生き物は手がかかるからこそ愛おしい

2020年05月29日

中村桂子_DSC7301

生き物は手がかかるからこそ愛おしい
(6号「わたしの手帖/中村桂子さん 生きることは、時間を紡ぐこと」)

様々な方の「人生の手帖」に書きつけてある言葉をご紹介する、この企画。
今号は、科学者の中村桂子さんにお話を伺いました。

DNA研究の第一人者として長年活躍されてきた中村さん。
科学者というと、どこか遠い存在のようで、お会いする前は緊張していましたが、
取材当日は、チャーミングな笑顔で出迎えてくださいました。
好奇心旺盛で、「この間、こういうことがあってびっくりしたの!」と話題が絶えず、
丘陵を生かして造られた庭を足取り軽く昇り降りする姿は、とても84歳には思えません。

中村さんは50歳の時、「生命誌」という研究分野を生み出し、
一貫して「人間は自然の一部」ということを発信してきました。
何を当たり前のことを、と思うかもしれません。
けれど、中村さんのお話を聞くうちに、
便利な生活に身を置くことで、つい人間本位の考えをしてしまっている自分に気づきました。
「今の社会が求めていることは、手がかからず、思い通りに、早く。
でも、本来生き物はその真反対。
手がかかるからこそ愛おしいし、生きることに“早い”は合わないの」
そんな中村さんの言葉に、耳を傾けてみませんか。(担当:平田)


暮しの手帖社 今日の編集部