あの草の名は

2022年07月28日

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あの草の名は
(19号「tagottoさんの雑草標本」)

その植物標本は、逗子にあるパーラーの壁に飾られていました。可憐な花に、ひょろりとした細い茎、そこから伸びるたくさんの小さな葉、細かい根っこの一本一本が、台紙にきれいに糸で留めつけられています。その仕事の丁寧なこと! ルーペで細部まで観察したくなるほどです。手書きのラベルには「ペラペラヨメナ」とありました。
「はて、この植物は一体?」。その場で検索してみると、ああ、知っている花です。よく、アスファルトの割れ目などからたくましく顔を出し、咲いているのを見かけます。そうか、あの花はにこんな変な名前がついていたのか……。

パーラーの店主に尋ねると、その標本を作ったのはtagotto(タゴット)さんという方で、なんでも、雑草ばかり標本にしているとのこと。美しい手仕事に魅了された私は、その方に会いたいと思いました。なぜ、雑草を? いったいどうしたら、こんなに精緻な標本が作れるのですか? 詳しくお話を伺いたいと思ったのです。

記事では、tagottoさんがこれまで作りためた1000点を超える雑草標本の中から、選りすぐりを掲載し、彼女の雑草愛をご紹介しています。標本の作り方も載せていますから、ぜひひとつ、作っていただけたらと思います。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部