すべての新米パパに贈りたい

ヨチヨチ父――とまどう日々――
『ヨチヨチ父――とまどう日々――』 ヨシタケシンスケ 著
赤ちゃんとママ社 900円+税 装釘 関 善之

 中川李枝子さんの『子どもはみんな問題児。』や川上未映子さんの『きみは赤ちゃん』など、子育て中のすべてのママに薦めたい本は何冊かあるけれど、パパに薦めたいと思った初めての本です。
『ヨチヨチ父(ちち)』。タイトルから笑ってしまう。とくに口頭でひとに伝えると、「え?」と100%聞き返されるので、「えっと……、ヨチヨチする、お父さんの“チチ”」とジェスチャー込みで説明しないと伝わらない。

 本書には、2児の父である絵本作家のヨシタケシンスケさんが、育児がひと段落ついた今、「パパ目線の初めての育児」というテーマで描いた “トホホな出来事”が、55編掲載されています。

 わが家にももうすぐ3歳になる怪獣君がいるのですが、その数々のトホホに笑い、ああ、そうよね、うんうん、そっかあ、と共感し、いろいろ思い出してちょっとホロリとしてしまいました。わが夫のことも、少しわかったような気がしたのです。さっそく夫(育児ものはほとんど読まない)にも渡してみると、珍しく声を上げて笑いながら、あっという間に読破して、なんと読み返して、また笑っていました。たいそう納得したようです(具体例をあげたいところなのですが、ヨシタケさんのおなじみのイラスト込みで読んでいただいたほうが絶対に面白いので、敢えてあげません)。
 
 「ぜんぜん共感できないなぁ」なんてパパがいたら、よっぽどよくできたパパでしょうから自信を深めてもらい、「そのとおり!」というパパにとっては、少し気が楽になるのではと思います。同じくママだって、「わたしにあてはまる」と感じるかもしれないし、もしくは、夫に対して少しやさしい気持ちになれるかもしれません。たくさんの育児中のひとたちが笑顔になることを願って、本書をお薦めします。(小林)


暮しの手帖社 今日の編集部