重い病気を抱えた子どもと家族のために

2024年06月05日

重い病気を抱えた子どもと家族のために
(30号「子どものホスピスを知っていますか?」)

皆さんは、「子どものホスピス」のことを、ご存知でしょうか。お恥ずかしながら、私は、小児がんの専門医・細谷亮太さんにお話を伺うまで、ぼんやりとした知識しかありませんでした。細谷さんは、こう言いました。
「ホスピスというと、死ぬための場所をイメージするかもしれません。でも、子どものホスピスは違います。たとえるなら、山小屋のようなもの。一生懸命に山を登る子どもとその家族が少し休憩し、また登るための場所のことです」
細谷さんは、北海道で、がんなどの重い病気を抱えた子どもたちを招待してキャンプを行う活動をしています。その細谷さんの呼びかけで、子どものホスピスについて語り合う鼎談を行いました。
ご参加くださったのは、幼い娘さんを脳腫瘍で亡くした経験から、関東では初となる民間ホスピス「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」を開設した田川尚登さん。そして、奈良の東大寺境内で、難病を抱えた子どもと親への「おもてなし」を行っている「奈良親子レスパイトハウス」の代表幹事で、医師の富和清隆さん。
既存の公的な医療制度ではまかないきれない、民間だからできるきめ細やかな活動とはどのようなものか、また、その活動が今どんな支援を必要としているかについて、伺いました。

子どもたちの生命力。長さでは計れない、人生というものの豊かさ。病児を抱える家族の切実な思い。支援者の方々の良心と活動のよろこび……。取材を通して、知らなかった世界を知り、胸を衝かれる瞬間が幾度もありました。皆さんもきっと、そうした大切なメッセージを受け取ってくださると思います。そして、子どものホスピスに「自分も関わりたい」「自分にもできることがあるかも」と考えてくださったら、と心から願います。(担当:島崎)


暮しの手帖社 今日の編集部