和食だけじゃ、もったいない

2023年06月01日

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和食だけじゃ、もったいない
(24号「隠し味は梅干しです」)

今、わが家の冷蔵庫には、保存袋に入った梅干しが2袋あります。実家の母が毎年送ってくれるのですが、白米のお供やおにぎりの具として使う以外は、たまにきゅうりや山いもの梅肉和えを作る程度。梅干しの味は好きだし、体にいいのもわかっているのですが、なかなか減らなくてー。
そんなことを料理家の今井真実さんにぽろりと話したことから、この企画が生まれました。

今井さんは20代の頃から毎年欠かさず梅干しを漬け、「梅が出回り始めるとソワソワして落ち着かない」と話すほど、梅仕事が大好き。そんな今井さんから「梅干しは洋風の料理にも合うんですよ!」と聞いて、梅干しへの興味がむくむくと沸いてきたのです。

「酸味と塩味に加えて、うま味やフルーティーさがあるから、レモンやドライトマト、酢などの代わりに使うのがおすすめです」と話す今井さんに、「クリームスパゲティ」や「アクアパッツァ」、「ポテトサラダ」といったおなじみの洋風料理の隠し味として、梅干しを加えるレシピを教えていただきました。
食べてみると、梅干しの味はそれほど強く感じないのに(家族は梅干しを入れたと気づかないものもありました)、爽やかでキリッと締まった味になること、生クリームやチーズなどの乳製品と相性がいいことに驚きました。そして、「梅干しの可能性はすごい‼︎」と熱く語る今井さんの言葉に納得したのでした。

裏話として、撮影してくださった写真家さんは梅干しが苦手と聞いていましたが、撮影当日、ひと口食べてみたところ、「あれ? 大丈夫です、おいしいです!」と全品を完食。「苦手と思い込んでいただけかもしれません」とまでおっしゃっていて、梅干しの「隠し味」としての力に皆で感心しました。

市販の梅干しの売り上げが大幅に落ちるといった“梅干し離れ”がニュースにもなっていましたが、梅干しの魅力、懐の深さを改めて知っていただき、いろいろな料理の「隠し味」として活用してほしいと願っています。(担当:田村)


暮しの手帖社 今日の編集部