いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら

読者投稿 ―この社会のどんなことが気になりますか?―

言葉にならなくても

2025年07月23日

「お店のコンセプトは何ですか?」

これは昨年ちいさな本屋を始めてから、最も多い質問のうちのひとつだ。店を省みる、とても大事なタイミングになり、毎度背筋がぴんと伸びる。ただそれと同時に、自分はあまりにも言葉に頼り過ぎていないだろうかと心がざわついてしまう。

自らの姿勢を表す時には、相手に伝わりやすく、はっきりと伝えることは適切なことだろう。しかし、言葉にならないからこそ、できないからこそ、しないからこそ守られる大切なものも、そこにはあるのだと思う。言葉はもちろん素晴らしいものではあるが、わたしたちは自らの想いを何もかも言葉に託さずとも、言葉ではない何かへ載せたり、口ごもったり、ただぼんやり心の中で抱いていてもいいのではないだろうか。

そのような、言葉を扱う場の中で矛盾しているかもしれないことを、日々考えている。

 

川西郁香(かわにしあやか・読者)