初夏の号が発売になりました。

2016年05月25日

表紙1_付録正し体

 珍しい!? 『暮しの手帖』に“付録”です。
 これは、どうしても皆さんとシェアしたかったから。
 ぼくは編集長に就任するなり、出遭いました。1946年夏につくられたたった20ページの薄い冊子の、まばゆい輝き。退色してぼろぼろになったそれを開くと鮮やかな色彩が両目を射ました。
 『スタイルブック』。大橋鎭子と花森安治が出会って編まれた、いっとう最初の成果物。『暮しの手帖』の初期形、記念碑です。
 誌面にはこんな言葉たちが躍っています。
「どんなに みじめな気持でゐるときでも/つつましい おしやれ心を失はないでゐよう」
「素直な線の美しさ」
「新しい生地がたとへ一尺もなくても」
「BLOUSE, I LOVE YOU」
「自分で工夫することは愉しい」
「HOME, HOME, SWEET, SWEET HOME.」
「風は自由の歌を歌つてゐる」
「素足のよろこび」
 どうですか? コトバが、文字が、きらきら舞っているでしょう?
 前年までは戦時下、敵性語とされていた英語もあちこちにあしらわれ、ここには「解放」の爆発的な歓びがある。誌面から確かに「自由の歌」が聞こえてきます。がれきからの真っ直ぐなメッセージです。
 大橋の自伝を読むと、爆発的に売れたとのこと。
「うれしかったのです。うれしかったのです。」と、あの日の思いを大橋は述懐しています。
 ここから今日まで70年、日本は何が進歩したのかなあ? と、つくづく考えこみもします。ぼくたちは本当に豊かになったのか、と。
 ……といった話もさることながら、なによりこれを手にしたみんながまずはこう叫ぶのです。

「可愛い!」

 最新号、本日発売! 盛りだくさんの特集たちとともに、どうぞご注目下さい。
(編集長・澤田康彦)


暮しの手帖社 今日の編集部