いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら
「人それぞれ」の難しさ
2025年07月23日

「人それぞれ」という言葉が、気になります。
特に、それほど親しくない人との会話で使われる「人それぞれ」が、SNSで使われる「人それぞれ」が気になります。
まず、「人それぞれ」は会話での切り札になります。面倒な議論に発展させないための封じ手として、異なる価値観を持つ他者への理解を投げ出すための言い訳や建前として機能します。
ただ一方で、「人それぞれ」は事実でもあります。ある作品には「人が人によって変えられるのは四十五度まで。九十度、百八十度ねじれたら、人は折れる」とありますが、実際その通りで、どうしたって越えられない境界線があることもまた事実です。
このように「人それぞれ」は、「切り札」と「事実」という二面性を持ちます。
もし親しい人ならば、納得がいくまで話し合うことができるでしょう。しかし、この社会には、親しい人よりも、親しくない人のほうが圧倒的に多いのです。そんな社会の中で、どのように会話を試みて、どのように「人それぞれ」と向き合えば良いのでしょうか。
川畑祐介(かわばたゆうすけ・読者)
