いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら

読者投稿 ―この社会のどんなことが気になりますか?―

急がなくてもいい

2025年07月23日

世界は、忙しくなっている。時間は加速し続けていて、気づかぬうちに多くの人を追い立てるようになった。だから世の中は追い立てられる私たちのニーズに合わせて、時短やタイパという言葉を出現させたのだと思う。そしてうっかり、それらがクールでクレバーだと思い込まされてしまっている人たちがいるのではないか。私はそれが気になっている。

スマホでの数文字の返信、まだ使えるものを売り、または捨て、本は速読し、映画は倍速、手紙や年賀状はおしまい、食事は栄養調整食品で済ませ、風呂はキャンセルし、文章はAIにおまかせ。

そんなにも様々なことを全部ショートカットしてしまうのかと驚愕する。そして不安になる。

世の中の大事なことには大体時間がかかる。今は効率が良いと思えても、長い目で見るとそうでないこともあるのではなかろうか。今、「時短」としてカットしていることは、本当にカットしても良いことなのか。人助けは、彼らからすれば非生産的で非効率的なのではないか。

世界は忙しい。けれど時短やタイパは手段であって、目的でも本質でもない。人は急がなくても慌てなくても良い。あなたは何をせずとも存在するだけで価値がある。そう伝えたい。

 

永江美也子(ながえみやこ・読者)