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ゴミはどこから来て、どこへ行くのか

2020年10月12日

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ゴミはどこから来て、どこへ行くのか
(8号「服部さんのサステナブルライフ」)

ある日、羽田空港の土産物売り場で、私は頭を抱えていました。
「あれもこれもおいしそう、どれにしようかな」と悩んでいたのではありません。「どれもこれもなんでそんなにも、何重にも包まれているんだ!」と嘆いていたのです。

その日、訪ねることになっていたのは、高知県に住むご家族、服部さんのお宅。できるだけゴミを出さず(ゼロ・ウェイスト)、プラスチック製品を消費しない(プラスチックフリー)生活をしている、というご一家です。

そんな彼らに、過剰包装の手土産を持ってゆく、心の重さたるや。仕方なく、もっとも包みが簡素に見える羊羹を求め、飛行機に乗りました。

ゴミ問題。
まったく気にならない、考えたこともない、という人は少ないでしょう。
多くの人が、ゴミを減らせるなら減らしたい、そう考えているはずです。
作っては壊し、使っては捨てる生活が、いつまでも続けられるものではないこと、また、収集日に出したゴミが消えてなくなるわけではないこと、そして、「リサイクル」の処理が理想ほどうまくいっていないことも、うすうす、わかっています。

でも、どうしたらいいか、わからない。
何から手をつければいいのか。「エコロジー」と引き換えに、生活の便利さを、どこまで手放せばいいのか。

この特集は、そんなゴミ問題に自分たちなりに取り組み、環境負荷が小さい暮らしを続ける服部さん一家(雄一郎さん、麻子さん夫妻、桂くん、翠ちゃん、朔くんという3人の子どもたち)の暮らしがどんなものか、その様子を追ったものです。

ゴミは毎日どれくらい出ますか?
プラスチック製品なしで、暮らしは成り立ちますか?
不便じゃないですか? 無理していないですか?
プラスチックって、そんなに問題なものですか?
そもそも、どうしてこういう生活をするようになったのですか??

服部さんご一家は、たくさんの(ぶしつけな)質問、疑問に、面倒くさがることなく、丁寧に答えてくれました。

折しも、7月1日からレジ袋の有料化がスタートしました。この特集が、私たちのこれからの生活を考えるヒントになればと願っています。(担当:島崎)

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捨てない暮らしと台所の知恵

2020年10月09日

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捨てない暮らしと台所の知恵
(別冊『おいしく食べきる料理術』)
今回は、ただいま好評発売中の暮しの手帖別冊最新刊、『おいしく食べきる料理術』の内容をご案内します。
この本では、食材を無駄にせずに使いきるためのアイデアと工夫のある129品のレシピをご紹介しています。
教えてくださったのは、有元葉子さん、飛田和緒さん、大原千鶴さん、荻野恭子さん、上田淳子さん、こてらみやさん、ワタナベマキさん。7人の人気料理家です。
「あぁ、もったいない!」そんなふうに思い、ため息をつきながら、余った食べものを捨ててしまったこと、みなさんもありませんか?
なぜ、そうした「もったいない」は生じるのでしょうか。
暮しの手帖社のウエブサイトで募ったアンケートで、663名の方々が教えてくださったその実情は、こんなふうでした。
「忙しくて予定していた料理を作れない日が続き、買った食材が傷んでしまった」「よく、きゅうりを腐らせてしまいます。1袋6本入りが安いのでつい……」「冷蔵庫の奥の方に行ってしまい、気づいたときには賞味・消費期限が過ぎていて……」
では、どうすればよいか。7人の料理家のみなさんに取材し、次の3つのテーマを設けました。

「簡単ひと手間でおいしさ長持ち 下ごしらえと作り置き」
買ってきてそのまま冷蔵庫にしまっただけでは、日が経つにつれておいしさを失い、ダメになってしまうのです。塩をしておく、干しておく、漬けておく……。ちょっとひと手間をかけるだけで、食材がぐんと長持ちし、しかもいっそうおいしくなって、すぐに調理に生かせる。下ごしらえや作り置きのアイデアと、その展開料理、計77品のレシピです。

「今まで捨てていた そこがおいしい! 端まで使いきりレシピ」
キャベツの外葉やセロリの葉、ブロッコリーの茎やじゃがいもの皮まで。もったいないからというより、そこがおいしいから工夫する。そんなレシピ19品です。

「家にある半端食材をフル活用 在庫リセットの始末料理」
冷蔵庫にあるものでパパッと料理する。それこそが「料理上手」ですよね。ここでご紹介するレシピは、ポイントさえ押さえれば、自在にアレンジしていただいてOKです。あなたの家の冷蔵に余っている食材を生かして作るレシピ、13品です。

できるだけ食べ物を捨てない、「食品ロス」を見直す工夫。それは、環境のためでもあるけれど、私たち自身のためでもあります。節約にもなりますし、やってみると意外に楽しいものです。
こんな時代だからこそ、わが家の台所のことを見直すいいチャンスかもしれません。
ぜひお役立てください。(担当:宇津木)

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※別冊『おいしく食べきる料理術』の特設サイトは下記のリンクよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/life-style_survey_report/

小さなユウウツにさようなら

2020年10月08日

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小さなユウウツにさようなら
(8号「ボタンつけのおさらい」)

今年もそろそろ、コートのおしゃれが楽しみな季節がやってきますね。
私はコートが大好きなのですが、衣替えのときに、ちょっとユウウツな気持ちになります。
なぜなら、ほぼすべてのコートのボタンが1つ2つ、プラーンと取れそうになっている現実に直面するからです……!
近年はこのような状態になることが多く、「私だけ?」と思いながらまわりに聞いてみると、
「私も!」という声多数。調べてみると、技術の進歩によって、今や市販の洋服のボタンはほとんど機械でつけられているそう。その影響なのでしょうか。原因は何にせよ、ボタンが取れかかっているコートたちを前に、「きれいに、しっかりとボタンをつける方法を、今すぐ知らなくては」
という思いで、この企画は始まりました。いや、もちろん、ウン十年前に学校の家庭科で習ってはいるんですけどね……。

けれど「どうもきれいにつけられない」と感じているのは、きっと私だけではないはず。
教えていただいたのは、お直し屋さんを営む高畠海さん。丁寧で確かな技術に定評があり、「どんなに難しい依頼が舞い込んでも、まずはできる方法を考える」
という誠実な職人さんです。
今回はコートだけでなく、シャツや、パンツ&スカートのウエストについているホックのつけ方も伝授していただきました。玉留めをせずに裏側もきれいに仕上げる方法や、ボタンホールにボタンがかけやすくなる「糸足」の作り方など、家庭科では教わらなかったコツが満載です。

私も実践しましたが、自分でつけたボタンやホックの仕上がりに、うっとりしてしまいました(笑)。
「なんとなく自己流でつけている」という方に、ぜひ、お読みいただきたい企画です。(担当:田島)

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高畠さんに教わった方法で、シャツのボタンをつけてみました。裏側の糸目がこんなに目立たず、きれいに仕上がったのは初めて!

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ホックはしっかりときれいにつけられる「菊づけ」という方法でご紹介しています。ちなみにわが家にはウエストがゴムのボトムしかなく(笑)、このパンツは同僚のもの。「ちょうど取れかかっていたから助かった」と言ってもらえました。

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取れかかっていたコートのボタンを次々に修復しました。ああスッキリ。裏側に小さなボタン「力(ちから)ボタン」がついていても、つけ方は難しくありません。

秋の夜長のおともに

2020年10月07日

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秋の夜長のおともに
(8号「秋のちいさな甘いもの」)

普段はバタバタと慌ただしいわが家の晩ごはんですが、週末に家族や友人と食卓を囲む時は、
食後にコーヒーと甘いものを楽しむことがあります。甘いものを口に運びながら、ゆったりとおしゃべりをする。その心地よいひとときを過ごすことで、さて、明日からもまた頑張ろうと思えるのです。

料理家の渡辺麻紀さんいわく、そんな風に食後に余韻をもたらしてくれるのが、「デザートの効用」だそう。日頃から、友人と食事をする時など、「軽やかな、ちょっとした甘いものを用意する」という渡辺さん。メニューのご相談に伺うと、なんと、25品ものアイデアを提案してくださいました!
誌面では、その中から厳選した6品をご紹介しています。

旬の果物やドライフルーツを使ったデザートは、
どれも、これまでに味わったことがない、新たなおいしさばかり。
しかも型なしで、30分ほどでできるので、食後でも無理なく作ることができますよ。
秋の夜長のおともに、いかがでしょうか。(担当:井田)

松重豊さんの10曲、必読です

2020年10月06日

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松重豊さんの10曲、必読です
(8号「わたしの大好きな音楽 オールタイムベスト10」)

いろいろな分野でご活躍の方に、「あなたの大好きな音楽を10曲教えてください」と投げかけ、
それぞれの曲に抱く思いを語っていただくこの連載。
これまで、フジコ・ヘミングさん、群ようこさん、加藤一二三さん、佐野史郎さん、平原綾香さん、藤井隆さんなどなど、バラエティに富んだ方々が誌面を飾ってくださいました。

15回目を迎える8号では、無類の音楽好きとして一部では有名な(?)、俳優の松重豊さんが登場します。「わたしの好きな今の10曲」と題して、
「僕らの頃より遥かに進歩している」という若手ミュージシャンの曲を、思い入れたっぷりに紹介してくださっています。実は、松重さんに取材依頼を差し上げたのは8号よりも数号前のこと。
そのときは「とてもじゃないけど好きな曲を10曲には絞れない」とお断りされてしまい、残念に感じると同時に、「よっぽど音楽がお好きなんだな」という感慨を抱きました。そこから数カ月経ち、新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた頃、再びご連絡をいただき、
「時間ができたので音楽にじっくり向き合いたい」と、お受けくださることに。
この連載では取材をもとにこちらで原稿を起こすことがほとんどなのですが、松重さんは自らの筆で10曲の推薦文を寄せてくださいました。自身のことを「57歳の変態」と揶揄しつつ、「くう」「はあ〜」と感嘆詞まじりに語られる音楽への思いを読むうち、私はなぜか遠い昔の、青春時代の胸のときめきを思い出していました(笑)。

挙げられた10曲を聴くうちに、ますます胸が高鳴り……。
いくつになっても、音楽は心を揺さぶるものだと、改めて感じることができました。
音楽が持つ力は、計り知れないほど大きい。家にこもりがちな日々だからこそ、そんなことを思います。
松重さんの音楽への情熱、今を生きるミュージシャンの10曲に触れて、ときめきを覚えてくださればうれしいです。(担当:田島)

思いがこもったスープをあなたに

2020年10月05日

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思いがこもったスープをあなたに
(8号「李映林さんの思いやりのスープ」)

みなさんには故郷の味がありますか?
その味にまつわる思い出はありますか?

料理家の李英林(り・えいりん)さんは、韓国・済州島出身です。
自然の恵み豊かな島で、新鮮な海の幸・山の幸に囲まれて育ちました。
お母さまが作ってくれた四季折々のスープを、やがて日本で暮らすようになっても、
子どもたちへ伝えるために作り続けてきた李さん。

取材中、李さんが何度も何度も口にしたのは、
「食べる人のことを思いやり、心を込めて作れば、その思いは伝わるはず」という言葉です。

李さんは料理研究家のコウケンテツさんのお母さまでもあります。
わたしは以前、コウケンテツさんに『暮しの手帖のクイックレシピ』で「豆乳チゲ」を教わりました。
簡単にできるのに驚くほどおいしいので、これまでくりかえし作ってきたお気に入りのレシピです。
今回、李さんに教えていただいたのは、その原点といえる「豆乳の白いチゲ」。
李さんのお母さま、李さん、ケンテツさんへと受け継がれ、変化してきたそのレシピに、
味が伝わる、文化が伝わる、とはこういうことなのだ、と深く感動しました。

李さんのお話を聞いて、私も改めて、家族とともにした食事を思い出し、
台所に立つということに、思いを馳せてみました。

これから肌寒くなる時期に、おいしく滋養に満ちた3種のスープとともに、
李さんの心あたたまるお話を、ぜひ味わってみてください。(担当:平田)

いい尽くせない思い

2020年10月02日

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いい尽くせない思い
(8号「詩と俳句と人生と」)

7月のある日、小児科医の細谷亮太先生と詩人の工藤直子さんが編集部にお越しくださいました。
細谷先生は、昨年終了した連載エッセイ「いつもいいことさがし」の筆者として、おなじみかもしれませんが、今回はもう一つの顔、俳人・細谷喨々(りょうりょう)としての登場です。
お二人は、細谷先生が宗匠を務める句会のお仲間。「お互いの好きな俳句や詩を挙げてください」というこちらの依頼に、ご著書やお二人が参加する会の句集(なんと限定9部!)もお持ちくださいました。

対談が始まると、どんどんお話は弾みます。好きと感じる句や詩には、自分に通じるものがあるということ。コピーライターとして仕事で言葉を扱っていた工藤さんが、すっぱりやめて、書きたいときに書くようになったことや、腑に落ちないことを忘れずにいること。細谷先生は、診ている子どもたちが亡くなった時のつらい経験を、俳句に託して乗り越えてきたことなど。まさに、お二人の生きてきた道筋に言葉が寄りそってきたのを感じました。

どんどん広がるお二人のお話を分かりやすくまとめてくださったライターの成合明子さん、俳句の季節感や心の中の思いを絵にしてくださったshunshunさん、素敵な笑顔を撮影してくださった中村彰宏さん。対談のお二人とスタッフの力が合わさった記事となりました。引用させていただいた作品とあわせて味わっていただけたらと思います。

細谷先生の新しい単行本『いつもいいことさがし3』も発売中です。年齢を重ねて、役割が変わっても、生きていることが素晴らしいと綴られています。こちらもぜひご覧いただけたらうれしいです。(担当:高野)

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4点の写真:中村彰宏 撮影

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お二人の来し方を伺いながら、歴史を感じる写真も見せていただいた。細谷先生の右の写真は、母方の祖母の家の2階から通っていた仙台での医学生時代。左の写真は初めて『NHK俳句』の収録に出演した50代のころ。

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引っ越しも旅も多かった工藤直子さん。左の写真は、終戦後の引き揚げまでを過ごしていた台湾での小学校低学年のお正月。右の写真は、「のはらうた」を書いて、各地を講演して回っていた50代のころ。指先にトンボが止まる。

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右は、医学生のころの句も入っている、細谷先生の初めての句集『桜桃』。左は工藤さんが会社を辞めてから自費出版していた詩集をまとめた1冊。用紙も活字も自ら選りすぐって作った。

自宅に眠る、ハギレや包装紙が大変身

2020年10月01日

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自宅に眠る、ハギレや包装紙が大変身
(8号「紙と布のフォトフレームづくり」)

いつか飾ろうと思いつつ、そのままになっている
思い出の写真やお気に入りの絵。
フレームに入れてきちんと飾りたいけれど、
いいフレームが見つからない……なんてことはありませんか?

今回ご紹介するのは、
そんな写真や絵を入れる「手づくりのフォトフレーム」です。

厚紙に布を貼って美しい箱をつくる、
「カルトナージュ」という技法をアレンジ。
特別な道具や材料は使いません。
ベースとなる厚紙は色紙(しきし)で代用し、
布も、ハギレなどの小さなもので充分です。
包装紙などでもすてきですよ。

今回教えてくださるのは、
愛知県で活動している、カルトナージュ作家の木谷美華さん。
手づくりが大好きな親子(サリュコワ・マリアさん、小夏ちゃん)が、
木谷さんに習って3連のフォトフレームづくりに挑戦しました。
6歳くらいからなら、カッターの扱いにさえ気をつければ
一緒に楽しんでつくることができます。

まずは一度、手順通りにつくってみてください。
要領がわかれば、次からはサイズや形を変えて、
お好きなようにアレンジもできるでしょう。
贈りものにもぴったりです。

私は何より、使い道はないけれど捨てられずにいた
お気に入りのハギレや包装紙が、フォトフレームに生まれ変わって、
身近に飾ることができたことがとても嬉しかったです。

写真は、試作中の様子と、できあがった3連フレームです。
こんなに少しの道具と材料でつくれます。
ぜひお試しください。
(担当:小林)

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フォトフレーム02

新刊 別冊『おいしく食べきる料理術』発売中です。

2020年09月30日

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新刊 別冊『おいしく食べきる料理術』発売中です。
(別冊『おいしく食べきる料理術』)

今年、外出自粛の期間を経て、多くの人が、家にいる時間が増えました。
家で食事をとることが多くなり、普段は料理をする習慣がない人たちも、
台所に立つ機会が増えたそうです。そうすると、以前は外での仕事で忙しくしていて見えていなかった家の中のことが、いくつも見えてきますね。
思いの外、自分の家の台所のゴミが多いことに気づいた人もいるでしょう。もちろん兼ねてから、それが気になっていた人も多いでしょう。
「もったいないなぁ」と。
その捨てたものの中には、食べられたはずのものがあるからです。
それがいわゆる「食品ロス」とか「フードロス」と呼ばれるもの。
日本では、全体量のおよそ半分が家庭から出ているそうです。
本当にもったいないですね。農業や漁業の営みで生産された食料資源をムダにすることになりますし、自然環境にもよいわけがありません。食料自給率が低い日本だからなおさらです。また、お金を支払って購入した食べものですから、自らのお金をムダにしていることにもなります。
そして何より、食べものを捨ててしまうときの、「もったいないなぁ」という気持ちをなくしたいと思うのです。
よりおいしく、ムダなく料理する工夫がうまくできたら。
買った食材を献立に生かし、家にあるもので手早く料理する。
それこそが「料理上手」です。毎日の台所仕事はもっと楽しくなりますし、食卓は心豊かなものになるはず。
そんな工夫とアイデアをご紹介する本を作りたい。
そう考えて、私たちは小社のウエブサイトと『暮しの手帖』の誌面で、アンケートを実施し、その実際の事情を知ることから始めました。実に663名というたくさんの方々にお答えいただきました。
この本では、7人の料理家の方々に、おいしく食べきる台所術と129品のレシピを教えていただきました。有元葉子さん、飛田和緒さん、大原千鶴さん、荻野恭子さん、上田淳子さん、こてらみやさん、ワタナベマキさんです。
ちょっと手を動かすことで、食材のおいしさを長持ちさせる。いままで捨てていた部位をおいしく食べきる。冷蔵庫にあるものだけでおいしいひと品を作る。料理の工夫って楽しいものです。みなさんもぜひ、「もったいない」というモヤモヤなくして、「料理上手」を目指してみてください。
きっとこの本がお役に立てることと思います。(担当:宇津木)

この本の詳細とアンケート結果のまとめは下記の特設ページよりご覧いただけます。
https://www.kurashi-no-techo.co.jp/life-style_survey_report/

リアル「とと姉ちゃん」の家物語

2020年09月29日

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リアル「とと姉ちゃん」の家物語
(8号「しずこさんの家を訪ねて」)

こんにちは、編集長の北川です。
あれは2016年ですから、もう4年前のことになりますが、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、弊社創業者の大橋鎭子がヒロインのモチーフとなったことはご存じでしょうか?
長らく社長を務めた大橋のことを、社員の誰もが「しずこさん」と呼んでいました。いまも存命なら、ちょうど100歳。亡くなったのは93歳のときですが、92歳までは元気に出社していて、私も1年半ばかりは日々接していました。
よく覚えているのは、その手の美しさ。白く、指はすらりとしていて、きれいに切りそろえた爪には淡い色のマニュキュアが塗られていたものです。
ふだんは顧問室にいるのですが、毎朝10時くらいになると編集部に顔を出し、「ねえ、何か面白いことはない?」と、私たちに声をかけます。まあ要するに、「何か面白い企画を考えなさいよ」って、はっぱをかけているわけですね。
『暮しの手帖』の創刊時、鎭子さんはまだ28歳。創刊号は在庫を3千部も抱えてしまい、見本誌をリュックに詰めて、地方の書店をめぐって営業に歩いた。「みんながアッと思うような記事を載せなくては」と編集長の花森安治に言われたら、元皇族の随筆の原稿を粘りの一手でいただいてきた……等々、鎭子さんにまつわる伝説的なエピソードはいくつもあるのですが、そんな人がふつうに出社していることに、はじめはちょっと驚いたものです。

『とと姉ちゃん』が放映された時期に『しずこさん』という別冊をつくり、その取材で初めて鎭子さんの住まいを訪ねました。門扉を入ると、ぶどう棚のある芝生の庭が広がり、その向こうに、漆喰壁に瓦屋根の和風家屋がどっしりと佇んでいます。
生涯独身だった鎭子さんがともに暮らしたのは、同じく独身で『暮しの手帖』を支えた末妹の芳子さん、母の久子さん、三姉妹のなかで唯一結婚した長妹の晴子さんとその家族、60年以上も務めた家政婦さん。総勢8人です。約20畳の広さのリビング・ダイングには、伸長式の大きな食卓やウィンザーチェア、ゆったりとしたソファが置かれ、大家族がここで笑いさざめきながら過ごした情景が浮かんでくるようでした。
「暮らしの基礎は家である」とは、鎭子さんが遺した言葉。彼女はこの家づくりに、いったいどんな夢や希望を抱いていたのだろう? どんな工夫を凝らし、それは『暮しの手帖』の誌面づくりとどのように結びついていたのだろう? 今回の特集では、建築家の中村好文さん、施工に携わった元棟梁の阿部好男さんに取材にご協力いただき、以前から知りたかった「鎭子さんの家物語」を掘り下げました。
なんと言っても見どころは、約8畳の板張りのキッチン。60年以上前につくられたとは思えない工夫の数々、ぜひご覧ください。
(担当:北川)

ほどほどにがんばるには

2020年09月26日

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ほどほどにがんばるには
(8号「献立練習帖」)

毎日の食事作り、本当に大変ですよね。
ひと品作ればよいならともかく、朝昼晩と3食分の献立を組み立てようものなら、頭の中は大忙し。ごはんを食べながら、もう次のごはんのことを考えている。常時、頭の片隅がごはんのことで占められている、と言っても過言ではありません。

試しに、編集部の同僚たちにも「献立に関する悩み」を尋ねてみたところ、

「子どもが食べたがるものと、親の食べたいものが違って、みんなに満足してもらおうとすると用意が大変」
「魚も食べたいけれど、肉に偏りがち。魚はボリュームが出ないから敬遠してしまう」
「彩りにまで手がまわらない。食卓がいまいちパッとしない」

などなど、各人、何らかの困っていることがある様子。
私はこれらの悩みを預かって、京都に暮らす料理家の大原千鶴さんのもとへ相談に訪れました。

すると、大原さんいわく、

「皆さん、ちょっとまじめすぎるかもしれませんね。毎日の料理は、ほどほどでいいんですよ」

せっかくの食事なのに、準備でヘトヘトになってしまったり、カリカリしてしまったりするのでは、本末転倒だと大原さんは言います。
では、どうしたら、ほどほどでも満足のゆく食卓をととえられるでしょう。

そのために押さえておきたい献立のルール、知っていると助かるコツやヒントを教わりました。
(担当:島崎)

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ゆるぎないもの ——編集長より、最新号発売のご挨拶

2020年09月25日

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ゆるぎないもの
——編集長より、最新号発売のご挨拶

窓を開ければさらりと乾いた風が吹き渡り、エアコンをつけずに一日を過ごせる、そんな心地よい季節になりました。
今年の夏は、酷暑はもちろんのこと、その「不自由さ」においてもなかなかにつらく、我慢くらべのようでしたね。誰もがそれぞれの「不自由さ」と向き合いながら、それでも何かしらの楽しみを見いだそうと工夫して、先の見えない日々を歩んできたような気がします。

私たち編集部は相変わらず在宅勤務を基本に制作を続けていて、この8号ではや3冊目、ビデオ通話の打ち合わせなどはさすがに慣れてきました。それでも、取材や撮影で顔を合わせると、なんだかうれしくて、つい一生懸命に話してしまいます。
同じ空間にいて、たがいの表情を見て、声で空気を震わせて言葉を伝えるのが、なぜこんなによいものなのか。その理由はわからないけれど、ビデオ通話の話し合いが「目的地に向かって脇目も振らずまっしぐら」といった印象なのに対して、じかに会って話すことには、「ゆとり」や「遊び」がある感じでしょうか。ちょっとの寄り道や脱線はゆるされて、会話がふわっと、空間のぶんだけ広がってゆくような。

8号の巻頭記事「どんなときも、絵本を開けば」は、東京・原宿で小さな喫茶店「シーモアグラス」を営む坂本織衣さんに、開店してから24年のあいだ、折々に心を照らしてきた4冊の絵本のことを綴っていただきました。
初めて取材に訪れたのは6月のはじめ。お店のある明治通りは自粛期間前の賑わいを取り戻し、マスク姿の人びとであふれていましたが、坂本さんは3月下旬からお店を休業としたままでした。
「どうしたらいいか、わからないんですよね」
久しぶりにシャッターを開けたという店内で、確か、坂本さんはそんなふうにおっしゃったと思います。嘆くわけでなく、つぶやくように淡々と。
そして、壁一面の本棚にみっちりと詰まった絵本から数冊を抜き出し、それぞれの物語について、ご自分のこれまでの歩みに重ねて語ってくださいました。幼いお子さん2人を育てながらお店を開こうとしていた頃、寝る前の2人に読み聞かせては、親子で心をひとつにした絵本。家事、育児、お店の仕事、ご両親の世話に追われる暮らしのなかで、働き者の主人公に自分を重ね合わせて、その日々を肯定できた絵本……。それらの話は、一つひとつがお店にともる灯りみたいに、ささやかで素朴であったかく、希望を感じさせるのでした。
私たちはたぶん、一人ひとりがこうした、「私はこれがとっても好きなんだ。なぜならば……」という物語を持っていて、たびたび胸の内から取り出しては眺め、ときに誰かに語ったりして、生きる支えとしている気がします。
喫茶店で、見知らぬ人たちに混じって過ごすひとときも。人と目を合わせて話すことも。ひとところに集い、演劇や生の音楽に胸を震わせることも。どんな「好き」も、あっさり簡単に手放していいものなど何一つないんですよね。

自粛期間中に「不要不急」という言葉がよく使われ、「自分の仕事ははたして不要不急か?」なんて自虐めいた話題があちこちで聞かれました。私たちの仕事は、自虐でも謙遜でもなんでもなく、「不要不急である」と言えます。雑誌がなくても、衣食住は成り立ちますから。
けれども、たとえば日々のごはんが栄養をとることだけではなく、心に刻まれ、人とのつながりを感じられるものであるために。自分の手を動かして何かをつくり出す、その楽しみとゆたかさを幾つになっても忘れないために。社会の潮流に対して自分はどう考えるのか、その礎とするために。私たち雑誌ができることはまだあるんじゃないかなと信じ、手探りしながら、この8号を編みました。
なお、連載「からだと病気のABC」は、いつもよりも頁を拡大し、新型コロナウイルスの予防対策を中心にわかりやすくまとめましたので、どうぞご参考になさってください。
心がどことなく張り詰める毎日のなか、この一冊を開いて、ご自分の暮らしでゆるぎないもの、大切にしたいものに思いを馳せていただけたら幸せです。
『暮しの手帖』編集長 北川史織

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暮しの手帖社 今日の編集部