社会を少しずつ変えていくために

2021年04月01日

社会を少しずつ変えていくために
(11号「ファミリーホームを知っていますか?」)

みなさんにぜひご紹介したい、すてきな女性に出会いました。
吉成麻子(よしなり・あさこ)さんです。

吉成さんはいまから17年前、30代半ばで里親をはじめました。
実子4人を育てながら里子を迎え続け、
現在は、幼稚園の年少から小学5年生の子どもたち6人を自宅で育てています。

みなさんは、「里親」と「養子縁組」の違いをご存知でしょうか?
わたしは吉成さんと出会うまで、正直、よくわかっていませんでした。
吉成さんは持ち前の明るさで、いろんなことをほがらかに話してくださいました。
それは、わたしの知らないことの連続でした。
家庭で暮らせない子どもたちと、育てることができない親たち、彼らをとりまく様々な事情。
親の精神疾患や暴力、育児放棄、経済的な困窮……ひとりひとりに、切実な理由があります。

吉成さんは、それについて誰かを責めるわけではなく、
「ふとしたはずみで、自分も子どもを育てられなくなるかもしれないじゃない?
誰もがそう自覚し、社会のみなで支え合っていくことが大事だと思う」と話します。
わたしは、「力になりたいのですが、何ができるのでしょうか?」と尋ねました。
すると吉成さんは、こうおっしゃいました。
「まずは里親のこと、家庭で暮らせない子どもたちのことを、知ってもらうだけでいいんですよ」

それだけでいいの? と拍子抜けするかもしれませんが、
「まずはひとりでも多くの人がきちんと知り、感じ、考える。
それが行動につながって、社会を少しずつ変えていけるんじゃないかな」と、吉成さんは話します。
この記事でみなさんが里親を知り、考えるきっかけになれば、と願います。(担当:平田)


暮しの手帖社 今日の編集部