赤い猫が目印です。

2019年09月24日

表紙正体_DSC7029

赤い猫が目印です。
──編集長より、最新号発売のご挨拶

こんにちは。
7月、どきどきしながら送りだした第5世紀1号が、おかげさまで記録的な売れ行きを示し、ほっと安堵、心から感謝申し上げる編集長であります。
ありがとうございます。
新しい表紙はいかがでしたでしょうか?
1号は今井麗さんの「ポトフ」でしたが、続く2号は、画家・絵本作家のミロコマチコさんの「ベランダにくるキジトラ」です。
そう、第5世紀の表紙は描き手が毎回替わるのです。
今回は白い表紙いっぱいに座る野良猫。なぜか真っ赤です。
ああ、赤い猫といえば、個人的には、昔むかしの『鉄腕アトム』の「赤いネコの巻」を即座に思い出します。しゃなりとした「赤いネコ」が、ヒトの言葉をしゃべるんですよ。
武蔵野の美しき丘陵。緑豊かな森や林が舞台です。次々と山を削り、木々を切り倒す人間の所業に動物たちが反乱を起こす。人間は自然の敵だ。物質文明への警鐘を鳴らすと同時に、滅びゆく緑に哀惜をたっぷりこめて込めて手塚治虫さんが描いた傑作です。ヒゲオヤジが国木田独歩の『武蔵野』を口ずさみながら散歩する冒頭のシーンがいいなあ。もう長いこと読んでないけれど、あれは秋の晴れた日の物語だったように勝手に記憶しています(ちがっていたらゴメンなさい)。
武蔵野にはつくづく秋が似合います。井の頭公園なんかも秋がいちばんいいと思う。落ち葉の季節には歩きたくなる。
赤い猫(がいるとしたら)、その散歩も秋が似合う。そして、こんな猫がさわやかな秋の日、ベランダに来てくれたらよいなあ、とも。
ミロコマチコさんは「(野良猫は)ある時を境に姿を消すことがある。いつもこれが最後かもしれないと思うと、絵を描かずにはいられなかった」と語っていらっしゃいます(「今号の表紙画」より)。それ、よくわかりますね。ぼくは絵ではなく写真を撮ることが多いかな。

……って、すみません。表紙からとりとめのないお話になってしまいました。
2号は、そんなこんなで(どんなこんなだ?)秋が来て嬉しい、その嬉しさをたっぷり詰め込みました。
巻頭の詩歌特集「秋燃ゆ」から、「うちのアイデア丼」「料理家6人の探求レシピ」や、「40歳からの体づくり」等々、お役立ち記事もいっぱいです。
ぜひ本屋さんでお手にとって、表紙の猫、そして中味をお確かめください。
例によって、明日から各担当者がご案内致します。どうぞお楽しみに!

編集長・澤田康彦


暮しの手帖社 今日の編集部