漆器を愛するお二人に聞きました

2024年02月05日

漆器を愛するお二人に聞きました
(28号「漆器を使ってみませんか?」)

以前、日野明子さんの連載「あれやこれや、道具の話」を担当していた時、「漆器に盛りつけると、ごはんやおかずがおいしそうに見える」「漆器は手触りがいいから、洗うのも楽しい」など、日野さんがたびたび漆器について話されるのを聞いていました。いつか使ってみたいなあと思いながらも、決して安くはなく、食洗機に入れられないことも気にかかり、宝の持ち腐れになりそうで購入には至らないままでした。

そんな折、漆器を扱うギャラリー「スペースたかもり」主宰の髙森寛子さんと日野さんが、漆器の産地へ旅行に行かれたと聞き、その様子を尋ねてみました。すると、「漆器のこととなると全然話が尽きなくて、二人でかなり盛り上がりましたよ」と日野さん。一体、どんな話で盛り上がったんだろう。漆器の世界に一気に興味がわいてきて、髙森さんと日野さんに漆器について話してもらったら、私のように使ったことのない人にもその魅力を伝えられるのではないかと考えました。

この特集では、お二人がすすめる漆器の使い方や選ぶときに気を付けること、簡単な手入れの方法などについてお話を伺いました。また撮影は、お二人が愛用する漆器に料理やお菓子を盛りつけて、日常使いのイメージがわくように工夫しました。みそ汁やうどんなどの何てことない料理がぐんと映えることも、漆器の大きな魅力です。

これまで、漆器は扱いが難しそうだし、自分にはもったいないと考えていた私も、お二人の話を聞くうちに、気軽に自由に使っていいものだと知りました。そして取材後に汁椀とスプーンを手に入れて、毎日手触りや口当たりを楽しみながら使っています。
漆器をこれから使ってみたい方はもちろん、すでに使っている方にも役立つお話がたくさんありますので、ぜひご覧いただけたらうれしいです。

最後になりましたが、本特集に掲載する漆器の多くは、石川県輪島に根ざした作り手によるものです。このたびの能登半島地震で被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。(担当:田村)


暮しの手帖社 今日の編集部