はじめての上海家庭料理

2022年10月03日

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はじめての上海家庭料理
(20号「広岡今日子さんの上海家庭料理」)

今の上海というと、煌びやかな高層ビルが立ち並ぶ大都会のイメージでしょうか。1980年代、上海に留学していた広岡今日子さんは、当時の上海が忘れられないと言います。
「欧米の租界地だった上海には、イギリス、アメリカ、フランスなどの文化を色濃く受けた独特の文化が栄えていました。アールデコの街並みや調度品にはとくに感動しましたね。街には、里弄(リーロン)と呼ばれる集合住宅がひしめいており、私はそこで、現地の友人たちから家庭料理を習ったものです」

それらの料理を、今でもくり返し作り続けているという広岡さん。上海の家庭料理の特徴は、にんにくなどの香味野菜をほとんど使わないやさしい味で、青菜をたっぷり使うこと。私の知っている中国料理とはほど遠く、驚きました。今号では、里いも、れんこん、栗など、秋の味覚を楽しめる6品の上海料理を教えていただきました。

そのなかで、私がとくに気に入ったのは「里いものねぎ油炒め」です。材料は、里いも、細ねぎ、油と塩、砂糖のみ。たったこれだけなのですが、じっくり炒めたねぎの香ばしさと少しかための里いもの食感が、手が止まらなくなるおいしさなのです。(里いも2袋、ペロリと食べてしまうので、注意! です)

それぞれのレシピは、広岡さんの思い出とともにご紹介しています。古き良き上海に想いを馳せながら、作っていただけるとうれしいです。(担当:小林)


暮しの手帖社 今日の編集部