無類の食いしん坊の本棚には

2019年08月13日

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無類の食いしん坊の本棚には(1号「あの人の本棚より」

誰かの家を訪ねたとき、ついつい、本棚を見てしまいませんか?
「あ、私も何度も読み返した海外小説がある。しかも、背がボロボロだ」
「この方も『天才バカボン』を読むのかあ。うれしいな」
……などなど、本棚を見ると、その人の頭のなか、心のなかを覗いているような、ちょっとドキドキ、後ろめたいような気持ちになるのはなぜでしょう。

今号から始まった新連載「あの人の本棚より」は、各界でご活躍のいろんな人びとを訪ね、本棚のひと隅をパチリと撮り、ワンカットに写った何冊かの愛読書をご紹介する頁です。
第1回目は、料理家のホルトハウス房子先生。取材ではまず、書斎にある二つの本棚を順に拝見しました。
一つめの本棚の開き戸を開けると、森田たまや小沼丹ほか、箱入りの美しい小説本がずらり。一方、二つめには洋書ほか大型本が多く、どうやらこちらは、料理書が中心のようです。
しばらくお話をお伺いし、とても迷ったのですが、今回は二つめの「料理、その他」のほうをご紹介することにしました。
「ハウツーものばかりを読んでいては、料理って自分のものにはならない気がするわ。まず書きぶりがいい、そして匂い立つ、情景が浮かぶ。そんな本が好きですし、自分の血肉になってきたように思います」
先生のすごいところは、『辻留』の辻嘉一さんや、装釘家の佐野繁次郎さんほか伝説的な人物が、本にまつわる思い出話にぽんぽん登場すること。そして、無類の食いしん坊である先生はやはり、人並外れた食いしん坊による本がお好きです。
すぐさま読みたくなる、そしてお腹が空いてくる本が登場します。どうぞ、お楽しみください。(担当:北川)


暮しの手帖社 今日の編集部