ぼくらの旗は こじき旗だ
ぼろをつなぎ合せた
暮しの旗だ

花森安治(「見よぼくら一銭五厘の旗」より)

最新刊

戦争を考える

『暮しの⼿帖』5世紀37号

定価 1,100円(税込)/7⽉25⽇発売

いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら
トーベ・ヤンソンと戦争の時代
硫黄島の日々を語り継ぐ
翻訳者に教わる、知らない戦争を教えてくれる本

敗戦から80年–––。
巻頭特集「いま、『一銭五厘の旗』を立てるなら」

「一銭五厘の旗」は、『暮しの手帖』創刊編集長の花森安治が、1970年(2世紀8号)に発表した「見よぼくら一銭五厘の旗」という文章に由来します(※銭、正しくは旁のみ)。

戦時中、満州に出征した花森は、上官から「貴様らの代わりは一銭五厘(当時の葉書一枚の値段)で来る」と罵られました。権力者の利益のために庶民が犠牲になる構図は、戦後25年を経ても変わっていないと誌上で訴え、錆びついてしまった民主主義を組み立て直そうと、暮しの手帖社の屋上に、端布を縫い合わせた「一銭五厘の旗」を掲げました。

2025年7月、編集部で製作した「一銭五厘の旗」

2025年7月、編集部で製作した「一銭五厘の旗」

この社会のどんなことが気になりますか?

敗戦から80年を迎える今年、私たち編集部は、もう一度「一銭五厘の旗」を作りたいと考えました。いま、この社会に抱く違和感や気がかりを、それぞれに言葉にしよう。そしてお互いに、それを真摯に聴き合おう。なぜなら、人々が押し黙り、言うべきことを言わなくなったそのときに、戦争が始まるのだから──。
そのような思いから、『暮しの手帖』の5世紀37号(7月25日発売)の巻頭特集「いま、『一銭五厘の旗』を立てるなら」では、読者の方々をはじめ、作家、ミュージシャン、写真家など各界でご活躍の12名に「この社会のどんなことが気になりますか?」と質問を投げかけてご寄稿いただくとともに、12名各位に余り布を提供いただき、現代の「一銭五厘の旗」を作りました。

特別寄稿

瀧波ユカリ
柚木麻子
長島有里枝
坂本美雨
尾崎世界観
しりあがり 寿
馬田草織
内田也哉子
藤原辰史
山崎ナオコーラ
宇多丸(ライムスター)
高橋源一郎

読者投稿

堀越久美子

土の匂いはもういらないのか

春になって土手の菜の花は満開。
でも、子供の頃、両親と山ほど摘んだよもぎやせり、つくしは中々見当たらない。
秋のイナゴとりも、もはや夢だったかのようにイナゴをみつけることも、滅多になくなり、植物や虫と一緒に土の匂いを感じて過ごすことを次の世代に残していくことが、困難な気がする。
だが、自分の好きだった世界を、次の世代も望むものとは限らない。
のんきに草を摘んで食べていた私の幸せは私だけのものなんだろうか。


「いま、『一銭五厘の旗』を立てるなら」読者投稿一覧へ

Special Movie
「一銭五厘の旗」ができるまで

最新刊

特集 戦争を考える

『暮しの⼿帖』5世紀37号

定価 1,100円(税込)/7⽉25⽇発売

いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら
トーベ・ヤンソンと戦争の時代
硫黄島の日々を語り継ぐ
翻訳者に教わる、知らない戦争を教えてくれる本

関連本

花森安治

一銭五厘の旗

2,530円(税込)
B5判340ページ/ISBN978-4-7660-0026-9

この本の題の「一銭五厘の旗」とは庶民の旗、ぼろ布をつぎはぎした旗なのである。この本の全部に、その「一銭五厘の旗」を振りかざした著者の正義感があふれている。正義感ということばは正確ではないかもしれない。しかし、それに代わる適当な言葉が見つからない。よこしまなもの、横暴なもの、私腹をこやすもの、けじめのつかないもの、そういう庶民の安らかな暮らしをかき乱すものすべてに対する著者の怒りとでもいったらいいだろうか。(刊行当時の「毎日新聞」書評より)
『暮しの手帖』の基礎を築いた初代編集長・花森安治の思いが詰まった自選集、今なお輝きを放ちます。1972年(第23回)読売文学賞随筆・紀行賞受賞作。

写真・水谷吉法

もう二度と戦争を起こさないために
私たちは、この本を残します

歴史の授業や本で知る戦争は、その指導者、戦闘の経過、死者の数といった情報が多くを占めています。戦禍で親を、きょうだいを、子を失ったこと。家を焼かれ、財産を失い、飢えながら生き抜いたこと。約80年前、一夜にして戦場になったそこには、戦史には残らない、言語に絶する暮らしがあったのです。
先の大戦で、人々が、何に苦しみ、何を食べ、何を着、どんなふうに暮らしたか。どんなふうに死んでいったか、生き延びたか–––。
今を生きる私たちと、これから生まれてくる人たちが戦争の真実を知るために。この4冊を届けます。

関連本

はじまりはこの本から

戦争中の暮しの記録

2,750円(税込)/1969年8月刊

B5判292ページ/ISBN978-4-7660-0103-7

関連本

『暮しの手帖』創刊70周年記念出版

戦中・戦後の暮しの記録

2,750円(税込)/2018年7月刊

B5判312ページ/ISBN978-4-7660-0209-6

関連本

戦中・戦後の暮しの記録 拾遺集 戦中編

戦争が立っていた

1,870円(税込)/2019年5月刊

A5判・並製/236ページ/ISBN978-4-7660-0213-3

関連本

戦中・戦後の暮しの記録 拾遺集 戦後編

なんにもなかった

1,870円(税込)/2019年7月刊

A5判・並製/240頁/ISBN978-4-7660-0214-0

花森安治が手がけた、『暮しの手帖』1世紀96号の中吊り広告