連載最終回です。ありがとうございました

2021年04月05日

連載最終回です。ありがとうございました
(11号連載「有元葉子の旬菜」)

「有元葉子の旬菜」では、有元さんの暮らしのなかに生きている、季節ごと旬の食材を使ったレシピをご紹介してきました。
その季節にぜひ味わいたい旬の食材とは。どんなふうに選んでどう料理すると一番おいしいか。1年、6回にわたってうかがいました。
連載第一回は、新れんこんなどの「新」が名につく野菜と、ぬか漬けをご紹介しました。初夏の瑞々しい香りや食感を生かして味わうためのレシピでした。
この連載が始まるにあたって、昨年このコーナーで次のように書きました。
「いま私たちは、未曾有の経験をしています。
一時期、スーパーの棚から、インスタントやレトルト食品が、真っ先になくなりました。
そんなときでも、シンプルに素材を料理する力があれば、そうそう困らないはずです。たとえば、ぬか床があれば、それだけでもずいぶん豊かな食卓になるのです。
しっかりと自分の手で食べるには、生きるには、どんなことを感じて手を動かせばいいか。そのヒントになる有元さんのお話と料理をお伝えします」
コロナ禍での暮らしも、ずいぶん長くなりました。私たちは、様変わりした生活習慣に自身を慣らしていくことも、少しずつできてきたように思います。
いま一度、この連載で有元さんが伝えてくださったこと、心に残っている言葉をよく考えてみます。
最初の取材で、有元さんはおっしゃいました。
「私は、あまり食べるものを人任せにしたくないのです。納得して安心できる、おいしいものをきちんと選びたい」
きちんとおいしい食材を選べば、簡単な料理でも充分においしいものです。
「出来合いの味」を買うのではなく、自分の体調や好みに合わせた「おいしい」を作る。
「料理の楽しさ」のひとつは、自分が本当においしいと思うものを自分の手で作ることだと思います。
今号では、竹の子、ワカメ、真鯛、そら豆、アスパラなどの春の素材、ことにその取り合わせの妙に着目した料理をご紹介しています。
今回も、料理を楽しむいくつものヒントを教わりました。この春も、ぜひおいしい「旬菜」を味わいましょう。
この連載は、今号が最終回です。季節をひと巡りしてちょうど1年間でした。
ご愛読くださり、誠にありがとうございました。(担当:宇津木)


暮しの手帖社 今日の編集部