かわいいコックさんはかわいかった。

2019年03月25日

表紙_右DSC_0026

◎かわいいコックさんはかわいかった。
──編集長より、最新号発売のご挨拶
43ページをご覧ください。
1ページ大でど〜んと「かわいいコックさん」が!
あれですよ、あれ。「ぼうがいっぽんあったとさ〜♪」のあれです。
こういった子どもの伝承あそびを約29万点、日本全国から採集、分類し続けた人物がいた。
その人こそ、かこさとしさん。「だるまちゃん」シリーズなどでおなじみの絵本作家です。

この「かわいいコックさん」(単に「コックさん」とも)、みんなちょっとずつ描き方や歌がちがうんですよね。むかし「ぼくのはね、」「あたしのは、」って、おおぜいで披露しあった記憶があります。あなたのはどんなでしょう?
余談ですが、以前バリ島に行ったときのホテルでインドネシア料理を教えてくださったシェフは、小柄でクルクルまなこ、コック帽をかぶってキョトンとした感じで立っていました。ひと目見るなり同行の妻と「かわいいコックさんだ!」と同時にささやき合ったものです。いや、ほんとにかわいかったんですよ。

記事のご紹介は後日、担当者にゆだねるとして、かこ先生が生涯つらぬかれた「子ども」へのまなざし。親から子へ、歳上から歳下へと伝えていく「あそび」の大切さを、ぼくはつくづく思うのです。
鬼ごっこ、ささ舟、石けり、紙芝居……原っぱや庭、山や海や川で、自分の手足、体を思いっきり使い、工夫をこらしてあそんだ「あれ」が、どれほど滋養のあるものであったことかと。
もし、子どもと過ごす機会があったら、たまにはコンピュータゲームやスマートフォンを小休止、塾通いとかも一日お休みしてもらい、どこかの空き地で「けんけんぱっ」ってやりませんか? 「コッペパンふたつくださいな」とか。

もちろん、子どもだけではありません。
今号の本誌をご覧ください。
自分で海に潜って魚を捕り調理する、道ばたに咲く春の花をいける、四角と三角に裁った生地で春夏のカーテンを縫う、ソーセージやハムを手づくりで……等々、みんな「あそび」のように楽しそう。
あそびは発案と工夫がいっぱいで、人が人に伝えていく大切なわざであり、暮らしの知恵なのだな、と改めて。

第4世紀の『暮しの手帖』も、99号になりました。
次号で100号。その次はまた新しい世紀の第1号となります。

編集長・澤田康彦

sawada

春休み中の娘(小六・京都)にも歌って描いてもらいました。彼女のは耳がなかった!


暮しの手帖社 今日の編集部