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暮らしのヒント集

「初めて桜を見た日」
“苦しい航海の後、やっと日本に近づいた。「陸が見えるぞ! 日本だぞ!」と言う誰かの叫びが聞こえ、皆われ勝ちに梯子段を昇って甲板へと上がった。初めて見る日本は霞に包まれていた。(……)さあ上陸だと、みんな勇み立ったが、予想外の出来事で、わたしたちは船内に閉じ込められることになった。(……)ある朝のこと、呼び声に甲板に上がってみたら、甲板の中央に台が置かれ、大きな器に、満開の桜の枝が挿してあった。初めて見る桜は、青空に映えて、この世のものとは思えないほど美しかった。周りの大人たちが、涙を流しながら桜を見上げる様子に、わたしも胸がいっぱいになった。”


暮しの手帖社 今日の編集部