や気持ちがいい力加減などを確認すること、また、受ける側も率直に希望を伝えると良いのだそうです。そうやってマッサージを進めていくと、不思議なことに、受ける側の感じる心地良さが伝わり、マッサージをする側もリラックスできるのだそう。わたしも家族を相手に試しましたが、お互いになんとも充実した気持ちになりました。

ツボの名前や効能などを覚えなくても、イラストを見ながら一連の流れをやってみるとスッキリほぐれます。約10分とコンパクトな時間設定なので、お風呂上りなどのちょっとした時間にぴったりですよ。年末年始の帰省時に、ふだんは離れて暮らすご家族との親睦を深めるきっかけにしていただけたらうれしいです。(担当:中村)

年末年始におすすめの、和食のご提案です

2023年12月13日

年末年始におすすめの、和食のご提案です
(27号「気負わずに、ハレの日の和食」)

家族や友人など気の置けない人たちと、おいしいものを囲んでゆっくりおしゃべりをするのは、年末年始ならではの楽しみですよね。そのお料理が、シンプルな手順で作れて、気持ちが華やぐようなものなら、なおうれしい……。
そんな思いから、料理家で唎酒師でもある吉田愛さんに、手軽にできる3種の酒肴をはじめ、事前に作っておける牛スジ大根の塩煮込みや、すだちをしぼっていただく和風フライドチキン、〆におすすめのブリしゃぶや炊き込みご飯などを教えていただきました。
どのお料理もとてもおいしいのですが、コトコト煮るだけでできる牛スジ大根の塩煮込みは、澄んだスープが滋味深い味わいで、くり返し作りたくなること間違いなし。
お好みの品を選び、一品くらいずつ出して、のんびり味わう趣向です。年末年始には、誌面でご紹介した順番の通りに作ってみたいなと、今からわくわくしています。肩肘張らずにできるお料理ばかりですので、お試しください。(担当:井田)

地元・浅草の楽しみ

2023年12月12日

地元・浅草の楽しみ
(27号「行事でめぐる浅草暮らし」)

「浅草」と聞いて、何を思い浮かべますか? 浅草寺、雷門、そば屋や和菓子店、花やしきなどがあり、年中賑わう観光地というイメージを持つ方が多いでしょう。そんな浅草に住んでいる写真家のローラン麻奈さんに、日々の暮らしについて綴っていただきました。
「浅草暮らし」というと、いかにも和風な感じがしますが、誌面は本格的な樅の木のクリスマスツリーの写真から始まります。
麻奈さんは、嫁入り道具として、正月のお重と屠蘇器を幼い頃から準備されるような家庭で育ちます。一方、アメリカ好きの父や、フランス人の夫の影響で、様々な国の文化に親しむようになりました。
麻奈さんのご自宅は、戦後、下駄の鼻緒問屋を営んでいたという借家で、和洋折衷の一風変わった造り。洋室にはクリスマスツリーを、和室の床の間には正月の餅花と鏡餅や、雛祭りにはご実家から受け継いだ雛人形を飾ります。
めぐる季節を心待ちにし、行事にちなんだ「食」やしつらえを愉しむ麻奈さんの日常には、和洋の季節のお菓子がふんだんに登場します。食いしん坊の麻奈さんならではの描写も楽しく、読んでいるとお腹がすいてきます。そして、「地元・浅草」を感じられるのでした。(担当:平田)


暮しの手帖社 今日の編集部