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暮らしのヒント集

双美
“こんなによく見える双眼鏡は初めてのような気がして、心を弾ませている時、近付いて来る鳥の羽音に気附いた。生物の仲間としてその仲の睦まじい二羽の姿に惚れ惚れとし、ほんの僅かの嫉ましささえおぼえながら、双眼鏡の焦点を合わせた。見れば、羽博く翼の速度も角度もぴたりと揃い、何から何まで、一つのものがそのまま二重にずれているだけのように見えた。秋の日暮の空の赤らみが、空よりも先に地上の生命を薄く染め、その場に佇む私の、新しい願いを育てた。”


暮しの手帖社 今日の編集部