多くの人に愛されて
(創刊75周年記念別冊「ロング連載を紹介します」)
暮らしに役立つ、ちょっとした知恵を募る「エプロンメモ」。
毎日をみずみずしく保つ、小さな心がけを綴る「暮らしのヒント集」。
ささやかな、けれどキラリと光るすてきな出来事をご紹介するエッセイ「すてきなあなたに」。
読者の方々に、家族にまるわる物語を寄せていただく「家庭学校」。
これらはいずれも、『暮しの手帖』愛読者にはおなじみの連載です。けれど、長い読者の方々でも、それぞれの長い歴史についてはあまりご存じないのかも……? ということで、創刊75周年記念別冊では改めて、ロング連載の成り立ちを紐解く頁をもうけました。
「エプロンメモ」の頁では、連載を開始した1世紀25号(1954年)以降の1世紀号の中から、22編を選りすぐってご紹介。「暮らしのヒント集」は、初回の2世紀1号(1969初夏)をはじめ、時代ごとに4号分を再録しました。同じく2世紀1号にスタートした「すてきなあなたに」の初回や、「家庭学校」傑作選も掲載しています。
これらの頁を編むにあたり、バックナンバーを読み漁っていると、その時代、その時代の読者の方々の顔が、くっきりと見えてくるようでした。ことに、五十余年分の「家庭学校」の投稿を読み込んだ時には、深く感じ入るものがありました。
子どもの心配、夫婦の葛藤、嫁姑問題……。いつの時代の、どんな人の暮らしにも、何かしら悩みの種があり、みんな泣いたり笑ったりして生きてきた。そうして連綿と続く歴史の先に、今がある。そう考えると、投稿してくださった方々、読者の皆さん、そして現代を生きる私たち、すべての人の人生が、なんだかとてもいとおしく思えてくるのです。
こんなふうに温かい気持ちになれるのも、この連載が、この雑誌が、長きにわたって多くの人に愛されてきたからこそ。改めて感謝の気持ちが湧いてきます。(担当:島崎)