料理を自分のものにするには

2018年09月26日

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料理を自分のものにするには
(96号「料理力って何でしょう?/有元葉子さん」)

最近ではレシピ動画サイトという便利なものがあって、初めて作る料理のときなどには助かりますね。よく工夫されてわかりやすくて便利です。でも、毎回本やスマホを見ながら料理するということ自体、ちょっと大変。作る楽しみも半減してしまうのではないでしょうか。
今回この特集で、有元葉子先生に教えていただいたことは、「自分の『おいしい』を持つ」ということ。
有元先生はこうおっしゃいました。
「こんなふうにしたらおいしそう」という自分の感覚を大事にして、作ってください」
家庭料理って、自分や家族のために作るもの。何がおいしいか、何が食べたいかは、自分で決めることです。本に書かれた通りではなく、「こんなふうにしたらおいしそう」という想像力を働かせて。
だから、今回この頁はあえて、いつものような、詳細なレシピではないやり方で作り方をご紹介しています。
シャクシャク、サクサク。
たとえば「針絹さやのえびそば」。今回教えていただいた料理のひとつ。有元先生の手元から聞こえる、絹さやを刻む小気味よい音です。充分に水を吸わせた絹さやを、ごくごく細切りにしたら、そんな音がします。切るそばから立ち上るのは、青豆のほのかな香りです。シンプルな味つけですから、食感こそ大切に。そんな、音や手触り、においなどを感じながら作るということを感じていただけるようにと、頁を作りました。
そうした方法で、自分の身体が自然に欲する「おいしさ」に近づけていく。そんな料理の仕方こそ、生きていくうえで必要なんだということを学びました。皆様もぜひ、ご自分の、ご家族の「おいしい」を作ってみてください。
(担当:宇津木)

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暮しの手帖社 今日の編集部