編集長より97号発売のご挨拶

2018年11月24日

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創刊70周年記念企画第二弾は、
16ページ増の冬のお役立ち特大号です。
──編集長より97号発売のご挨拶

編集部のちいさなクローゼット。
夏場はよゆうのあるこのスペースが、だんだん「きつきつ」になってきました。
みんなのコート、厚手のオーバーが掛かり出して、満員電車のよう。
青黄赤緑ベージュ黒……コートの色も、もちろんデザインも、生地も、それぞれ思い思いに選ばれたものです。
そういう好みがばらばらの編集者たちが集まって、ひとつにまとまる。雑誌って、それだから面白いんだよなあ、って、編集長はしみじみ思う。コート眺めて。
今年はおつかれさま。来年も愉しく行こうね!
なんて、そんな季節であります。

あっというま。もう11月下旬で、12月はあっというまに巡ってくる。いつもそんな気がします。
「12月、大きらいや」うちの母は、ずっとボヤいていたものですが、子どものぼくには不思議でなりませんでした。冬休みにケーキに雪遊びにお年玉。お正月の朝は、世界が変わったかのように清潔で、新鮮で。
母に聞けば、クリスマス会の準備、大掃除、年賀状書き、もちつき、しめ飾りつくり(裏山にウラジロを取りに行っていました)、着物の準備、お年玉の用意、おせち料理づくり、買い出し(お正月の三が日はお店が閉まっていました)……「ろくでもない」とのこと。
なるほど、家事全般を担っていた、典型的な昭和の主婦である母のボヤきは、いまではよ〜くわかります。
そんな苦労も知らずに、クリスマスもお正月も、うちの父ときたら、のんきに大勢の同僚を呼びつけて、どんちゃんやっていました。ぼくにはプレゼントやお年玉が増えて、とてもうれしかったものだけれど、母や祖母が台所で眉をひそめてお燗をつけているの図、もよく記憶しています。

昭和は去り、平成も終わろうとしているいま、昔のような「ザ・お正月」という感覚が薄くなり、昭和を生きてきた自分はちょっとさびしく感じています。なんかメリハリがないなあ、なんて。
それでも師走〜新年というものは、なにかと忙しく眩しくうれしく、逆にたいへんで、(母などには)実にいまいましいもの。いずれにしても特別な時節ということは変わらないものかもしれません。

みなさんはどんな冬を過ごされるのでしょう? よいことがたくさんありますように。
『暮しの手帖』最新の冬号は、増ページにして、リース、お正月飾り、かたまり肉の料理、昆布締め、ストール、ボードゲーム……等々、たっぷりのアイデア、読み物をご用意しました。
月曜日からは、例によりまして、各担当者が現場からご報告します。
しばらくおつきあいのほど、どうぞよろしくお願いします。

編集長・澤田康彦


暮しの手帖社 今日の編集部