日常の「なぜ」を掘り下げると、見えてくるもの

2018年12月14日

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日常の「なぜ」を掘り下げると、見えてくるもの
(別冊『暮らしのヒント集5』/長島有里枝さん)

「名前のない家事」という言葉を聞いたことはありますか?
写真家で作家の長島有里枝さんが、ある取材で発言された言葉です。
以下に引用します。

――ある日、勇気を出していまのパートナーに、炊事とか洗濯とかの“名前ある家事”は全部あなたの担当ね、と言ったことがあって。当然、反発を買いました。でも、名前すらない家の仕事のほうがずっと量が多いんですよ。例えば、毎日の献立を経済的、栄養学的な見地から考えるとか、換気扇フィルターの替えどきを見計らう、無くなる前に詰め替え洗剤を購入する、家族のレシートの清算、洗濯前の服のポケットをチェックしてシャツの袖と靴下を表に返すとか。(略)わたしはそういうこと全部やってて、むしろまだあなたの方が楽かなって思ってる、って言ったら、彼は狐につままれたような顔で「そうか」と納得してくれました(笑)――
(「雛形」より)

この発言はたくさんの人の共感を呼び、インターネットやSNSで広がりました。

長島さんはこのように、日々感じる疑問や違和感、辛さを見逃さず、
しつこく掘り下げて考え、言語化し、相手に伝えるように努めています。

37歳のとき、子育てをしながら大学院に通い始めた長島さん。
学ぶことで、自分の生き辛さの理由を知ることができたそうです。
それがわかれば、どうやって乗り越えればいいかがわかる。
そうして得てきたことをたくさんの人に届けるために、
長島さんは写真を撮り、文章を書くのです。

学び始めるのに、年齢は関係ないこと、
そして、日常で浮かんだ疑問のなかに、
大切な気付きがあるということを、
長島さんから教えていただきました。

現在、ちひろ美術館(東京都練馬区)で開催中の
「Life展 作家で、母で つくるそだてる 長島有里枝」(2019年1月9日まで)でも、
長島さんのメッセージを作品を通して受け取ってみてください。

本の詳細は下記のリンクから。または、書店でぜひご覧ください。(担当:平田)
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2098.html


暮しの手帖社 今日の編集部