恋しいキッチン

カヒミ カリィ

第4回 心身ともに癒やされる、韓国の干しダラのス-プ・プゴク

2025年07月02日

早くも猛暑の日々が始まりました。梅雨入りしたとは思えない日差しがまぶしい天気が続いていますが、この季節になると気圧や気温のせいか、いまひとつ体調が優れない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、そんな時にぴったりなレシピをご紹介しますね。

プゴクは、干しスケトウダラ(プゴ)を入れて煮込んだ、韓国のス-プ(ク)。キムチやスンドゥブチゲなど、唐辛子を使った辛い味つけの韓国料理が日本でも人気ですが、このス-プはまったく辛くなくて、干しダラのうま味と、玉子や豆腐の優しいおいしさが身体にしみます。

韓国では家庭でもよく作られる料理ですが、有名な専門店もあります。私がプゴクを知ったのは、NYからソウル経由で東京に帰省することになった時、韓国に詳しい方からお薦めされたのがきっかけでした。前夜から楽しみにしていて、朝起きてから店へ向かうと、すでにたくさんのお客さんでにぎわっていたので驚きました。

プゴの皮にはコラーゲンがたっぷりと含まれています。コラーゲンは肌の張りや弾力を保つために不可欠な成分なので、プゴがたっぷり入ったプゴクは美容スープとも言われているのだそう。

たんぱく質も豊富なのに低カロリー、しかも干しダラのたんぱく質は生ダラの2倍以上だそうです。プゴに含まれるたんぱく質にはアミノ酸の一種であるアスパラギン酸が豊富で、これにはアルコールを分解する働きがあるため二日酔いの朝にも良いらしい……なるほど、だから朝から人気なのかと納得です。私は初めて食べて以来、すっかりプゴクの虜になってしまい、アメリカに戻ってからも、アジア食材店でプゴをまとめ買いしては冷凍保存し、ちょっと風邪っぽい日や肌の調子が気になる時、疲れがたまってるなぁと感じる日などによく作っています。

ビタミン、カルシウム、カリウム、鉄分もたっぷりで、栄養満点なプゴク、作り方もとても簡単なので、ぜひとも作ってみてくださいね。干しダラとアミ(アミエビ)の塩辛はどちらも冷凍可能で長期保存でき、他の韓国料理のレシピにも使えますし、何とも言えないプゴクのおいしさに、きっとリピート間違いなしです。

作り方もいろいろで、また入れる具材は、干しダラと玉子だけのシンプルなものもありますが、私は豆腐や大根などをたっぷり入れて、これだけでもおなかが満たされるように仕上げています。

このレシピは簡単なゆえに、ちょっとした手のかけ具合でおいしさがアップする料理だなと思います。例えば、ダシの煮込み時間や、もやしのヒゲ根取り、仕上げの味のととのえ方など、丁寧にコツをお話ししますので、作る前に一度レシピを読んでみてくださいね。それでは作ってみましょう!

文・写真 カヒミ カリィ



プゴク

材料(作りやすい分量)
・干しダラ…50g
・豆腐(木綿、絹ごし、どちらでも) …1丁
・長ねぎの白い部分…1/2本
・大根…4cm
・もやし(あれば豆もやし) …1/2袋(100g)
・にんにく(みじん切り)…1片分
・アミの塩辛…大サジ1杯
・玉子(溶く)…1コ分
・ごま油…大サジ1杯
・しょう油…少々 
・塩、コショー…各少々
ダシ 
・昆布…5g
・煮干し…たっぷりひとつかみ
・玉ねぎ…1/2コ
・長ねぎの青い部分…あれば1本分

作り方
1 ダシをとります。鍋に水1ℓ、昆布を入れて、しばらくおきます。その間に、煮干しの頭とワタを取ります。鍋に、煮干し、玉ねぎ(丸ごと)、長ねぎの青い部分を加えて中火にかけ、沸いたら10分ほどコトコト煮ます。火から下ろし、ザルで漉します。
◎日本では、水が沸騰したら昆布を取り出しますが、韓国では煮干しと一緒にそのまま煮込むレシピが多いようです。コツは、少し面倒でも煮干しの頭とワタを取ること、そして10分以上は煮ないこと。煮込み過ぎない方が苦味が出ず、うま味のあるダシになります。今回は煮込んだ玉ねぎは使いませんが、翌日のみそ汁に入れるなどして活用してくださいね。
2 干しダラは長ければ切ります。ボールに干しダラ、水カップ1/2杯を入れて、10分以上おきます。豆腐は大きめの短冊切りにします。長ねぎの白い部分は、1cmほどはトッピング用に小口切りにし、残りは斜めうす切りにします。大根は短冊切りにします。もやしはヒゲ根を取ります。
◎もやしのヒゲ根取りは少し面倒ですが、おいしさがアップするので、ダシをとっている間のリラックスタイムだと思って、のんびり作業してくださいね。韓国では豆もやしを使うことが多いので、手に入るようでしたら使ってみてください。先端に黄色い豆がついていて、コリコリとした食感と豆の風味が味わえます。
3 2の干しダラをギュッとしぼり、出た水分を1のダシに加えます。しぼった干しダラに、ごま油としょう油を加えて軽く揉みます。
4 別の鍋に3の干しダラを入れて弱火にかけ、軽く炒めます。生ぐささが消えたら、ダシと大根を加え、中火にかけ、沸いたら10分ほど煮込みます。
5 にんにく、長ねぎ(斜めうす切り)、もやしを加えてさらに数分煮たら、豆腐を加えます。豆腐が温まったら、アミの塩辛を加え、塩・コショーで味をととのえます。
◎アミの塩辛は塩味が強いので、先に加えて味見をしてから、塩・コショーで味をととのえてくださいね。
6 弱火にし、溶き玉子をまわし入れ、玉子に火が通ったらすぐに火を止めます。
7 器に盛り、長ねぎ(小口切り)をトッピングしたら出来上がり!



カヒミ カリィ
ミュージシャン、文筆家、フォトグラファー。1968年生まれ。
フランスで約8年、アメリカで約13年暮らし、2025年春に日本へ帰国。
『暮しの手帖』の連載「すてきなあなたに」にも寄稿。
Instagram:https://www.instagram.com/kahimikarie_official/