テキは手強い。1年のつもりが3年、10年

本屋さん_『どこにいるの イリオモテヤマネコ』
ふれあい写真えほん 『どこにいるの イリオモテヤマネコ』
横塚眞己人 写真・文 小学館クリエイティブ 1,400円+税
装釘 美柑和俊+MIKAN-DESIGN

 沖縄県西表島に棲む、イリオモテヤマネコ。特別天然記念物であり、絶滅危惧種。現在の生息数は、わずか100頭余り。森の奥に潜み、夜行性で鋭敏、人間にはなつかない。そのため、現地の人たち、猟師さんですら見かけるのは2~3年に一度なのだそうです。

 この獣を撮影するために島に移り住んだのが、著者の横塚眞己人さん。動物写真家。2ページ目から始まる本編には、イリオモテヤマネコの姿はなかなか出てきません。海辺に向かい、森に分け入って、被写体を探し続ける横塚さん。やっとその写真が登場するのは、16ページになってからです。実は、初めて撮影に成功するまで、3年がかかっています。つまり、それがこの16ページの時間経過。表紙を合わせた38ページは、10年にわたる活動からできているのです(最初は1年くらいの予定だったのだそうですが……)。

 なぜ、最初の1カットに3年がかかったのか。なぜ、それからは撮れるようになったのか。読者は、横塚さんと一緒にイリオモテヤマネコを追う「探偵の視点」「エコロジストの視点」になって本を読み進めていきます。ヒントとなるのは、島の自然と生き物たちの生態。『どこにいるの イリオモテヤマネコ』は、「イリオモテヤマネコがいるのはどういうところなのか」を考えてみることができる一冊でした。(菅原 歩)


暮しの手帖社 今日の編集部