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「くつしたのお直し」の続編です!

2019年12月06日

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●「くつしたのお直し」の続編です!
(3号「あれもこれも、ダーニングでお直し」)

いつの間にかできた虫に食われたセーター、つま先がすり切れたくつした、ひざに穴があいた子どものパンツ……。気に入っていてなかなか捨てられない衣類はありませんか?
そんな衣類のために、84号「くつしたのお直し」でイギリスの伝統的な衣類の修繕方法“ダーニング”を紹介したのが3年前のことです。
ニットデザイナーの野口光さんに基本の手法を教えていただいて以来、わが家の数々の穴あき衣類たちも生まれ変わりました。「ダーニング待ち」のかごを作り、穴があいたらそこで待機、時間のあるときにチクチク繕うのが習慣になりました(待ちくたびれていることもありますが)。

当時南アフリカ在住だった野口さんは、昨年帰国。ひさしぶりにお会いしてお話を伺うと、野口さんのダーニングはものすごい進化をとげていたのです!
手法も増えて、あらゆるものを繕えるようになっており、これは改めて紹介しなければ!と生まれたがこの企画です。

すれて薄くなってもうすぐ穴があきそうなもの、大きい破れ、シルクのような繊細な布地やシャカシャカ素材まで、さまざまなものを繕える5つの応用テクニックを掲載しています。半端に残った毛糸や刺しゅう糸などで充分に繕えます。基本もおさらいとして紹介していますので、初めての方もご安心ください。

3年前、野口さんに撮影用としてダーニングしていただいたウールのくつしたは、その後一度自分で修繕し、今回もう一度修繕、と3度お直しを施された年季の入った姿も掲載しています。お直しするごとに愛着がわき、もう手放せない一足です。(担当:小林)

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暮しの手帖別冊『暮しの手帖の傑作レシピ 2020保存版』が発売になりました。

2019年12月05日

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2011年から2019年にかけて、本誌『暮しの手帖』でご紹介した料理は1800品超。
そのなかから、
日々、料理記事の試作・検証を繰り返す私たちが
「これは秀逸のおいしさ! 作りやすさ!」と
太鼓判を押す130品の「傑作レシピ」を1冊に集めました。
指導してくださったのは、総勢42名の人気料理人・料理家の方々です。

たとえば、材料を重ね入れた鍋を、オーブンで加熱するだけで出来上がる
坂田阿希子さんの「アイリッシュシチュー」。
ラム肉のさっぱりとした脂が野菜にしみ込んで、
やみつきになるおいしさです。
(第一章「心を満たすスープと煮込み」より)

たとえば、「野菜は玉ねぎさえあればあとはなくてもいいくらい」と、
教えていただいた飛田和緒さんの「焼き餃子」。
いろいろな野菜をみじん切りにして、塩をして、しぼって……
という手順が必要ないところが気楽で、飽きのこない味わいです。
(第4章「わが家の定番料理」より)

たとえば、塩をすり込むだけ、わずか2分で仕込める、
ワタナベマキさんの「塩豚」と、それから展開する
「塩豚とかぶの蒸しもの」「ゆで塩豚のサムギョプサル風」。
塩豚は仕込んだ翌日から使えて、冷蔵で1週間保存でき、
忙しい日々の食卓を助けてくれます。
(第二章「スピード勝負の平日料理」より)

ほかにも「常備野菜で飽きないおかず」「年末年始のご馳走帖」
「魚介の料理が好きになる」「仲間と集まる日のレシピ」などなど、
盛りだくさんの内容です。
台所のそばに1冊、置いていただけたら、
いろいろな気分、様々な日に、役立てていただけると思います。(担当:長谷川)

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お洒落好きだった茨木のり子さん

2019年12月02日

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お洒落好きだった茨木のり子さん
(3号「茨木のり子さんのお洒落」)

詩人の茨木のり子さんが亡くなって13年。
「倚りかからず」「自分の感受性くらい」「わたしが一番きれいだったとき」「りゅうりぇんれんの物語」など、たくさんの詩を残し、今なおその人気は衰えません。
衣・食・住それぞれを愛した、一人の生活者でもあった茨木さん。その中から、「おしゃれ好き」という面に焦点を当てたのが今回の企画です。
企画の立案者は、京都新聞記者の行司千絵さん。以前にも「行司千絵さんの愛するお店(『暮しの手帖92号・93号』)」などで、
おしゃれの楽しさ・奥深さを語ってくれた方です。
西東京市に今も残る茨木さんの家に遺されていたのは、上質なウールのマントやきれいな形のスーツなど、
彼女のキリッとした顔立ちと長身に似合いそうな洋服たち。
一方、手作り感のあるビーズのアクセサリーや、繊細なレースのハンカチなど、愛らしいこまごまとした物もたっぷりと遺されていました。
「値段やブランドに惑わされず、自分の目で見て探す」ということを心底楽しんでいたことが、ひしひしと伝わってきます。
茨木さんの「物えらびの目」が伝わる貴重な洋服・小物たちを、ぜひ本誌でお楽しみくださいませ。(担当:田島)

不思議と元気が湧いてきます

2019年11月29日

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不思議と元気が湧いてきます
(3号「おなかも心も満たす アースケーキ」)

「ハレの日においしいものを食べるのも大好きだけれど、
普段のごはんやおやつは、心が浮き立ちすぎず、
穏やかに食べられるものがいい」と話す、料理家のなかしましほさん。
そんな、なかしまさんの考えを最も表しているのが、
今回ご紹介する、「アースケーキ」という不思議な名前のお菓子です。
メープルシロップの穏やかな甘味が感じられ、
全粒粉やドライフルーツ、ナッツなどがたっぷり入った
ホロっとした食感の生地は、食べるとじわじわと元気が湧いてきます。

原稿確認のために試作したケーキが余った時は、
翌朝のお楽しみができるので、思わずにんまり。
甘すぎないので、朝ごはんにもぴったりなのです。

体調を崩したことをきっかけに、「食べものが心と深くつながっていることに
気づいた」というなかしまさん。
その時の経験もあって、この滋養たっぷりのケーキには強い思いがあり、
長年作り続ける中で、少しずつ改良を重ねてきたそうです。
誌面では、そんなアースケーキのほか、少しだけアレンジを加えた
「チョコレートアースケーキ」と「ウィンターアースケーキ」も
ご紹介しています。
どれも5日ほど日持ちしますし、持ち運びもしやすいので、
贈りものにもおすすめですよ。(担当:井田)

山の恵みに感謝して。

2019年11月28日

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山の恵みに感謝して。
(3号「『山の人』の生き方を料理に活かす」)

大きな栗の木、輝くきのこの群生、ほくほくの栗ごはん。
ここは石川県の霊峰、白山(はくさん)の麓・白峰(しらみね)。
きれいな水と、ゆたかな自然の恵みにあふれています。この地に暮らす織田三枝子さんは、その恵みをおいしくいただく知恵や工夫をこらす料理の達人です。
今回、10年以上前から三枝子さんの料理に魅せられてきたエッセイストの平松洋子さんが、白山・白峰を訪れ、その魅力をご紹介してくださいました。
平松さんは、こう言います。
「三枝子さんの料理は、山の風がさあっとこしらえたかのよう」と。
きのこ、あけび、栗、山菜……、山の澄んだ芳しい空気を感じる特集です。山の風がこしらえた料理、その数々は、ぜひ本誌にてご覧ください。
 
取材に同行した編集長の澤田に、三枝子さんの料理の話を聞く中でこんな一言がありました。
「三枝子さんは料理がすごく速いんだよ。ゆでた栗を砂糖と塩でささーっと合わせたの、おいしかったなぁ」。
編集部で待機していた私は、くいしんぼうの血が騒ぎます。一体どんな味なんだろう……?
それは、「栗の煮干し(にほし)」と言って、平松さんを通して作り方を教えていただきました。
「二晩、水に浸した栗の皮をむき、鍋に入れ、かぶるくらいの湯でゆでます。湯がほんの少しになったタイミングで砂糖、塩を入れてなじませます。水分をとばしながら、からりと仕上げるのがポイント」
さっそく作ってみたところ、ほんのりあまい素朴なおいしさに、手がとまりません。栗に、こんないただき方もあるんだなぁと、三枝子さんの知恵に触れた気持ちになりました。

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写真は、三枝子さんの「栗の煮干し」です。
(担当:佐藤/撮影:新居明子)

とっておきの一冊をどうぞ。

2019年11月27日

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●とっておきの一冊をどうぞ。
(3号「マイ・ベスト・ミステリー」)

みなさんはミステリー小説がお好きですか?

正直なことを言いますと、わたしはそこまで得意ではありませんでした。
人が死ぬのは怖いし、謎解きもなんだかちょっと……。といった具合。
でもそんな食わず嫌いを見事に変えてくれたのが、今回の特集企画でご紹介する36作品です。

ミステリー好き・読書好きで知られる16名の方々に、おすすめの作品をご紹介いただいたのですが、
その内容は実にバラエティ豊かで奥深い。壮大なスケールの密室もの、美味しそうな食べ物が登場するもの、
人間味のある探偵や個性豊かな登場人物が出てくるものなど、どれもこれもが、期待を大きく上回る面白さに満ちていました。

教えていただいたのは、
(登場順に)作家の北村薫さん、辻村深月さん、
落語家の林家正蔵さん、漫画家の玖保キリコさん、
評論家の芝山幹郎さん、タレントで国際薬膳師の麻木久仁子さん、
アナウンサーの渡辺真理さん、思想家の内田樹さん、
作家のあさのあつこさん、漫画家の山上たつひこさんなど、
豪華メンバーです。

最後に、わたしが今回一番好きだったのは、松本清張の短編「黒地の絵」でした。
皆さんも、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてください。

(担当:中村)

基本の調味料だけで、こんなにできる。

2019年11月26日

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●基本の調味料だけで、こんなにできる。
(3号「調味料は、これだけあれば充分です。」)

青椒肉絲を作るにはオイスターソースが、エビチリには豆板醤とケチャップが必要、と思っていませんか?
家庭で作るとなると色々と買い揃えなければいけませんから、つい外食で済ませたり、レトルトを使ったり……。
買ったものの、使い切れない調味料が溜まってしまうのも、悩ましい問題です。

さて、今回はそんなあなたに朗報です。
家にある基本的な調味料だけで作れる和洋中の人気メニュー11品を、料理家のワタナベマキさんに教わりました。
青椒肉絲に麻婆豆腐、ボロネーゼなどの定番料理が、「さしすせそ」と酒、みりん、油だけで作れます。
その秘密は、加熱調理や食材の組み合わせなどの工夫。いずれもシンプルなレシピですが、特別なものを使わずにおいしく作るコツがつまっていますよ。

試作の日、豆板醤を使わないエビチリや、ケチャップを使わないポークチャップのおいしさに、基本の調味料の力を思い知りました。
家にあるものだけで作れるから、気負いなく、繰り返し作りやすいのもうれしいポイントです。
和のおかずをさらにおいしく作るコツや、重宝する合わせ調味料も掲載しています。役立つこと間違いなしのレシピの数々を、ぜひ誌面にてご覧になってくださいね。
(担当:佐々木)

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おいしい鍋料理のレパートリーがあれば怖いものなし。

2019年11月25日

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おいしい鍋料理のレパートリーがあれば怖いものなし。
(3号「細川亜衣さんのもてなし鍋」)

季節は秋から冬へ。鍋料理がおいしい季節になってきましたね。
料理家の細川亜衣さんは、お客様へのおもてなしにもよく作るそうです。
忙しい日々、準備に時間がかけられないときにも、「おいしい鍋料理のレパートリーがあれば怖いものなし」なのだとか。
そんな細川さんに、友人や家族に評判のよい5つの鍋を教えていただきました。
台湾の定番、酸っぱい白菜漬けがベースの「酸菜鍋」や、モロッコを旅して習得した「鯛と塩レモンのタジン」、納豆をよくよく炒めて作る「納豆鍋」なんていう韓国由来の変わり種も。おいしいものを求めて世界中を旅する細川さんならではの、世界各地の鍋料理が並びました。
試作をしてみると、どれも驚くほどシンプルな材料と作り方ですが、みなで囲めば、わぁっと驚く新しいおいしさばかり。
出来立てほかほかの料理を囲む幸せを、味わっていただけるとうれしいです。
(担当:平田)

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◎ブラームスの4番がしみる。

2019年11月24日

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◎ブラームスの4番がしみる。
──編集長より、最新号発売のご挨拶

こんにちは。
「啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々」(水原秋桜子)
そんな季節。
東京にも木枯らしが吹き、私たちも「いそがねば」と焦る。何をいそぐのかはわからないけど。
そんな季節です。
滋賀県の実家で一人暮らす老母に電話したら、「なんか気持ちがすーすーして、さびしいねん」と呟きました。「晩秋やからかなあ……いくつになってもあかんなあ……」「柿の木の上のほうの柿を見てもせつなくなる……」。母はいま90歳。おかげさまでとても元気ですが、心は弱る、そんな季節。
私も──そうは見えないかもしれませんが──とても感傷的な気性で我ながら弱っちい。夜はとくに「あかん」。いまもよせばいいのに、ブラームスを聴いたりしています。あーしみる。
中学、高校の頃から秋冬はそうだったなー。自分の部屋で、はかどらない勉強セットを目の前に広げ、しかし心はトランジスタラジオに。
滋賀の田舎から、遠い遠い東京の深夜放送、ガーガーザーザーという雑音の向こうに聞こえてくる音楽に耳を澄ませていました。「レモンちゃーん!」(落合恵子さんのことね)、「チンペイさーん!」(谷村新司さんのこと)なんてね。
この季節にかかるのはバラードが多い。
バッドフィンガー「明日の風」、なつかしいね。ビョルンとベニー「木枯しの少女」、ヴィグラス&オズボーン「秋はひとりぼっち」、アルバート・ハモンド「落葉のコンチェルト」、ミッシェル・ポルナレフ「愛の休日」……知っていますか?(可能な人はぜひ検索して、聴いてみてくださいね)。読み上げられるポップスベストテンを必死でメモしたものでした。あのノートはまだ実家にあるかなあ?
いまでも、ずっと聴いています(古い曲もすぐに聴ける便利な時代になったね)。
もちろんヒットソングだけではなく、映画のサントラも、ジャズも、クラシックも、どれもこれも、しみるー。
冬です、冬だ。

さあ、『暮しの手帖』もWINTER=第3号です。
今号の表紙画は、イラストレーター秋山花さんの「The color of the birds 鳥はいろんな色」。まだ2歳だった息子さんが「鳥はいろんな色なんだよ」と言ったその言葉、彼の塗った鳥の絵に「はっとした」。そのときの「気付きを記録した」作品だそうです。ぜひ書店で、花さんの鮮やかな色づかいをお確かめください。
いつものように、これからしばらくそれぞれの担当者が特集のご案内を致します。おつきあいのほど、どうぞよろしくお願いします。

それともうひとつ。私はこの号をもって編集長を退き、京都・滋賀の家族の元に帰ります。2016年の第4世紀80号から第5世紀3号までちょうど24冊、4年分を務めさせていただきました。振り返ると……とても楽しかった!
ご挨拶は本号の「編集者の手帖」にしたためております。よろしかったら、お目通しください。
ありがとうございました。

あー、ブラームスの4番がしみる。

編集長・澤田康彦

あの空の下に思いを馳せて。

2019年10月21日

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あの空の下に思いを馳せて。
(2号「写真家に聞く 忘れられないあの日の旅」)

旅に出ると、初めての土地や文化にふれて、五感が研ぎ澄まされていくように思います。
今回、8人の写真家に、忘れられない旅の一瞬が切り取られた大切な写真を、その思い出とともにご紹介いただきました。
高橋ヨーコさん、川島小鳥さん、石塚元太良さん、キッチンミノルさん、岩根愛さん、平野太呂さん、武田花さん、MOTOKOさんです。

どんな写真をお送りいただけるのだろう……と、ドキドキしながら待ちました。
届いた写真は、マリ共和国の子どもたち、エチオピアの力強いコーヒー、ハワイの日系移民が伝えたボンダンス、滋賀県に伝わる子ども歌舞伎など、私が見たことのない風景や文化が写されていて、体温や、あふれる思いが伝わってきました。

旅先での人や風景との出会いは、一度きりのもの。
それぞれの写真家がシャッターを押した瞬間を、想像してみてください。
そして、遠い日の、はるか空の下に思いを馳せていただけたら……と思います。
(担当:佐藤)

世界に一つだけの丼です。

2019年10月17日

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世界に一つだけの丼です。
(2号「うちのアイデア丼」)

食欲の秋がやってきました。
店頭にはこの時期ならではの野菜や果物、魚が並びます。
お米コーナーには新米も登場。
うれしくなってつい買いすぎてしまうのですが、不思議なことにあっという間に消費してしまいます。体重を気にしつつも、旬のおいしさには抗えません。

こんな季節に、おすすめしたいのが丼です。
おいしいご飯とおかずが一体になり、お腹がいっぱいになって、ワンボウルの気楽さがある――。
いつもの親子丼やカツ丼もいいけれど、
今回は、食感に特徴があり、見た目にもインパクトがある定番ではない「アイデア丼」を、ワタナベマキさん、ウー・ウェンさん、神田裕行さんの実力派3名に教わりました。
塩サバとなすをみそ照り焼きにした丼(ワタナベさん)や、
中華の調理法「水炒め」でふわふわに仕上げた玉子丼(ウーさん)、
それから歯ごたえのあるしんとり菜、生きくらげと海苔で作るヘルシーな野菜の丼(神田さん)など、3者3様の個性が光ります。
おまけ頁では丼に合う副菜のレシピもご紹介しました。

なお、トビラにはイラストレーターの阿部伸二さんによる丼(器)の絵を掲載。
丼のフタ部分は指導者3名のポートレート入りです。
世界に一つだけのアイデア丼を表現してくださいました。(担当:中村)

子どもたちの原風景を育む場所

2019年10月15日

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子どもたちの原風景を育む場所
(2号「日土小学校を訪ねて」)

愛媛県・八幡浜市の山あいにある「日土(ひづち)小学校」を始めて訪れたのは、2年ほど前のことです。
薄緑とピンク色が印象的な外観に心躍らせながら足を踏み入れると、なんともいえない心地よさに包まれたことを、今でもよく覚えています。
廊下にいても、教室にいても、風が本当によく抜けて、教室の両面からはたっぷりと光が入る。窓の外に目を向けると、一面のみかん畑が見える。
本棚にもなり、座ったりくつろいだりできるベンチがある廊下、ゆっくり歩きたくなるゆるやかな段差の階段……。
この学校には、子どもがこの土地の風土を感じ、遊び、学べる仕掛けがあちらこちらに隠されていたのです。

優れた建築物としてだけではなく、今もなお現役で使われているこの校舎のあり方を、そして、ここで過ごしている生徒や先生の声を伝えたい。
そう思い、今年の7月、再び日土小学校を訪れました。
印象的だったのは、力強く挨拶をしてくれたり、のびのびと過ごす子どもたちの姿です。その姿から、あぁ、この場所が好きなんだな。そんな風に感じました。
学校という場所は、安全であり、機能的であることが大前提だけれど、
それと同じくらい、居心地のよい場所であること、また、変わらずにあり続けることも大切だと思います。
なぜなら、そこで育まれた原風景は、きっと子どもたちの今後を支えてくれるものだから。
山あいにある小さな校舎を通して、学び舎のあり方について思いを馳せていただけたらうれしいです。(担当:井田)


暮しの手帖社 今日の編集部