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芸術はすべての人のそばに

2023年12月11日

芸術はすべての人のそばに
(27号「彫刻家はしもとみお 彫るために生きる」)

この20年、動物ばかりを彫り続けてきた、彫刻家のはしもとみおさん。本企画では、そのアトリエ兼住まいにお邪魔し、創作するうえで大切にしていることや、芸術を志したきっかけなどについて伺いました。
「暮らし」を大切にしながらも、一日の中心に創作を据えて生きるはしもとさん。彼女は、「芸術は選ばれた人のためのものではない」「創作は芸術家だけに許されたものではない」とも語ります。
取材中、はしもとさんのそばを片時も離れず、ぴったりと寄り添う愛犬・月(つき)君の姿がありました。1人と1匹暮らし。月君に対する、はしもとさんの態度は愛情深くも、「猫(犬?)可愛がり」とはちょっと違って、むしろ「対等」といった方がぴったり。そこに、はしもとさんの動物全般へのまなざしを垣間見たような気がしました。
誌面では、創作風景やアトリエの写真もたっぷりとご紹介しています。部屋のあちこちにたたずむ動物たちの息づかいを感じていただけたらと思います。(担当:島崎)

お茶の時間を豊かにするケーキ

2023年12月08日

お茶の時間を豊かにするケーキ
(27号「サンデーベイクショップのビクトリアケーキ」)
試作するたび、「スポンジがしっとり、きめ細かい」「レモンカードの甘酸っぱさがよく合う」「バタークリームが入るとリッチな味わいになるね」……と感想が飛び交ったのが、今回ご紹介するビクトリアケーキです。
教わったのは、東京は幡ケ谷でイギリス菓子の店「サンデーベイクショップ」を営む、嶋崎かづこさん。嶋崎さんの作る焼き菓子は、小麦粉の豊かな風味をしっかりと感じられて、繰り返し食べたくなる。そんな味わいが、連日行列ができるほどの評判を呼んでいます。
ビクトリアケーキは、イギリスでは紅茶に合わせる定番のケーキ。手軽に作れて、スポンジに挟むジャムなどを変えながら、一年中楽しめるのもよいところです。粉砂糖をかけた姿は愛らしく、おもてなしのシーンにもおすすめですよ。

嶋崎さんに伺うと、しっとりきめ細かなスポンジケーキに仕上げるコツは、混ぜ方にあるとのこと。材料同士がボールの中でぶつかり合って、しっかりとつながるイメージで、大きくゆったり、よくすり混ぜてみてください。力いっぱいガシガシ混ぜると、焼き上がりがパサッと乾いた感じになってしまうそうです。
スポンジに挟むものは、定番の「イチゴジャムとバタークリーム」、甘酸っぱさがスポンジのおいしさを引き立てる「レモンカード」、生クリームとイチゴの「ショートケーキふう」の3種類をご紹介しています。
失敗知らずのこのレシピ、どなたでもおいしく作れますから、冬休みにお子さんと一緒につくるのも楽しい思い出になると思います。年末年始の集まりや、ふだんのお茶の時間にも、紅茶をたっぷり淹れてどうぞ。
(担当:佐々木)

台所は誰がつくるもの?

2023年12月07日

「台所をつくる」と聞くと、どんなことを想像しますか?
図面を描いて、コンロやシンクを選び、資材を組み立てて「造る」。
収納を工夫したり、棚やフックを追加したりして、使いやすく「作り込む」。
どちらも、台所をつくるための大切な仕事です。

たとえば、名建築家たちはいったいどんな台所を「造った」のか、3つの住宅建築を取り上げた企画が「図解 名作台所案内」(P90~95)。

誌面では、3人の名建築家、藤井厚二・前川國男・吉村順三がそれぞれ手がけた台所を紹介しています。
時代も建築家も異なる台所は、まさに三者三様。しかしどの台所にも、まだ見ぬ暮らしを想像しながら、どこにどんなものがあったら便利で、どう動ければ効率が良いのかを考え抜いた痕跡がありました。
図解を描いてくださった画家の塩谷歩波さんが、細かい工夫や意匠まで描き込んでくださっていますので、ぜひご覧ください。

一方で、たとえ同じシステムキッチンであったとしても、よく使い込まれた台所にはそれぞれに個性があります。毎日の生活に合わせて、自然と作り込まれていくからです。
大平一枝さんによるルポルタージュコラム「人生と台所」(P118~125)では、一般家庭の台所を訪ね、そこでどんな人が、どんな思いで暮らしを続けているのかを取材しました。

その他にも、つい買いためてしまいがちな「缶詰」をおいしく食べるレシピや、年末の大掃除に試したい台所掃除の方法など、台所で役立つ記事を掲載しています。

いよいよ師走に入り、街も年末ムードに包まれるこの頃。
このブログを読んでくださっている皆さんも、きっと一年の締めくくりでお忙しいはず。
せわしない日々の合間に、ほんの少しでも暮らしを良い方向に変えられる記事がありますようにと願っています。(担当:山崎)

※詳細はこちらからご覧いただけます。

暮らしのなかのあたたかさ

2023年12月04日

暮らしのなかのあたたかさ
(27号「ヨゼフ・ラダが描く 冬のチェコ」)

ある日、輸入食品店の棚に可愛らしい箱入りのチョコレートが並んでいて、思わず手に取り、見入ってしまいました。小さな四角いチョコレートの包装紙ひとつひとつに、雪の積もった教会、もみの木を抱える男の人、クリスマスの飾りを見上げる子ども、そり遊びをする子どもたち……素朴で楽しそうな人々の暮らしが描かれ、「JOSEF LADA(ヨゼフ・ラダ)」と作家名があります。箱の裏面には「チェコのクリスマス」の過ごし方が紹介されていましたが、その文化は初めて知ることばかりでした。ヨゼフ・ラダとはどんな人? チェコのクリスマスについてもっと知りたいな、と思ったことがこの企画のきっかけとなりました。

ヨゼフ・ラダは1887年生まれ。自然や動物に親しんだ子ども時代の経験や、田舎の伝統的な暮らしを心に置きながら、数多くの作品を描いたチェコの国民的な画家です。二人の娘たちのために考えた黒ねこの物語『ミケシュ』をはじめ、『きつねものがたり』『おばけとかっぱ』などの童話の作家でもあります。
今回、ラダの作品のなかから特に冬の暮らしを感じられる絵をご紹介します。心が和む美しい色彩の絵。その根底には、自然界への敬意や、なにげない暮らしのなかに安心できる確かなものがあるという、強い思いが込められているように感じました。
『Mikeš(ミケシュ) チェコから来た小さなベーカリー』、『小さな絵本美術館』をはじめ、たくさんの方にお力をいただき、ご縁に恵まれて編んだ誌面です。あたたかいラダの絵とともに、チェコのクリスマスの文化をゆっくりお楽しみください。(担当:佐藤)

ふかふかの履き心地をお試しください

2023年12月01日

ふかふかの履き心地をお試しください
(27号「ルームシューズをあの人に」)

寒さが増してきて、編み物が楽しい季節がやってきました。「今年は何を編もうかな?」と考える時間も楽しいですね。そんな編み物好きの方におすすめしたいのが、今号でご紹介している「ルームシューズ」です。
ニットデザイナーのサイチカさんに、「丈夫で暖かく、すてきなデザインのルームシューズを考えてください」とわがままな依頼をしたところ、すばらしい作品を考えてくださいました。
誌面の編み図を見ると、難しそうに思えるかもしれませんが、解説通りに編んでいくと、あら不思議、思ったほど難しくなく、編むのが楽しくなってきました。編集スタッフは既に3足編み、飽きることがない、と言います。足にぴったりとフィットし、底がふかふかしていて気持ちよく、本当に暖かくて、幸せな気持ちになります。
誌面でルームシューズ着用のモデルを務めるのは、5世紀4号から本誌の1頁目の写真を撮り続けてくださった写真家・砺波周平さんのご家族。ご自宅で履いてリラックスして過ごす様子が写真になっています。
ルームシューズは2つの形で、サイズを調整できます。ご自分のためや、大切な方へのプレゼントに編んでみてくださいね。(担当:平田)

今年もこの季節がやってきました

2023年11月30日

今年もこの季節がやってきました
(27号特別付録「世界を旅する猫のカレンダー」)

2022年版からはじまった、年末年始号の特別付録のカレンダー。
3作目となる今回のテーマは「旅」。料理人でイラストレーターのトラネコボンボンさんに「世界を旅する猫」を描きおろしていただきました。
トラネコボンボンさんらしいチャーミングな猫が、シロクマや大きなクジラに会いに行ったり、イタリアで優雅にパスタを食べたり……自由気ままに世界各地を旅してまわります。

コロナウイルスによる制限が落ち着いても、悲しいかな、円安などの影響もあり、まだ海外旅行は遠のいたたまま……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。のびのびと旅を楽しむ猫さんを眺めて、わたしならここでこんなことをしたいと想像しながら、ご一緒に、心を旅させてください。

カレンダーを綴じこんだ袋は、プレゼントの包装紙をイメージして作りました。旅する猫がちりばめられつつ、来年の干支の辰もしっかり登場しています。

こぶりなサイズの壁かけタイプで、どんなお部屋にもなじむ、シンプルなデザインのカレンダーです。毎年飾ってくださっている方は定位置に、はじめての方はお気に入りのスペースにぜひ。(担当:空地)

ゴミ捨てを制すれば、暮らしが快適に

2023年11月29日

ゴミ捨てを制すれば、暮らしが快適に
(27号「暮らしを変える、ゴミの捨て方」)

ゴミを分別していると、判断に迷うことはありませんか。
「プラスチックのシールは、はがしたほうがいいの?」「食用油のびんは?」「びんの内蓋は取る?」……そんな小さな「もやもや」を一掃したいと思い、この企画を考えました。

私たちがゴミを出したその先のことは、よく知らないことが多いものです。たとえば、リサイクルされるびんや缶、プラスチック類などは、「きれいなもの」であることが条件となっていますが、それはどの程度きれいで、どれほど分別されていないといけないのでしょうか。
取材を進めると、大抵のものは「人の手」によって分別作業が行われていることがわかりました。汚れのついた適さないものなどを手作業で除去することで、リサイクル率は高まり、質のいい資源となるのです。そうと知ると、家庭での分別がいかに大切かがよくわかります。

また、良かれと思ってしていることが、逆効果なこともあります。たとえば、PETボトルやプラスチック製容器包装は、どうしてもかさばって家の中でも場所を取るのが、悩みのたねです。そこで、これらを細かく切って袋に入れるという方もいるようですが、これはNG。切り口で袋が破れたり、リサイクル工程の途中でうまくまとまらなかったり、識別マークがわからなくなったり……と困ることがあるそうです。

そのほかにも、紐を使わない段ボールのまとめ方や、生ゴミなどの可燃ゴミを出すときのマナーなど、知っておくとためになるコツなども紹介しています。

日本のゴミ問題はとても複雑で、調べれば調べるほど規模は大きく奥は深く、この企画も一体どうやってまとめようか……と頭を抱えました。でも、まずは自分ができる身近なところからと考え直し、家庭ゴミにしぼってまとめました。
かつての私のような、ゴミの捨て方に関心のない方にこそ、ぜひ読んでいただきたい記事です。暮らしがぐんと快適になりますよ。(担当:小林)

オーブンで焼いたり、煮込んだり

2023年11月28日

オーブンで焼いたり、煮込んだり
(27号「豚かたまり肉のごちそう」)

クリスマスや忘年会、お正月などの食卓に、かたまり肉の料理はいかがでしょう。
大きなお肉を切り分ける時のなんとも言えないワクワク感は、賑やかな集まりにもぴったりです。
今回は、手に入りやすく、価格も手頃な「豚肩ロース肉」を使い、調理方法や味わいの異なる4つのレシピを料理研究家の若山曜子さんが考案してくださいました。
その中でも、編集部のキッチンで試作をした際に大好評だったのが、「ローストポークとトマトハーブご飯」です。軽くゆでて味つけしたお米の上にかたまり肉をのせてオーブンで焼くと、2品が同時に完成するという嬉しいレシピ。シンプルな味のローストポークとハーブのきいたご飯が、ほんとうによく合う! ぜひ試していただきたい一品です。

「かたまり肉は、多少加熱時間が長くなってもかたくなりにくいのがいいところ」と、若山さんは言います。4つのレシピを試してみると、調理方法によってかたまり肉の食感がずいぶん変わることに驚きました。低温のオーブンでじっくり焼くと「しっとり」、コトコト煮込むと「ホロリ」、蒸し煮にすると「プリッ」と。かたまり肉ならではの、そんな違いも楽しんでいただけたらと思います。(担当:田村)

蒸し料理は、いいことづくし

2023年11月27日

蒸し料理は、いいことづくし
(27号「ウー・ウェンさんのかんたん便利な蒸し料理」)

「ヘルシーなのはもちろん、蒸し時間さえ守れば失敗もないし、まとめて蒸しておけば次の日の料理にも使える。ね、いいことづくしでしょう?」
打ち合わせの時、そんなふうにいきいきと蒸し料理の魅力を語ってくださった、料理家のウー・ウェンさん。
この企画では、里いもやれんこん、鶏ささ身、鶏むね肉、鶏もも肉などを蒸して、出来立てをシンプルな味つけで楽しむ方法を教えていただきました。塩と好みのオイルでも充分おいしいのですが、塩パセリダレや薬味しょう油ダレなどの自家製ダレを合わせると、飽きがこなくてよいものです。誌面では、12種類の自家製ダレをご紹介していますが、どのタレも絶品! ぜひ、お好みのタレを見つけていただけたらと思います。
また、2日目以降は、蒸しておいた鶏肉を使って、バンバンジーや炒めもの、炒飯がパパッと作れるのもうれしいところ。ウーさんの言葉通り、まとめて蒸しておくと重宝しますよ。(担当:井田)

本棚はその人の内面を映す?

2023年10月11日

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本棚はその人の内面を映す?
(26号「あの人の本棚より 特別編」)

さまざまな分野で活躍する方のご自宅や仕事場を訪ね、本棚の中から思い出深い本や心を刺激した本などをご紹介いただく、本誌の人気連載「あの人の本棚より」。
今号は「特別編」として、以下の5名(登場順)がそれぞれのテーマをもとに本を選び、その本にまつわるお話をしてくださいました。

・角田光代さん(作家)/生きづらさをやわらげる本
・五味太郎さん(絵本作家)/傍らに置いて何度も読む絵本
・益田ミリさん(イラストレーター)/“未来”が待ち遠しい本
・安田登さん(能楽師)/“女性の時代”を振り返る本
・しりあがり寿さん(漫画家)/なんだかよくわからなくて面白い本

国内外の小説、エッセイ、絵本、漫画など、いろいろな本を紹介いただきましたが、選書テーマにも、その人らしさや関心のある事柄が表れていて面白いですよね。取材の前後は、寝ても覚めても読書に追われていました。とても大変ではあったのですが、ふだん自分では手に取らない分野の本や、いま話題の漫画も読むことができて、大充実の読書体験に。
それぞれの方の本との付き合い方や、読書と暮らしのかかわりなどについてもお聞きしています。興味深いお話がたくさんありますので、どうぞご覧ください。(担当:田村)

一人ひとりの暮らし

2023年10月10日

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一人ひとりの暮らし
(26号 特別付録 創刊75周年記念ポスター)

創刊75周年を記念し、絵本作家のヨシタケシンスケさんにお願いして大判のポスターを制作しました。
モチーフは、30組の暮らしの様子。一人ひとりにそれぞれの暮らしがあり、大切にしている何かがある、というメッセージのようにも受け止められます。イラストをいただいたとき、ほわっと温かい気持ちになりました。
裏面は初代編集長、花森安治による創刊号の表紙画です。戦後間もない時代から現代まで、『暮しの手帖』が大事にする心を一枚に込めました。(担当:中村)

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「今」を感じるお二人の話です

2023年10月06日

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「今」を感じるお二人の話です
(26号「これからの暮らしの話をしよう」荻上チキ×村田沙耶香)

評論家、ラジオパーソナリティなど、多方面で活躍中の荻上チキさん。連載「みらいめがね」では、毎回、これまでにないものの見方、考え方を教えてくれます。
そんな荻上さんの対談相手は、友人で小説家の村田沙耶香さん。芥川賞受賞作『コンビニ人間』や『地球星人』などを通して、社会や他者が押し付ける「幸せ」に対して疑問を投げかけてきました。
「こうあるべき」にとらわれないお二人に、日頃のSNSとの付き合い方や、インターネット上の言論空間、社会規範へのアンチテーゼなどを語り合っていただきました。
対談は、伸びやかで、自由。わたしが印象的だったのは、本との出合いがお二人の考えの基盤になったエピソードです。ぜひお読みください。(担当:中村)


暮しの手帖社 今日の編集部