じゃがいもの版画なんです!

2019年02月04日

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じゃがいもの版画なんです!
(98号「山室さんのじゃがいも版画教室」)

緻密でやさしい風合いの草花や鳥、虫たち。
切手形の和紙に描かれたものもあります。
にわかには信じがたいのかもしれませんが、
これらは、「じゃがいも版画」なのです。
北鎌倉の山室さんは、独自の手法を生み出しながら、
30年近くも制作を続けていらっしゃいます。

鳥のふっくらとした羽毛には2版、3版と重ねた多色刷りを。
大きな絵柄には別の版を合体させるなど、熟練の技が施されています。
版材が生ものですので数多くは刷れず、
せっかく彫った版は長く保存することもできません。
でも、じゃがいもの水分と澱粉が適度に絵の具と混ざり合うためか、
やわらかでしっとりとした刷りが得られるのが魅力です。

8年前に山室さんの作品に感動して以来、
いつの日か「じゃがいも版画の作り方」のページを作りたい……とずっと願ってきました。
今回ようやくその機会に恵まれ、はじめてでもできる初歩的な図案、
「いちご」「かぼちゃ」「紫花豆」「花吹雪」を教えていただきました。

元来不器用な私、試作の時点で何度も失敗……。
「多少うまくいかなくたって、それもじゃがいも版画の『味』ですよ」と
山室さんに励ましをいただきながら、次第に手が慣れていきました。
回を重ねるたび、失敗を次の作品に生かすことが喜びに。
今では、不出来でも仕上がったものは愛おしく、
裏紙に押した「いちご」の試し刷り(写真)でさえ、捨てることが出来ません。

みなさんも、じゃがいもが描き出す世界を楽しんでみませんか。
そこには、物作りの楽しさと喜びがあふれています。
(担当:村上)

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暮しの手帖社 今日の編集部