1. ホーム
  2. > Blog手帖通信

ものをいつくしむ

2024年06月11日

ものをいつくしむ
(30号「椅子の張り替えをやってよう」)

5年ほど前でしょうか。社屋の引っ越しの際、「捨てるもの」に分類されたダイニングチェアを1脚もらいました。座面の汚れが気になりながらも時が経ってしまい、ふと、自分で好きな布に張り替えられたらいいな……という思いから、今回の企画が生まれました。
「椅子張りの店 anocono」を営む職人の須田直樹さんに指導を依頼すると、快く引き受けていただき、「ものが古くなったら捨てるのではなく、直して使う文化がもっと浸透してほしい」という思いを話してくださいました。お店には、親子代々使われてきた椅子の張り替えの依頼も多く、それぞれの家族の思い出とともに時が刻まれていることを実感するそうです。

今回は、椅子の座面の張り替えを、漫画家で金継ぎ師の堀道広さんに体験していただきました。堀さんは、割れた陶磁器を漆で修復する金継ぎ師として、ワークショップを主催されています。壊れたものを修繕してよみがえらせているという共通点があるお二人。撮影では初対面なのに息がピッタリ。どなたにもわかりやすいよう、写真を多く掲載し、丁寧に解説しました。堀さんの漫画ルポもありますよ!

私も試作で3脚ほど張り替えました。はじめはタッカーを打つのもおっかなびっくりだったのが、だんだんに慣れてきて、3脚目ではすっかり自信を持ったほどです。装いが新しくなった椅子は、可愛らしくて、なんだかうれしそうに見えました。
椅子を張り替えたいな……というとき、ぜひご活用ください。(担当:佐藤)

愛され続けるレシピです

2024年06月10日

愛され続けるレシピです
(30号「暮しの手帖のらっきょう漬け」

創刊75周年を迎えた「暮しの手帖」には、読者のみなさまに愛され続ける「名レシピ」がいくつかあります。今号に掲載する「らっきょう漬け」もそのひとつ。初出は第2世紀7号(1970年)。リクエストを受けて、以後2度にわたって再掲載しています。そんな名レシピをもっとたくさんの方に知っていただきたいと願い、改めてご紹介しています。

現代の家族の人数等を考慮すると、レシピの半量で作る読者も多いかもしれない。そう考え、半量でおいしく作ることができるのか試作して確かめました。
用意したのは、泥付きの新鮮ならっきょう2キロ。汚れを洗ったら、茎と根を切り落とし、薄皮をむいて形をきれいにととのえます。ここで手を抜かずに下ごしらえをするのが、おいしいらっきょう漬けへの近道。そうわかってはいるものの、なかなか根気のいる作業でめげそうになりましたが、なんとかやり遂げました。
下ごしらえしたらっきょうを塩漬けにしたら、涼しいところに置いて3週間。その後、甘酢に漬けてしばらく置くと、ようやく「暮しの手帖のらっきょう漬け」のできあがりです!

鷹の爪が効いたピリッと辛いらっきょう漬けは、食卓の名脇役になること間違いなし。お茶請けやお酒のつまみにも大活躍しそう。このレシピが、読者のみなさまに愛され続けているわけを実感できました。
手間と時間はかかりますが、新鮮ならっきょうが手に入るこの季節にしかできない手仕事を、楽しんでみてはいかがでしょうか。(担当:田村)

窓は住まいの要です

2024年06月07日

窓は住まいの要です
30号「窓から住まいを快適に」

部屋の中からふと外を眺めた時、窓ガラスや網戸の汚れが目に入ってがっかりした経験はありませんか。梅雨や台風の時季は、特に窓まわりが汚れやすいもの。そこで、特別な洗剤を使わずに、すっきりきれいに掃除する方法を、ナチュラルクリーニング講師の本橋ひろえさんに教えていただきました。
本橋さんのお話の中で目から鱗だったのが、「1度に全部の窓を掃除しなくていいんです」という言葉。私が「窓まわりの掃除=面倒」という印象を持っていたのは、全部の窓を1度に掃除しなくちゃいけないと勝手に思い込んでいたからだと気づきました。
さっそく、汚れが落ちやすいくもりの日に、リビングの窓だけさっと掃除してみると、あっという間に終わって気分爽快。他の部屋はまた気が向いた時にやろう、そう考えるだけで心が軽くなりました。

加えて、住まいの断熱性能を上げる「窓リノベーション」についてもご紹介しています。住まいにおける窓の役割や、国の補助金制度が利用できる窓リノベーションの方法などについて、YKK AP株式会社・広報部にお話をうかがいました。
たとえば、今ある窓の内側に新しい窓を設置する「内窓設置」など、1窓1時間程度で施工可能な方法も。住まいの断熱性能を上げることは、室内での熱中症やヒートショックの予防にもつながります。記事を読んで、ご家族で検討してみてはいかがでしょうか。(担当:田村)

この夏をすこやかに過ごすために

2024年06月06日

この夏をすこやかに過ごすために
(30号「大原千鶴さんの夏をしのぐおばんざい」)

とてもとても暑かった、昨年の夏。東京よりも猛暑が続いた京都や大阪、岐阜などに住む皆さんは、一体どんなふうに乗り越えているのだろうか……と何度も思いました。
この夏も猛暑の可能性ありと、すでに予報されています。いざ本格的な夏が来る前に、京都にお住いの大原千鶴さんに、夏に心がけている食卓の工夫と、繰り返し作っている料理7品を教えていただきました。

大原さんが真っ先に挙げたのは、「台所の清潔を保ち、食材の腐敗を防ぐこと」。それは、生ものの扱いに気をつけて清潔にすることのほか、器の中で完成するくらい、フレッシュな料理を心がける、ということにもつながります。
例えば、定番の豚しゃぶはみょうがの白和えとともに器に盛り、ふたつをお皿で合わせながらいただきます。まだ温かく柔らかな豚肉とひんやりした白和えがよく合い、お肉をしっかり食べられるのに、食べ心地は軽やか。
ご飯にお豆腐としば漬け、薬味をのせただけの「しば漬け豆腐丼」も、シンプルながらおいしく、お昼の定番だと話します。

このほか、しょうがをきかせた「きゅりとなすのあんかけ汁」、ダシをたっぷり含んだ「ズッキーニとお揚げさんの炊いたん」、あっという間に作れる「焼き穴子とピーマンの玉子とじ丼」など、京都らしい、昔ながらのおばんざいを中心にご紹介しています。どれも調理時間は驚くほど短く、体に染み入る味わいです。この夏、きっと暮らしを助けてくれるであろう心強い料理ですよ。
(担当:佐々木)

重い病気を抱えた子どもと家族のために

2024年06月05日

重い病気を抱えた子どもと家族のために
(30号「子どものホスピスを知っていますか?」)

皆さんは、「子どものホスピス」のことを、ご存知でしょうか。お恥ずかしながら、私は、小児がんの専門医・細谷亮太さんにお話を伺うまで、ぼんやりとした知識しかありませんでした。細谷さんは、こう言いました。
「ホスピスというと、死ぬための場所をイメージするかもしれません。でも、子どものホスピスは違います。たとえるなら、山小屋のようなもの。一生懸命に山を登る子どもとその家族が少し休憩し、また登るための場所のことです」
細谷さんは、北海道で、がんなどの重い病気を抱えた子どもたちを招待してキャンプを行う活動をしています。その細谷さんの呼びかけで、子どものホスピスについて語り合う鼎談を行いました。
ご参加くださったのは、幼い娘さんを脳腫瘍で亡くした経験から、関東では初となる民間ホスピス「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」を開設した田川尚登さん。そして、奈良の東大寺境内で、難病を抱えた子どもと親への「おもてなし」を行っている「奈良親子レスパイトハウス」の代表幹事で、医師の富和清隆さん。
既存の公的な医療制度ではまかないきれない、民間だからできるきめ細やかな活動とはどのようなものか、また、その活動が今どんな支援を必要としているかについて、伺いました。

子どもたちの生命力。長さでは計れない、人生というものの豊かさ。病児を抱える家族の切実な思い。支援者の方々の良心と活動のよろこび……。取材を通して、知らなかった世界を知り、胸を衝かれる瞬間が幾度もありました。皆さんもきっと、そうした大切なメッセージを受け取ってくださると思います。そして、子どものホスピスに「自分も関わりたい」「自分にもできることがあるかも」と考えてくださったら、と心から願います。(担当:島崎)

「オサムグッズ」の生みの親の素顔とは

2024年06月04日

「オサムグッズ」の生みの親の素顔とは
(30号「原田治さんの世界」)

「ジャック&ジル」に「ハンプティ・ダンプティ」など、おなじみのキャラクターが描かれたトートバッグやハンカチ、お弁当箱……。「オサムグッズ」と聞くと、なつかしい記憶が呼び起こされる方も多いのではないでしょうか。
そんな「オサムグッズ」の生みの親である原田治さんは、いったいどんな人だったのかを探るべく、原田さんのデビュー当時から仕事を共にしてきた盟友の新谷雅弘さん、娘の原田綾さん、そして、15年ほど前からオサムグッズに魅了されて集め始めたというトムズボックスの土井章史さんにお話を伺いました。
みなさんのお話から浮かび上がってきたのは、権威みたいなものには興味がない、茶目っ気にあふれた素顔。原画や綾さんのために描いた絵手紙などなど、たくさんのビジュアルとともにお届けします。(担当:井田)

元気になれる4カ国の家庭料理

2024年06月03日

元気になれる4カ国の家庭料理
(30号「すっぱうまい季節です」)

今年も昨年に続き、暑くなりそうな気配ですね。暑い日が続いて、なんだか食欲がない……。そんなときには、酸味の効いた世界の料理はいかがでしょう。
今回ご紹介するのは、ポルトガル、フランス、ベトナム、イランの4カ国の「すっぱうまい」料理です。
ポルトガルからは、トマト、ピーマン、キュウリなどの角切り野菜がスルスルと食べられる、サラダのような野菜スープ「ガスパショ」を、ポルトガル料理研究家の馬田草織(ばだ・さおり)さんに教わりました。さわやかな見た目とは裏腹に、食べるとにんにくの効いたパンチのある味に元気が出ます。バゲットを浸して食べるのが現地流。火も使わないので、すぐに作れるのもうれしいところです。

他にも、フードコーディネーターの柳瀬久美子さんには、フランスのエスカベッシュを、東京・鳥越のインドシナ料理店「アンドシノワーズ」さんには、ベトナムのおもてなし家庭料理・ゴイガー(鶏肉の和え物)を、イラン出身のレザ・ラハバさんには、ミートボールのヨーグルト煮込みを教わりました。

どれもそれぞれの国らしい酸味使いで、4種4様のおいしさ。「すっぱさ」のおかげか、不思議と箸が進んで、気づけば食べ過ぎてばかりの撮影隊でした。
夏のおもてなしにも良さそうなひと皿、ぜひお試しください。(担当:小林)

初夏におすすめの、ささっと編めるバッグです

2024年05月31日

初夏におすすめの、ささっと編めるバッグです
(30号「かぎ針編みの、気楽な巾着バッグ」)

編み物好きのみなさんは、この時季、何を編みますか? わたしは秋冬に毛糸の編み物を楽しみ、春夏はお休みしていました。ところがある日、友人が編んだ小ぶりのバッグがきっかけで、毛糸以外の編み物にも興味がわいたのです。それが今回ご紹介する「巾着バッグ」です。
このバッグは数年前に、ニット作家の野口智子さんがワークショップで紹介したものでした。綿と麻でできた糸はハリがあり、丈夫に仕上がります。友人の「本体なら2時間ほどで編めた」という話に背中を押され、野口さんにご指導を依頼し、さらに編みやすく進化させたバッグをご考案いただきました。
小ぶりなサイズで気楽に編めますし、財布と携帯など最小限のものを入れてお出かけするのにぴったり。コード(紐)の長さを調整して、2種類の持ち方が楽しめます。隙間からのぞく内布の色も魅力です。わたしもさっそく、近所へのお出かけや、おしゃれのポイントとして活用しています。(担当:平田)

小豆の新しい魅力に出合えます

2024年05月30日

小豆の新しい魅力に出合えます
(30号「小豆の涼味はいかが」)
自分で小豆を炊くと、ふっくらとして、市販の煮小豆にはないやさしい甘さにできます。そのまま食べるのはもちろんのこと、せっかくならば、次第に蒸し暑くなるこれからの時季に、涼やかなお菓子にして楽しみたい。
そう思い、体を癒やすお菓子を研究するfoodremediesの長田佳子(おさだ・かこ)さんを訪ねました。
「煮小豆は、スパイスや甘酒、フルーツとも相性がいいんですよ」と話す長田さんが提案してくださったのは、スパイスジャスミン寒天や甘酒パンケーキ、抹茶バナナスムージーなど、これまでに食べたことのない、わくわくする組み合わせのメニューばかり。まずは、お好きなメニューからひとつ作ってみてください。煮小豆を好きなだけたっぷりと添えて、味わっていただけたらと思います。小豆の新たな魅力に出合えますよ。(担当:井田)

クローゼットは風通しよく

2024年05月29日

クローゼットは風通しよく
(30号「衣替えいらずで取り出しやすい、わたしの収納術」)

洋服の衣替え、みなさんはどのようにしているでしょうか。クローゼットはどんなふうに整理していますか? かくいう私はきちんと整理できておらず、夏物と冬物をざっくりと分け、衣装ケースに入れていました。
今回、衣替えの方法を教えていただこうと、整理収納アドバイザーのスズキナオコさんのご自宅を訪ねました。「私は大掛かりな衣替えをしなくてもいいように、クローゼットとチェストの中身をちょっと入れ替えるだけなんです」とスズキさん。
実際に見せていただいたクローゼットとチェストは、洋服がすっきり整理されている上、すぐに取り出しやすく収める工夫があちこちにありました。
どのような工夫なのかは、ぜひ誌面をご覧くださいね。

そんなスズキさんも、以前は部屋が物であふれていたそうです。そして、ある経験をきっかけに、今のようにすっきりと整理する状態に至ったことをお話くださいました。「クローゼットの風通しがよくなり、気持ちも晴れやかになりました」と話すスズキさんの笑顔は輝いていました。ご紹介くださった工夫を全部実行するのはむずかしくとも、まずはできそうなことを取り入れてみませんか?(担当:佐藤)

新感覚の上海料理で夏を乗り切る

2024年05月28日

新感覚の上海料理で夏を乗り切る
(30号「広岡今日子さんの夏の上海料理」)
日ごとに気温が上がり、蒸し蒸しとしてきました。はて、今年もまた猛暑となるのでしょうか……。そう心配する私に、「いやいや、日本の夏は序の口ですよ」と教えてくれたのは、上海の風俗・文化に詳しい広岡今日子さんです。
聞けば、かの地の夏は、気温も湿度も、日本とは段違いなのだとか。そこで広岡さんに、上海の人たちが夏に好んで食べる料理の作り方を教えていただきました。
たとえば、「糟貨(ゾーフ)」と呼ばれる冷菜4種や、上海人の好物・枝豆と豚バラかたまり肉の炒め煮。野菜がたっぷりとれる、ピーナッツバターと白ごまペースト風味の冷麺など。「作ったことない」「食べたことない」という驚きがありながら、どこか日本人の味覚になじむ5品です。1980年代に上海に滞在した広岡さんの思い出話も、どうぞお楽しみに。(担当:島崎)

気負わず、無理なく、リラックス

2024年05月27日

気負わず、無理なく、リラックス
(30号「わたしの手帖/小林聡美さん 自分が決めたことだから」)

「小林聡美さんが出演する作品は、間違いなく面白い!」
わたしにはそんな確信があり、出演作をずっと見てきました。14歳でデビューして以来、映画やドラマ、舞台で活躍するほか、日々の暮らしを綴ったエッセイも人気です。50代半ばで始めたピアノや、俳句、散歩、園芸など、多趣味なことでも知られています。
長年仕事で活躍しながら、好奇心の種はどこからくるのだろう。小林さんの魅力の秘密を知りたくて、取材を申し込みました。

初めてお会いした小林さんは、演じる役柄と印象が近くて、さっぱりと軽やか。「細かいことは、いちいち気にしない。思い残していることがあるのなら、できるうちに、やったほうがいい。だって人生、いつまで続くかわからないのだから」と話します。
一方、生き物の話になると、とたんに顔がほころびます。愛猫・ぺーやんとの暮らしや、山で出会う鳥の不思議について、目を輝かせて話し、撮影したカフェの看板犬が緊張しているのを察してじっくりと距離を近づける小林さんの姿が印象的でした。
気負わず、無理なく、リラックス。そんな小林さんが、日々の暮らしで大事にしていることについて、たっぷりと語っていただきました。(担当:平田)


暮しの手帖社 今日の編集部