いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら

読者投稿 ―この社会のどんなことが気になりますか?―

見た目の美しさではなく

2025年07月23日

「結局、美人が得をする世の中だよね」という言葉を耳にすると、もどかしい気持ちになります。そうじゃないと思いたい自分と、一理あると思う自分。両方の自分が、同時に存在します。

その背景には、無意識のうちに刷り込まれる「広告でのジェンダー描写」の存在が大きいのかもしれません。SNS、電車の広告、街中のポスターは「美しさとはこういうものだ」と繰り返し伝えてきます。「痩せていること」「二重まぶたであること」「脱毛していること」、そして最近では「歯並びが綺麗なこと」も基準のひとつになりつつあります。

もちろん、見た目を整えるのは、悪いことではありません。ですが、「綺麗の条件」に当てはまらない自分を「ダメだ」と思わせる仕組みに違和感があります。

目の前の人にしか伝わらない美しさが、誰にでもあるはずです。写真や動画では伝わらない、その人だけが持つ雰囲気や、しぐさの中に宿る可愛さ。それが見過ごされ、画一的な美しさだけが評価されることに寂しさを感じます。

数年前に、ある企業が採用の履歴書から顔写真をなくしたというニュースを見ました。「見た目で判断しない」という小さな変化が、社会の中に広がっている。そうした動きに、私は希望を感じます。

 

藤安奈菜(ふじやすなな・読者)