なつかしいあの町へ

2021年05月31日

なつかしいあの町へ
(12号「牧野伊三夫のスケッチ旅 すがおの飛騨高山」)

時折、昔住んでいた場所や、旅行で訪れた土地での思い出がふと蘇り、
無性にそこへ行きたくなることがあります。

みなさんにも、故郷ではないけれど、
ときどき心に浮かぶ場所があるでしょうか。

この特集は、画家の牧野伊三夫さんが、
ご自分にとってのなつかしい町、岐阜県高山市を久しぶりに訪ね、
絵を交えて綴ってくださいました。

牧野さんが高山に通い始めたのは、約10年前。
きっかけは、家具メーカー「飛騨産業」の広報誌『飛騨』を作ることでしたが、
通ううちに、高山の歴史や、人びとのまっすぐな気質に、
心惹かれるようになったと言います。

印象的だったのは、取材でなじみの店を訪れた時、
まるで昔からの友人に会うように、牧野さんが柔らかな表情を浮かべ、
「お久しぶりですね」「お元気でしたか」と声をかけていたことです。
そして、お店の方々も、時に冗談を交えながら朗らかに言葉を交わします。
初めて訪れた私にも同じように接してくださり、
話しているうちに、いつの間にか心がほぐれていきました。
あぁ、高山の人々のこういった飾らない、あたたかな人柄に
牧野さんは惹かれ、通い続けているのだと実感したひとときでした。

牧野さんのまなざしを通して、ぜひ、観光旅行とはひと味違う、
「すがおの飛騨高山」の旅をお楽しみください。(担当:井田)


暮しの手帖社 今日の編集部