恋しいキッチン

カヒミ カリィ

第12回 週末の朝、のんきな幸せとシャクシュカ

2026年03月04日

私がいちばん好きな食事は、週末のブランチかもしれません。朝、目が覚めて「あぁ、今日は早起きしなくていいんだ」と思えた瞬間の、あのちょっとのんきな幸せは堪りません。ベッドの中でぬくぬくしながら音楽をかけて、そのまま布団の中で背伸びをしたり、猫のポーズなどでストレッチ。だんだん体が目覚めてきたら、ふかふかの靴下をはいてキッチンへ向かいます。白湯や豆乳のカフェ・オ・レを用意しながら歯みがきをして、少し水分をとったら簡単な朝トレ。シャワーを浴びて、もう一度キッチンに立つころには、体もシャキッとします。ふと思い浮かんだ曲をかけたり、りんごのスライスをかじったりしながら、再びキッチンに立ってブランチを作りだします。

「シャクシュカ(Shakshouka)」は、そんな朝にぴったりのひと皿です。トマトなどを煮込み、玉子を落として仕上げる料理で、イスラエルの朝食の定番として知られていますが、ルーツは北アフリカのチュニジアにあるとも言われています。NYを中心にアメリカのカフェでも人気で、私も初めて食べた日からすっかり虜になりました。簡単でおいしく、しかもヘルシーの三拍子、気づけばわが家の定番になりました。娘のニキに「明日の朝、シャクシュカにする?」と聞くと、普段の週末はこれでもかというほど朝寝坊なのに、楽しみすぎて少し早起きしてくることがあり、思わず笑ってしまいます。

わが家では小さめの鉄のフライパンで作って、そのまま食卓へ。もちろんココットなど耐熱の器に移してから玉子を落とし、オーブンやトースターで火を入れてもいいし、ポーチドエッグをのせても。黄味がとろりとした半熟に仕上がれば完璧です。今回は本場に寄せて、トマト、パプリカ、玉ねぎのシンプルな組み合わせにしましたが、きのこやなすなどを入れても間違いなくおいしいです。仕上げにフェタやモッツァレラなどのチーズを少し散らすのも、私のお気に入りです。

そして、ぜひ一緒に用意したいのがフムス(Hummus)。ひよこ豆とタヒニ(練りごま)に、オリーブ油やにんにく、レモン汁を加えて作る、栄養満点のペーストです。カリッと焼いたバゲットやピタパンをちぎって、熱々のシャクシュカとクリーミーなフムスをすくって食べると、週末の朝がいっそう幸せな時間になります。ぜひ、皆さんのブランチにも迎えてみてくださいね!

文・写真 カヒミ カリィ



シャクシュカ(Shakshuka)

材料(2人分)
・玉子…2コ
・トマト缶(カット)…1缶(400g)
 ◎生のトマト6コ(600g/ざく切り)で代用しても。
・赤パプリカ…1コ(180g)
・玉ねぎ…1/2コ(120g)
・にんにく…2片
・トマトペースト、またはケチャップ…大サジ1杯(15g)
・オリーブ油…大サジ2杯
・塩…適量
・黒コショー…少々
A
・クミンパウダー…小サジ1杯
・パプリカパウダー…小サジ1杯
・コリアンダーパウダー…あれば小サジ1/2杯
・チリパウダー…小サジ1/4〜1杯
仕上げ
・フェタチーズ、またはモッツアレラチーズ(食べやすく切る)…30〜50g
・イタリアンパセリ、またはパクチー(刻む)…1つかみ
・パン(ピタパン、バゲット、カンパーニュなど)…適量

添えもの(好みで)
・ご飯(タイ米、ジャスミン米がおすすめ)…適量
・イタリアンパセリ(刻む)…少々
・唐辛子、またはホットソ-ス…少々

作り方
1 赤パプリカはヘタと種を取り、1cm角に切ります。玉ねぎ、にんにくはみじん切りにします。
2 フライパンにオリーブ油を引き、中火で熱します。パプリカ、玉ねぎを加え、塩1つまみを振り、しんなりとするまで7〜10分炒めます。
◎パプリカはよく炒めないと青っぽさが出るので、ていねいに炒めましょう。

3 にんにくを加え、香りが立ったらAを加えます。焦がさないように気をつけながら、1分ほど炒めます。
4 トマト缶、トマトペーストを加えます。軽く煮立ったら、弱めの中火にし、10〜15分煮ます。ヘラで時々混ぜ、パスタソースくらいにトロッとするまで煮詰めます。煮詰まりすぎたら、水50〜100mlを加えます。味をみて酸味が立つ場合は、砂糖1つまみ(分量外)を加えます。塩小サジ3/4杯ほどと、コショーで味をととのえます。
◎ソースは“少し濃いめ”に仕上げましょう。後で加える玉子から出る水分でちょうどよい加減になります。

5 ソースにスプーンでくぼみを2つ作り、玉子を割り入れます。フタをして弱火で5分ほど煮ます。白味が固まり、黄味がトロッとするくらいがおすすめですが、しっかり固めたい方は8〜9分煮ても。
6 火を止めて、チーズを加え、イタリアンパセリを散らします。パンをちぎって、ソースと玉子をすくっていただきます! 
◎辛味は控えめにしているので、足りなければ仕上げにチリパウダーを加えましょう。

 

NYブランチ系フムス(Hummus)

材料(作りやすい分量)
・ひよこ豆(水煮)…1缶(200g)
・重曹…小サジ1/4杯
・練りごま…大サジ3杯(40g)
・レモン汁…20〜40ml(レモン1/2〜1コ分)
・にんにく…1/2〜1片
・塩…適量
・氷水…大サジ1〜3杯
・オリーブ油、パプリカパウダー、クミンパウダー…各適量

作り方
1 ひよこ豆はよく洗い、ザルに上げます。鍋にひよこ豆と、たっぷりの水、重曹を入れ、中火にかけます。沸いたら弱火にして10〜15分煮ます。豆が指でつぶれるくらいまで柔らかく煮ます。
◎撹拌する前に、重曹を加えた湯で豆を温めておくと、皮がゆるんで柔らかくなり、滑らかに仕上がります。

2 豆を煮ている間に、にんにくをすりおろし、レモン汁と合わせて5〜10分おきます。こうすることで辛味が丸くなります。
 ◎私はNY風の、にんにくとレモンの風味がしっかり効いたフムスが好きなので、にんにく1片にレモン汁1コ分を入れますが、よりマイルドが良い方は、それぞれ半量にして、味をみて加減してください。
3 フードプロセッサー(またはブレンダー)に2を入れ、練りごま、塩小サジ1/2杯を加え、1分ほど撹拌します。白っぽくなり、もったりとしたクリーム状にします。
4 1のゆでた豆の湯をきり(少し温かいくらいが良いです)、3に加えて撹拌します。かたければ氷水を少しずつ加え、ねっとりツヤが出るまで2〜3分しっかり撹拌します。

5 味をみて、レモン汁(分量外)と塩でととのえます。器に盛り、真ん中にスプーンでくぼみを作り、オリーブ油を加えます。パプリカパウダーやクミンパウダーを振って完成です!

◎フードプロセッサーがない場合は、手順3以降で次の方法をお試しください。
ボールに、湯ぎりした豆を入れ、ポテトマッシャーでよくつぶします。2、練りごま、塩小サジ1/2杯を加えます。ここからが勝負で、泡立て器でぐるぐる混ぜます(泡立て器でしっかり混ぜると、空気が入ってクリーミーになり、ねっとりしておいしくなります)。かたければ氷水を少しずつ足して混ぜます。以降は手順5と同様にします。


カヒミ カリィ
ミュージシャン、文筆家、フォトグラファー。1968年生まれ。
フランスで約8年、アメリカで約13年暮らし、2025年春に日本へ帰国。
『暮しの手帖』の連載「すてきなあなたに」にも寄稿。
Instagram:https://www.instagram.com/kahimikarie_official/