花森さんの好きなもの

2016年07月20日

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まだ肌寒かった3月下旬、花森さんのご長女である土井藍生(あおい)さんを、ご自宅に訪ねました。
藍生さんはときどき、社にもいらしてくださったり、私たちのほうがお訪ねしたりして、花森さんのお話をしてくださっています。
「父はね、話し始めると止まらなくて。3時のお茶の時間に、好きな映画の話なんか始めるでしょう。もう、興に乗ると1、2時間は平気で話すのよ。あんまりおもしろく筋書きを語るから、後からその映画を観た方が、本物をちょっとつまらなく感じるほどだったと聴いたわ」
「編集部のみなさんは父の話が楽しみだったようだけど、しずこさんは、そんなおしゃべりばっかりしていないで早く仕事を再開してほしいでしょう。なんとか切り上げさせようと、やきもきしていたんですって」
しずこさんは、働くことが大好きで、仕事を通して「人と関わること」が趣味のようなひと。一方で花森さんは、企画を立て、取材し、文章を綴り、挿画も表紙も描き、誰よりも忙しいはずなのに、映画や音楽などの多彩な趣味があって、よく遊ぶひとでもあったようです。
楽しげに遊ぶ花森さんと、やきもきしているしずこさんを想像させるような品を、藍生さんが見せてくださいました。
そこには古い鉄道模型がたくさん。日本製だけでなく、ドイツ、イタリア、オーストリア、スイスなどの外国製もあります。
「私の息子とも、夢中で遊んでいたわ。会社の自室にも線路のレイアウトをして、自慢げに走らせていたのよ」
別冊『「暮しの手帖」初代編集長 花森安治』では、花森さんが暮しの手帖を通じて伝えた想いのほか、自らの暮らしをどんなふうに楽しんでいたのか、プライベートな一面にも迫っています。ぜひ、書店でお手にとってご覧ください。
(担当・長谷川)

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藍生さんから鉄道模型を預かり、本書のデザイナーであり、鉄道模型に詳しい白石良一さんにディレクションしていただきながら、レイアウトして撮影しました。精巧な作りの模型に初めて触れた私たちは、「これは夢中になるね……」。花森さんの気持ちが、少しわかった気がしました。


暮しの手帖社 今日の編集部