暮しの手帖社 | あんこ好きなら、ぜひ。

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2018年02月02日

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あんこ好きなら、ぜひ。
(92号「春はのどけし、和菓子はうれし」)

もう20年ほど前のことでしょうか、某グルメ情報誌の表紙にあった、「和菓子の春だな。」という特集タイトルが目に留まったのは。開くと、どら焼きや大福、色とりどりの上生菓子。エッセイストの檀太郎さんが、「どら焼きには、うすめに淹れたブラックコーヒーが合うんだよね」と語っていました。
そうか、どら焼きにコーヒーね……と、さっそく御徒町の「うさぎや」に買いに走った、思えばあれが、私が和菓子好きになったきっかけでした。
きんつばやお饅頭といった庶民的なお菓子に始まり、ここ数年で、上生菓子も大好物に。週に1度は和菓子屋さんを覗き、ちいさな工芸品のようなお菓子たちを眺めて、ちょっと迷いながら選び出す、そのたのしさ。
いそいそと持ち帰ったら、丁寧にお茶を淹れて、いま一度、美しい姿かたちを眺めて愛でつつ、背すじをのばしていただきます。ああ、おいしいな、しあわせだな……。
そんな話を友人たちにすると、「あんこは好きだけれど、上生菓子って、なんだか縁遠いんだよね」という反応。いわく、日持ちがしないから1、2個しか買えないのだけれど、それではお店に嫌がられるのではないか、という気兼ねがある。いわく、お抹茶と合うのはわかるのだけれど、茶道の心得がないから、点てられそうにない。
うーん、あんこが好きなら、それはあまりにもったいない! では、上生菓子がもっと身近になるような、和菓子のたのしみ方をやわらかく伝える企画ができないかな? と考えたのが、今回の特集です。
まずはじめに、早春から春爛漫までの上生菓子と、それぞれにぴったりの日本茶やコーヒーの組み合わせをご紹介。指南役は、和菓子好きが高じて、レコードプロデューサーから和菓子作家に転身したという金塚晴子さんです。
さらに、どなたでも簡単にお抹茶を点てられる、いわばお抹茶の「レシピ」も教えていただきました。
季節をずいぶん先取りした和菓子を制作してくださったのは、「とらや」の東京工場長である森山一幸さん。かろやかで素敵な器のスタイリングは、高橋みどりさんによるもの。なんとも贅沢な頁ができ上がりました。
まだまだ寒さ厳しいこの頃ですが、ためしに、早春のやさしい色あいの和菓子をひとつ、お好きな器とお茶でお召し上がりください。テーブルの上に、のどかであたたかな春が、たしかに訪れるはずです。(担当:北川)


暮しの手帖社 今日の編集部