自分の手でものを作る喜び

2023年09月20日

75th_KB_ringobako

自分の手でものを作る喜び。
(創刊75周年記念別冊「リンゴ箱で作る椅子」)

創刊75周年記念別冊を編むにあたり、編集部に保管されているバックナンバーを読み直しました。当時の号は紙質が粗く、年月が経って日に焼けているので、今にもポロポロと破れてしまいそうです。一頁一頁を、そっとめくりました。

戦後しばらくの間は、人々は必要に迫られて、なんでも手作りする時代でした。創刊当時の『暮しの手帖』では、身の周りのものを使って少しでも心地よく暮らすための工夫や知恵をたくさん紹介しています。1世紀2号(1949年)の、リンゴ箱を利用して作る椅子の記事も、その一つ。当時のリンゴ箱は、二十円ほどで果物屋で購入できたそうです。アイデアが興味深く、シンプルなデザインで作りやすそう。そこで実際に作ってみたら、どんな発見があるだろう?と思い、企画しました。

監修は、古材を使った家具や店舗の空間づくりをされている、ReBuilding Center JAPANの東野唯史(あずの・ただふみ)さん。東野さんもこの企画を面白がってくださり、当時の記事を読み解きつつ、ていねいにご指導いただきました。

おがくずとリンゴを入れて、全国を移動してきた働き者のリンゴ箱は、一つ一つに個体差があり、実際に解体して椅子を作るのは、思っていたよりもずっと大変でしたが、図工室にあったような、素朴な椅子が出来上がりました。
手作りの家具は愛着がわきますし、暮らしの一部を作っている実感があってうれしいものです。手でものを作ることのゆたかさ、大切さを思い、『暮しの手帖』の原点に触れたような経験でした。(担当:佐藤)


暮しの手帖社 今日の編集部