山の恵みに感謝して。

2019年11月28日

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山の恵みに感謝して。
(3号「『山の人』の生き方を料理に活かす」)

大きな栗の木、輝くきのこの群生、ほくほくの栗ごはん。
ここは石川県の霊峰、白山(はくさん)の麓・白峰(しらみね)。
きれいな水と、ゆたかな自然の恵みにあふれています。この地に暮らす織田三枝子さんは、その恵みをおいしくいただく知恵や工夫をこらす料理の達人です。
今回、10年以上前から三枝子さんの料理に魅せられてきたエッセイストの平松洋子さんが、白山・白峰を訪れ、その魅力をご紹介してくださいました。
平松さんは、こう言います。
「三枝子さんの料理は、山の風がさあっとこしらえたかのよう」と。
きのこ、あけび、栗、山菜……、山の澄んだ芳しい空気を感じる特集です。山の風がこしらえた料理、その数々は、ぜひ本誌にてご覧ください。
 
取材に同行した編集長の澤田に、三枝子さんの料理の話を聞く中でこんな一言がありました。
「三枝子さんは料理がすごく速いんだよ。ゆでた栗を砂糖と塩でささーっと合わせたの、おいしかったなぁ」。
編集部で待機していた私は、くいしんぼうの血が騒ぎます。一体どんな味なんだろう……?
それは、「栗の煮干し(にほし)」と言って、平松さんを通して作り方を教えていただきました。
「二晩、水に浸した栗の皮をむき、鍋に入れ、かぶるくらいの湯でゆでます。湯がほんの少しになったタイミングで砂糖、塩を入れてなじませます。水分をとばしながら、からりと仕上げるのがポイント」
さっそく作ってみたところ、ほんのりあまい素朴なおいしさに、手がとまりません。栗に、こんないただき方もあるんだなぁと、三枝子さんの知恵に触れた気持ちになりました。

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写真は、三枝子さんの「栗の煮干し」です。
(担当:佐藤/撮影:新居明子)


暮しの手帖社 今日の編集部