新刊のご案内
編集長より、最新号発売のご挨拶
2025年09月24日

――編集長より、最新号発売のご挨拶
こんにちは、島﨑です。
厳しい暑さを乗り越えて、ようやくひと息。秋の味覚に心おどり、キッチンに立つのも楽しくなって、手仕事や読書も大いにはかどる。そんなうれしい季節です。
本号は、「栗の渋皮煮」や「干し柿」「編み物」などなど、秋に楽しみたいものをあれこれ欲張って詰め込みましたが、ここではその中から、「ふろく」として綴じ込んだ「ぬりえ」についてお伝えしたいと思います。
こちらは、1951年に小社が発行した『ぬりえ1』を復刻したもの。三岸節子さんや鈴木信太郎さん、小磯良平さん、初山滋さんなど、錚々たる顔ぶれの画家たちが下絵と見本の絵を寄せた、なんとも豪華な冊子です。
発案者は、小社の創業者・大橋鎭子。彼女の半生をドラマ化したNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が現在、再放送されているので、きっとご存じの方も多いかと思います。
それはある日、大橋が三岸さんのアトリエを訪れたときのことでした。制作途中の絵を眺めて、「わたしも描いてみたいわ」とつぶやいたところ、三岸さんが「この絵の下書きをあなたにあげるわ。それに色をつけたらいいの」と言って、一枚、くださったそうなのです。そこから、大橋はひらめきました。
「画家たちに協力してもらい、『ぬりえ』を作ったら喜んでもらえるのでは──」。
彼女らしいエピソードだと感じます。暮らしを少しでもより豊かに、より美しくと、日頃から考え続けた人でしたから。
「ぬりえ」のよいところは、絵心がなくても楽しめること。真っ白な紙を前にすると「何を描いていいやら」と考え込んでしまう人でも、すいすいと手が動き、自分だけの画集を作り上げることができます。
今回は、せっかくなので、編集部とご縁のある各界の方々にこの「ぬりえ」をぬっていただきました。ご参加くださったのは、イラストレーターの田村セツコさん、料理家の高山なおみさん、脚本家・演出家の小林賢太郎さん、エッセイストの古賀及子さん、ミュージシャンのカヒミ カリィさん、ギャグ漫画家の藤岡拓太郎さん、文筆家の甲斐みのりさん、画家のミロコマチコさん。
各位が仕上げてくださった「ぬりえ」は、なんとも自由で独創的! 作品は、38号の誌面や特設サイトに掲載していますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
読書の秋、ぬりえの秋。『暮しの手帖』とともに、短くも美しい季節をご堪能いただけますように。
『暮しの手帖』編集長 島﨑奈央
38号の目次、特設サイトは下記のリンクよりご覧いただけます。
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特集「復刻 ぬりえ」
