暮しの手帖社 | 誰でも必ずおいしく作れる料理を

誰でも必ずおいしく作れる料理を

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花森安治がレイアウトを手掛けた、1967年の料理記事。右は、大胆で美しいばかりでなく、肉の部位や野菜の切り方がひと目でわかる工夫が凝らされている。(別冊『しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子』より)

「料理はからきし」の水田が、鞠子が書いたレシピ通りにホットケーキを作ったら、生地はかちんかちんに。花山編集長は、「文章だけでは限界がある」と、調理の過程を何枚もの写真で見せようと発案します。いまでいう「プロセスカット」ですね。
『暮しの手帖』も1950年、ホットケーキのレシピを、初のプロセスカットつきで紹介しています。指導は、銀座にあった「巴里コロンバン」。これは、大橋鎭子が日本興業銀行に入行したとき、新人歓迎会でごちそうになった思い出深いお菓子でした。
この記事に、編集長・花森安治がつけたコピーが「誰にでも必ず出来る」。これはそのまま、『暮しの手帖』の料理記事のモットーでもあります。
家庭によって、火力も違えば、使う道具や調味料も違う。とにかく条件が異なるなかで、「必ず出来る」を目指すのは、なかなか困難なことです。
どうやって、レシピの精度を高めるか。花森と大橋が考えに考えて出した結論が、「くり返し、料理の試作をする」という方法だったのでしょう。
試作した料理をみなで試食し、「塩辛いね」という声が多かったら、レシピを修正し、作り直し。「味がぼんやりしているぞ」となったら、またやり直し。
「バカがつくくらい、念には念を入れてやったのよ」とは、ある先輩編集部員の言。
いまでも毎号、わたしたちは試作を欠かしません。やり直しもままあります。でも、「バカがつくくらい」という先輩の言葉を思い浮かべると、「一度や二度くらいのやり直しは、たいしたことはないな」と思えるのです。

ところで、われらが「しずこさん」は大変な「肉食女子」でした。
わたしたちが試作でジューッと肉を焼いていると、「おいしそうね」とやってきて、ぱくっとひと口、試食することも。
長寿の秘けつは、一に仕事好き、二にお肉好き、だったのでしょうか。(担当:北川)


暮しの手帖社 今日の編集部