じっくりと掘り下げて考えてみたら

2021年08月05日

じっくりと掘り下げて考えてみたら
(13号「わからないって、面白い」)

悩んだとき、落ち込んだとき、「本に救われた」という経験はありませんか?
今回ご紹介するのは、そんな本の力を信じるご夫妻の物語です。

青木真兵(しんぺい)さんは37歳、海青子(みあこ)さんは36歳。
幼い頃から本が大好きなふたりは、奈良県・東吉野村の自宅で私設図書館を開いています。
「縁もゆかりもない山村に移住して図書館を開くなんて、どんな方たちなのだろう」と興味を持った私たちを、
ふたりは、「こんな山奥にわざわざ訪ねて来てくれる人とは、気が合うと思って」と、和やかに迎え入れてくれました。

社会のこと、お金のこと、仕事のこと。
真兵さんと海青子さんとの会話は、はっとするような新鮮な視点をもたらしてくれます。
特に印象的だったのは、海青子さんの言葉。
「”わからない”と言うのは恥ずかしいことだと思っている人もいるかもしれないけど、
わからないって面白いことなんですよ。
”わからない”からはじまることって、いっぱいありますよね」

その言葉通り、疑問や気になることがあると、とことん考えて、話し合うふたり。
問題の根源に立ち返ったり、本を読んで先人たちの知恵を授かることで、意外な答えが見つかるそうです。
だから真兵さんは、「わからないことを増やしていきたい」とも言います。

そんな話を聞いていたら、わたし自身は納得いかないことがあっても、つい忙しさにかまけて、
「そういうものだから、仕方ない」と、手っ取り早く片付けていたことに気づかされました。

人生に行き詰まったときにも諦めずに考え、自分に嘘をつかずに生きていきたい。
ふたりのこれまでの、決して平坦ではない道のりを聞くにつれ、そんなことを考えるようになりました。
みなさんもぜひ、誌面を通してふたりの言葉に耳を傾けてみてください。(担当:平田)

●真兵さんと海青子さんのおしゃべりは、インターネットラジオ「オムライスラヂオ」でも聞くことができます。
https://omeradi.org/


暮しの手帖社 今日の編集部