いろんなリクエストに応えるセーターたち

うれしいセーター
『うれしいセーター』 三國万里子 著 ほぼ日ブックス
2,500円+税 装釘 大島依提亜

 ニットデザイナーの三國万里子さんが、12名の著名人たちのリクエストに応えて編んだセーターを紹介する一冊です。

 「可能ならば、まるで着ていないような着心地のセーターがほしい」「どかんと寝転がって干し草がついても気にならない、農夫の仕事着にもなるようなイメージ」「どこかに自分だけが知っている、ちょっとした仕掛けがあるとたのしい」などの個性的なリクエストに真摯に向き合い、楽しみながらセーターの制作に挑む三國さんの姿が伝わってきます。

 出来上がった作品は、三國さん以外の人には生み出せないような、どこにも売っていないものばかり。着る人の満足そうな表情から、着心地の良さがうかがえます。

 わたしは以前から、三國さんの著書に掲載されている、作品紹介のちょっとした文章が大好きだったのですが、本書にはエッセイが8編収められています。そこには、編んだ人にしか知ることができない喜びがあふれていて、わたしもセーターという大作に挑戦したくなりました。すべての作品の編み図も載っています。日に日に涼しくなってきて、毛糸に触れるのがうれしい季節がやってきました。この冬にたくさん着られるよう、いまから編みはじめるのも良いかもしれませんね。(平田)


暮しの手帖社 今日の編集部