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暮らしのヒント集

微笑する沈黙
“本州の北のはずれで、私をじっと待っていて呉れたのは君だったのだね、と小聲で挨拶をすると、この白鶺鴒は眞面に私の方を見詰めずに、ひと聲、小さい羞じらいの歌を聞かせそうになった。私は嬉しさに、うっかり聲を出しそうになってしまったが、この鳥の、おだやかな羞じらいの横顔から香氣が漂うのが嬉しく、小鳥も私も現在、此處に生きていること、そして何故か最高の歓喜に浸っていることが、共に涙になりかけるのだった。”
文 串田孫一


暮しの手帖社 今日の編集部