暮しの手帖86号「肉厚のハンバーグ+試作室から」

2017年02月07日

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「ああ、もったいない……」
キッチンで試作する様子をご覧になっていた七條清孝シェフの、溜息交じりの落胆が忘れられません。
「なにか失敗をしているでしょうか? レシピ通りに煮込んだつもりなのですが……」とあわてる私に、シェフはこう仰いました。
「僕たち料理人は、材料のおいしさを1滴だって余すことなく、皿に落とし込みたいと思っているんです。おいしくなあれ、おいしくなあれ、というその気持ちは、案外おろそかに出来ないものですよ」
そして、デミグラスソースを煮詰めたあとの鍋のフチに、ソースがたくさんこびりついていることを指摘されました。
レシピに「2/3の量まで煮詰めます」とあったら、ついそのことだけを目指して、鍋をかき混ぜてしまうもの。だけど、「材料の一滴まで、おいしくなあれ」と思えば、鍋のフチにつくソースも、そのつど、丁寧に中に落とすものではないか……。
前日、キッチンで原稿を書きながら、片手間に鍋をかき混ぜたことを思い出し、ほんとうに恥ずかしくなりました。
この企画では、長年真剣に料理に向き合ってこられた七條さんに、「どうしてレストランで食べるハンバーグは格別においしいのですか。家で作るのとは何がどう違うのか、お聴きしたいのです」とお願いして、実現したものです。
上記のような心持ちのほかにも、家庭でできる工夫がたくさんあって、目からうろこがぽろぽろ落ちました。読めば納得のレシピを、ぜひ誌面でご確認ください。(担当/長谷川)

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試作を重ねてたどり着いた、私の「肉厚のハンバーグ」です。これまで作ったなかで、No.1のおいしさのハンバーグになりました。


暮しの手帖社 今日の編集部