当事者の人も、そうでない人も

2020年05月26日

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当事者の人も、そうでない人も
(6号「等身大の介護」)

もしも、親が認知症になったら……。
夫が体調を崩し、介助が必要な状況になったら……。
時折そんなことを思い浮かべながらも、
「介護」と向き合うことがなんとなく怖いという気持ちがあり、
考えることを先延ばしにしてきた自分がいました。

そんな、なんとなく怖いという思いを払拭してくれたのが、
「自分がお世話をしているようで、実は相手からたくさんのものをもらっている」という、
この記事の執筆者の一条道さんの言葉です。

一条さんがお母さんのお世話をするようになったのは、
5年前の35歳の時のこと。
最愛の父親が亡くなり、自分が母親の介護全般を担うことになった時、
一条さんはなかなかその現実を受け入れられなかったといいます。

そんななか、どのようにして介護と向き合ってきたのか……。
この特集では、一条さんに自身の介護生活を振り返っていただくとともに、
それぞれのかたちを模索しながら介護と向き合う、2組の家族を訪ねました。

取材に伺ったのは、新型コロナウイルスの感染が拡大する前でしたが、
その後、感染が広がるに伴い、
介護の現場にも深刻な影響が及んでいます。

一条さんも、今はお母さんがデイサービスに行く回数を週1回に減らし、
在宅勤務をしながら介護をしているそうです。
「自宅でオンラインの会議がある時は、ヘルパーさんに来てもらっています。
この状況のなか、母もストレスが溜まってきて、
表情が険しくなったり、口調が激しくなることが増えましたが、
何かあっても気にしない、注意しない……。
おおらかな気持ちを持つように努めたいなと思っています」と話してくれました。

どんな状況になっても、目の前の人と向き合い、見守っていく。
一条さんをはじめ、取材を受けてくださった2組の家族の姿からは、
当事者の人も、そうでない人も、
得られる気づきがたくさんあると思います。
(担当:井田)


暮しの手帖社 今日の編集部