腸を動かす朝ごはん 休ませる晩ごはん

暮しの手帖社

第3回 自分自身の体に向き合った料理

2026年05月11日

5月中旬の新刊単行本『腸を動かす朝ごはん 休ませる晩ごはん』の著者、藤井恵さんは50歳を過ぎたころに、それまで続けていた腸の働きを活性化する「腸活ごはん」に加えて、「腸を休ませる」ための食事を組み合わせることを考えました。
それまでは体にいいものをしっかり摂るということを心掛けてきたことで、少々食べすぎになって、胃腸に負担がかかっていたようです。
そこで、翌朝に気持ちよくお腹が空くような食事の工夫を始めたのです。

まず取り組んだのが「丁寧にスープをとる」ということでした。
以前は忙しく仕事に没頭し、毎朝のお弁当作りや家族の食事にと精一杯頑張ってきて、自分の健康にはきちんと向き合ってこられなかったと思い返します。
「自分の体のために」と考えたときに、どんな料理を作りたいか、食べたいか。
そこで藤井さんの心に思い浮かんだのが、「きれいなスープ」でした。
イメージしたのは、お気に入りのおでん屋さんの、その日開店してすぐのつゆ。
それは、まだ煮詰まっておらず、雑味が出ていない、澄んだ味わいのスープ。
使っている食材それぞれを感じることができるクリアなおいしさ。
「ごった煮のおいしさ」もあるけれど、まず思い浮かんだのは
そんな清らかな味でした。

自分のキッチンで試してみると、気持ちも癒されるようだったといいます。
たとえばいりこは、頭とワタを取り、乾炒りしてじっくり煮出す。
鶏ささ身のひき肉は、日本酒をしっかりなじませて酒炒りしてから、弱火で煮出す。
アクを丁寧に取り除く。
そして、料理に最も多く使うのは、昆布と干し椎茸のダシ。
それは動物性の食材を使わない、軽やかなでいて滋味深いおいしさです。
たくさんの野菜を水だけで煮るスープもいい。

じっくり丁寧にスープをとる。それ自体は大して面倒でも難しいことでもなく、ごくシンプルな作業。
その分、無心で集中できて、気持ちも落ち着くのだそう。
「その作業が癒やしにもなるんです」と藤井さんはいいます。
そしてそれがとびきりおいしければ、長く続けられる。
そのスープがあれば安心できるのです。
あれこれ何品もおかずを作らなくても、鶏肉や野菜の具だくさんのスープなら満足感も充分。
体調が思わしくないときには、スープだけだっていい。

「腸を休ませる晩ごはん」は、そうしたスープをはじめ、いくつかのポイントがあります。
たんぱく質は大豆製品を中心に。肉なら脂身の少ない鶏むね肉やささ身を。
食材のうま味や酢を活用して減塩する。
油を使って揚げる・炒めるよりも蒸す調理を。
翌朝しっかりと腸活ごはんを食べるために、活動しない夜には胃腸の負担を減らす。
消化吸収しやすい食材を選び、本当に必要なものだけを残してあとは削ぎ落とす。
すると朝起きたら気持ちよくお腹が空いている。

これから60代、70代を迎える藤井さんが、実感をもって提案する「腸を動かす朝ごはん 休ませる晩ごはん」。
いくつになっても元気に、健やかに暮らすために、みなさんの食卓に上手に取り入れてみてください。


タラ汁
材料(2人分)
・生ダラの切り身…2切れ
・白菜…200g
・長ねぎ…5cm分
・昆布と干し椎茸のダシ…カップ3杯
・日本酒…大サジ2杯
・塩…適量

作り方
1 タラはひと口大に切り、塩少々を振って10分ほどおく。たっぷりの湯でさっとゆで、水に取って汚れを除き、水気を拭く。白菜は葉と芯に切り分け、葉はひと口大に切り、芯は食べやすい大きさのそぎ切りにする。長ねぎは斜めうす切りにする(仕上げ用に適量取り分ける)。
2 鍋にダシ、白菜を入れて中火にかけ、煮立ったらフタをして弱火で10分ほど煮る。
3 2に日本酒、タラ、長ねぎを加え、再びフタをして5~6分煮る。塩小サジ⅓~½杯を加えてひと混ぜする。
4 器に盛り、仕上げ用の長ねぎをのせる。


5月中旬刊行予定『腸を動かす朝ごはん 休ませる晩ごはん』藤井 恵 著

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料理 藤井 恵
写真 福尾美雪