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料理家と八百屋のちょっといい関係

2020年05月28日

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料理家と八百屋のちょっといい関係
(6号「理想の八百屋さんと出会ったら」)

色とりどりの夏野菜が市場に並びはじめました。
その美しい姿を見ていると、
さて、どう料理しようかな、とワクワクしてきます。

この記事に登場するのは、野菜をこよなく愛する3人です。

素材のおいしさをそのままに生かして、
独創的なひと皿を作る、料理家の竹花いち子さん、
そして、オーガニックや自然栽培の野菜を扱う、
「タネカら商店」という八百屋さんを営む
滝田俊輔さんと十河知子さんです。

竹花さんは、タネカら商店さんとの出会いが、
「ここ最近で一番嬉しかったこと」と話します。
大切に梱包され、段ボールに詰められた野菜と
そこに添えられたタネカらさんからのメッセージ。
徐々に交流を重ね、やがては、
腕をふるった野菜料理を2人にもてなすようになります。

そんな大好きな八百屋さんとのちょっといい関係を、
元コピーライターの竹花さんに、綴っていただきました。
(竹花さんの軽快で面白いエッセイは、2号の「随筆」でも読むことができますよ)

タネカら商店さんのおいしい野菜を使った、
グリーンライスサラダ、東南アジア風カレーの
レシピも教えていただきました。
暑くなると食べたくなるという、竹花さんいちおしの2皿です。(担当:小林)

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干物は便利!

2020年05月27日

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干物は便利!
(6号「干物をいろんな食べ方で」)

外出自粛が続きますね。
食事係のみなさん、日々本当におつかれさまです。
私は、献立を考えるときは、「鶏もも肉があるから、から揚げにしようかな」といった具合に、家にあるたんぱく質から発想することが多いのですが、買う食材がいつも似たりよったりなので、同じような料理になりがち。
魚のメニューを増やしたくても、肉に比べて割高、しかも日持ちがしないので、スーパーでなかなか手が伸びません。そこで、焼くだけでおかずになる干物を買ってみるのですが、しだいに飽きて、3枚パックのうちの1枚がいつまでも冷凍庫に残っていたり。
そんな我が家の冷凍庫を覗きこみながら、「この干物を料理に使うことはできないだろうか?」と思ったのが、この企画のはじまりでした。
「生粋の魚好きの方に、ふだんから作っているメニューを教わりたい」と考え、ご登場いただくことになったのはこのお二人。
田口成子さんは「おさかなマイスター」の資格を持つ料理研究家で、干物のうま味と塩気で野菜がたっぷり食べられる、家庭的なメニューを教えてくださいました。
なかでも今の時季おすすめなのは、「アジの干物の冷や汁風そうめん」。自宅で試作したとき、あまりのおいしさに私一人で二人前を平らげてしまった逸品です(笑)。一皿でバランスよく栄養が取れるので、ランチにもぴったりです。
そしてもうお一人は、お酒が大好きで、干物を使ったつまみもよく作るというツレヅレハナコさん。
驚きだったのは、焼いた干物にディルをのせて食べる料理。さわやかな香りが、干物に本当によく合うんです。
「他の香味野菜も干物にのせてみてください、おいしいですよ」というツレヅレさんのアドバイス通り、長ねぎ、みょうが、青じそなどを刻んでのせてみましたが、なるほど! 干物にフレッシュさが加わって、新しいおいしさ。これを知ってから、昨晩焼いて残った干物を食べるときも、ウキウキするようになりました。
「食卓に新鮮さが欲しいな」と思っている方は、ぜひお試しください。(担当:田島)

当事者の人も、そうでない人も

2020年05月26日

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当事者の人も、そうでない人も
(6号「等身大の介護」)

もしも、親が認知症になったら……。
夫が体調を崩し、介助が必要な状況になったら……。
時折そんなことを思い浮かべながらも、
「介護」と向き合うことがなんとなく怖いという気持ちがあり、
考えることを先延ばしにしてきた自分がいました。

そんな、なんとなく怖いという思いを払拭してくれたのが、
「自分がお世話をしているようで、実は相手からたくさんのものをもらっている」という、
この記事の執筆者の一条道さんの言葉です。

一条さんがお母さんのお世話をするようになったのは、
5年前の35歳の時のこと。
最愛の父親が亡くなり、自分が母親の介護全般を担うことになった時、
一条さんはなかなかその現実を受け入れられなかったといいます。

そんななか、どのようにして介護と向き合ってきたのか……。
この特集では、一条さんに自身の介護生活を振り返っていただくとともに、
それぞれのかたちを模索しながら介護と向き合う、2組の家族を訪ねました。

取材に伺ったのは、新型コロナウイルスの感染が拡大する前でしたが、
その後、感染が広がるに伴い、
介護の現場にも深刻な影響が及んでいます。

一条さんも、今はお母さんがデイサービスに行く回数を週1回に減らし、
在宅勤務をしながら介護をしているそうです。
「自宅でオンラインの会議がある時は、ヘルパーさんに来てもらっています。
この状況のなか、母もストレスが溜まってきて、
表情が険しくなったり、口調が激しくなることが増えましたが、
何かあっても気にしない、注意しない……。
おおらかな気持ちを持つように努めたいなと思っています」と話してくれました。

どんな状況になっても、目の前の人と向き合い、見守っていく。
一条さんをはじめ、取材を受けてくださった2組の家族の姿からは、
当事者の人も、そうでない人も、
得られる気づきがたくさんあると思います。
(担当:井田)

食を、暮らしを、自分の手の中に。

2020年05月25日

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食を、暮らしを、自分の手の中に。
(6号「有元葉子の旬菜」)

料理家の有元葉子さんの新連載が始まりました。1年間6回の短期掲載です。
その季節ならではの食材を生かした、シンプルな料理をご紹介します。
第一回は、初夏の時季にしか味わえない新にんにくや新れんこん、新ごぼう、そしてぬか漬けのお話です。有元さんのふだんの食卓や、子どもの頃の食のエピソードを交えて、それぞれの料理をご紹介します。
まさに今が旬という食材の料理ですから、実は去年のちょうど今ごろ撮影をして原稿を書いた記事で、足かけ1年でお届けする頁です。
この連載のきっかけは、こんなことからでした。
あるとき、有元さんの撮影のあとに試食をしながら、皆でこんなことを話したのです。

「今は、スーパーに行けば、お惣菜、インスタント食品、『料理の素』や合わせ調味料……実に多種多様で便利なものがあふれている。でも、その多くは気が利きすぎていないだろうか」「人それぞれに『おいしい』という好みの感覚は違うはずなのに。家庭ごとの『うちの味』もなくなりそう」と。

忙しい毎日のなかでは、便利な食材を活用することも必要です。
でも、そればかりだとどうなるしょうか。
「すべて手作りしましょう」という話ではありません。家庭料理って、手間をかければよいというものではありませんから。でも、メーカーが作る商品はあくまでも「商品」です。それは、食べる人の身体や健康のことを第一に考えて作られたものとは限りません。
工場で一度に大量に作られたものと、家庭で自分や家族のために作るものは、違うのです。
有元さんは、「私は、納得して安心できる、おいしいものをきちんと選びたい」とおっしゃいます。素材をきちんと選ぶのは、安心のため、自分が納得するおいしさのため。そして、有元さんのふだんの食卓には、そんな素材を生かしたシンプルな料理が並びます。

いま私たちは、未曾有の経験をしています。
一時期、スーパーの棚から、インスタントやレトルト食品が、真っ先になくなりました。
そんなときでも、シンプルに素材を料理する力があれば、そうそう困らないはずです。たとえば、ぬか床があれば、それだけでもずいぶん豊かな食卓になるのです。
しっかりと自分の手で食べるには、生きるには、どんなことを感じて手を動かせばいいか。そのヒントになる有元さんのお話と料理をお伝えします。(担当:宇津木)

たとえ、ままならない日々でも

2020年05月23日

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たとえ、ままならない日々でも
――編集長より、最新号発売のご挨拶

青葉がいきいきと、生命力いっぱいに目に映る季節です。お元気でお過ごしですか? きっと、それぞれの立場でいろんな不便や苦労に向き合い、折り合いをつけながらの日々ではないかな、と想像しています。
私たち編集部は、3月下旬あたりから段階的に在宅勤務態勢に入り、6号は校正作業をメールなどでやり取りして進め、たがいにほとんど顔を合わさずに校了しました。こんなことは初めてです。
振り返って思うのは、確かに困難はあったけれども、手抜きはなかったな、ということ。いつもと変わらずに、いや、いつも以上にしつこく、あきらめ悪く、みなでギリギリまで推敲してつくりあげた号です。
どうか、みなさんのお手元に無事に届きますように。気分がふさぎがちな、苦しみの多い日々のなか、この一冊が少しでも役立つことができますように。そう胸の内で唱えて、朝昼晩と切れ目なく校正紙に向き合っていた気がします。

私自身は、在宅勤務のこの2カ月ばかり、気持ちが落ち込むことが何度かありました。6号のつくり込みがしんどかったこともありますが、次の7号で準備していた取材撮影をいくつも中止せざるを得なくなり、一冊の設計図をかなり変えなければならなくなったからです。
本来なら、「やりたいこと、やるべきこと」から企画を考えるべきなのに、「この状況下でもなんとかできること」から考え始めなければならない不自由さ、不自然さ。しかし当然ですが、埋め草的な記事はつくりたくない。さあ、どうしよう。どうしたらいいだろう。めずらしく、追い詰められました。
でも、ある晩、疲れ切って寝床に入ったときに、ふと思ったのです。自分はこれまでそんなに、順風満帆で、欠けることのない人生を送ってきただろうか。そんなわけがない。じゃあ、ここで一つ二つ、道をとざされたくらいで、何かが大きく損なわれたような気分になるのは、まったく甘いんじゃないかな、と。
みなさんは、ある日突然に「暮らし」が足元からぐらりと揺らぎ、途方に暮れたことはあるでしょうか。私は一度だけあります。もう遠い昔、大学に進学する前年のことですが、父親が病に倒れ、たった2カ月半ばかりの闘病の末に亡くなったのです。人生の短さに、自分の暮らしの弱さに、目がくらむようでした。思うような道に進めたのは、手を差しのべてくれる人がいて、また、いくつかの幸運が重なった、ただそれだけのことです。
いま、仕事を失って困窮したり、店を開けられずに負債を抱えたり、アルバイトができずに学業をあきらめざるを得ないなど、心底困り、途方に暮れている人たちがいます。他人事じゃない、と思うのです。全員が、区別されることなく、一刻も早く救われてほしい。携わる仕事によって、「役に立つ」「役に立たない」と、人を区別しないでほしい。たとえ自分も苦しく、助けるだけのゆとりは持てなかったとしても、人の暮らしを思いやる想像力を失いたくない。そう思います。

ここでは、もっと希望の持てるような明るくて前向きな話題、暮らしに役立つようなことを綴れたら、と思って何度かトライしたのですが、ごめんなさい、力不足で、まとまらない話になりました。
このところ、なぜかしきりに胸に浮かぶ詩があります。茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」。あまりに有名な詩ですから、ごく一部だけ引用します。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
(中略)
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
 
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

たとえままならない状況下でも、雑誌をつくり、受け止めてくれる人がいる、それはなんて幸せなことだろうと感じます。『暮しの手帖』はそもそも、終戦から間もないまだ貧しい時代に、人びとが新しい暮らしの価値観を模索するなかに生まれた雑誌です。弱い立場から懸命に声を上げて、ささやかだけれど、かけがえのない暮らしのために知恵と工夫を紡いでいく。そんな自分たちの出自を忘れずにやっていけたらと思います。
悩みや苦しみは深くても、そこから何かをつかめることを信じて。どうか、心身すこやかにお過ごしください。

『暮しの手帖』編集長 北川史織

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校了を目前とした4月下旬頃、同僚の上野さんから届いた、手づくりのガーゼマスク。つけると気持ちが明るくなります。

・海外宛の定期購読発送について 重要なお知らせ

2020年05月21日

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、
各国・地域において、国際郵便物の受け入れ停止等の措置が取られております。
そのため、日本から発送する国際郵便物の一部につきまして、
日本郵便による引き受けが停止されております。

「SAL便」は、全ての国・地域宛の引き受けが停止、
「航空便」「船便」につきましても、一部の国・地域宛の引き受けが停止
となっております。
詳しくは、下記の日本郵便ホームページをご覧ください。
国際郵便物の一時引き受け停止および遅延等について(日本郵便ホームページ)
https://www.post.japanpost.jp/int/information/2020/0423_01.html

『暮しの手帖5号』(2020年4-5月号)
3月19日に定期発送を行いましたが、
航空機の大幅な減便により、一部当社に返送されております。

『暮しの手帖6号』(2020年6-7月号)
引き受け停止に該当する国・地域にお住まいのお客様へは、
日本郵便による引き受けが再開され次第、お送りいたします。

5号の返送分と6号以降の新刊につきまして
「航空便」での発送が可能な国・地域宛でしたら、
「SAL便」でご予約いただいているお客様へも、
航空便に変更してお送りいたします(その際の送料の差額は小社が負担いたします)。
SAL便・航空便ともに発送が不可能な国・地域にお住まいのお客様へは、
日本郵便による引き受けが再開され次第、お送りいたします。

お届けが遅れますこと、心よりお詫び申し上げます。
ご不明な点がございましたら、営業企画部(eigyo2@kurashi-no-techo.co.jp)まで
お問い合わせください。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解いただけますようお願い申し上げます。

やさしさに包まれます

2020年04月14日

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やさしさに包まれます
(5号「ハンドマッサージを身につけよう」)

突然ですが、マッサージはお好きですか?
私は「特別なところで受けるもの」
というイメージがあって、あまり馴染みがありません。
街中でマッサージ屋さんを見かけても、
「いいなあ」と思いながらも素通りしています。

今回ご紹介するハンドマッサージは、
いつでも・どこでも・誰にでもできる、とても身近な技です。
教えてくださったのは、アロマセラピストの森聖子さん。
森さん自身、都内のサロンに勤務するかたわら、ボランティアとして
いろんな人の手に触れてきました。
まずは編集部で実践してもらい、その様子を取材しました。
大切なのは技術云々ではなく、手の感触にあるのだそう。
「難しいことは考えず、まずは触れてみることから」と森さんはおっしゃいます。
実際に私も受けてみましたが、森さんの手は本当に柔らかく、温かいのです。
両手で20分、心が満たされて、幸せな気持ちでいっぱいになりました。
誌面では、そんなハンドマッサージのコツや手順を丁寧に紹介しています。

この記事をつくっていたときは想像もつかなかったことですが、
いま、新型コロナウイルスが流行しています。
ハンドマッサージをする際は、手洗いやアルコール消毒を心がけていただけたら幸いです。
(担当:中村)

暮しの手帖だよりVol.20 spring 2020

2020年04月10日

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絵 堀内誠一

心が塞ぎがちないまだからこそ、
日々の暮らしを大切にしたい。
春、まっさらな気持ちを呼び覚ます、
新鮮味のある企画をそろえました。

文・北川史織(『暮しの手帖』編集長)

 

あれは確か正月三が日あたりのこと、本棚の奥から引っ張り出して久しぶりに読んだ本があります。
沢村貞子さんの随筆集『私の台所』(暮しの手帖社刊/現在品切れ)。赤い更紗模様の装釘はかなり色あせていて、裏には100円の値札が貼りついたままです。私がこの本を古本屋で買ったのは、もう20年以上前、二十歳の頃でした。
親元を離れて、自活の一歩を踏み出したあの頃。一口コンロのついた、おままごとみたいなミニキッチンで料理するのも、掃除や洗濯も、ごみ出しさえも新鮮で楽しかった、あの頃。
自分の「暮らし」というものをおずおずと築き始めたばかりの私にとって、沢村さんが描きだす年季の入った暮らしの味わい方は、ただ想像をめぐらせて憧れる世界でした。
たとえば、ドラマの収録で遅くなりそうなとき、沢村さんはお弁当をこしらえていくのですが、その献立は、青豆ご飯、みそ漬けの鰆の焼物、庭で摘んだ木の芽をのせた鶏の治部煮、菜の花漬けやお新香など、旬の味覚がちょっとずつ詰まっていて、たまらなく美味しそうなのです。
塗りのお弁当箱は、深夜に帰宅したらすぐにぬるま湯で洗って拭き、きちんと乾かしておく。ああ、どんなに忙しくても、こうして暮らしを慈しむって、素敵だな。こんな大人になれたらな。ワンルームのアパートで、若かった私はため息をつきながら読んだものでした。
翻っていま、そんな暮らしが築けているかと言えば、いやはや、これがまったくなのです。
それでも、慌ただしい一日の終わりに簡素な食事をつくり、好きな器に盛ってもぐもぐと味わっていると、じんわりと幸せを感じ、また明日も頑張ろうと思える……そんな心持ちは、この本が育ててくれた気がします。

 

*

 



さて、今号の巻頭の言葉は、この随筆集の一編「あきていませんか」から文章を引いて綴ってみました。
沢村さんのような人でさえ、毎日同じことをくり返していると、気持ちがドンヨリと淀むことがある。そんなときは、「どんな小さなことでもいい、とにかく目先きをかえることである」と彼女は書いています。
それで思い当たるのは、朝ごはん。ついルーティンでお定まりのメニューを並べ、内心飽きながら食べてはいませんか? 
一つ目の料理企画「つながる朝ごはん」では、料理家の手島幸子さんが10年来実践している朝食の知恵をお伝えしています。
たとえば、豚肉をまとめてゆでておき、ある日はみそ汁に入れて豚汁風にし、またある日は、さっと炒めてしょうが焼きにする。野菜は買ってきた日に切ったりゆでたりと下ごしらえをして、数日にわたって使う。
そんな工夫で、旬を感じられるさまざまな献立を、毎朝15分くらいでととのえているのです。
「こんなまめまめしいこと、自分には無理!」と思うかもしれませんが、ご紹介するアイデアから一つでも試してみると、その便利さに気づくはず。私は夕ごはんに活用しています。

 

**

 

「春野菜をシンプルに食べたい」では、新じゃが、菜の花、新にんじん、うどなど6種の春野菜の、ごく簡潔な調理法を長尾智子さんに教わりました。特別な調味料やスパイスは使っていないのに、なぜか洒落た味わいで、まさに「目先きをかえる」料理ばかり。
私が何度もつくっているのは菜の花のソテー。にんにくの香りをうつした油でじりじりと焼くだけですが、半熟玉子をソース代わりにいただくと、とても美味しいのです。
そのほか、「ラム肉料理入門」は、最近入手しやすくなったラムチョップやラムのうす切り肉、ステーキ用のもも肉で、照り焼きや焼きそばといった親しみやすいメニューをつくるご提案です。
「ラムはちょっと苦手」という方、騙されたと思って、ぜひお試しください。

 

***

 

すっかり暖かくなってきたこの頃、シャツやカットソーの出番ですね。お手持ちのシャツなどに、たんぽぽの花や綿毛、ツリーなどの愛らしい刺繍をほどこして、また新鮮な気持ちで着てみませんか? 
「ちいさな刺繍で春じたく」は、そんな手芸の企画です。指導してくださったのは、神戸のファッションブランド「アトリエナルセ」デザイナーの成瀬文子さん。
ご自身がお子さんの持ち物に気ままに楽しんで刺してきたそうで、今回の刺繍もむずかしい技法は使っていません。サテン・ステッチで十字に刺すだけの、大人っぽいモチーフも素敵です。


 

****

 

「40歳からの、自由になるメイク」は、『暮しの手帖』にはちょっと珍しい企画だと思われるかもしれませんね。
でも、メイクもお洒落の一つですし、ときにはこれまでのやり方を変えてみると、新しい気持ちで自分に向き合えるかも。毎朝、惰性や義務感でメイクをするのは、なんだかもったいないと思うのです。
ヘアメイクアップアーティストの草場妙子さんが教えてくださったのは、眉、肌、リップに焦点をあてた、ミニマムなメイクです。ファンデーションは驚くほど薄づきですが、肌本来のつやが生かされて、みずみずしく見える。アイラインは省いてもマスカラをしっかり塗ることで、目元がきりっとする。
私はもともと、ミニマムならぬ朝5分の手抜きメイクをしてきたのですが(笑)、教えていただいた方法を意識したら、手順がよりシンプルになったぶん、一つひとつを丁寧にやってみようという気持ちになりました。
単なるノウハウではなく、読んで「なるほどなあ」という勘所をつかみ、自分に合わせて生かせる、そんな頁になっています。

 

*****

 

最後にご紹介したいのは、「子どもの虐待を、『かわいそう』で終わらせない」。
「虐待」と聞くと、「なぜこんなことがくり返されるのか」と怒りを感じる方も多いかもしれません。あるいは、子育て中であるなら、「他人事じゃない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回の企画は、虐待をされた人をさまざまに支援している高橋亜美さんと、虐待をしてきた人の回復をサポートする森田ゆりさんへの取材を軸にしています。
なぜ虐待は起こるのだろう? それはあくまで家庭内の問題で、当人たちが向き合えばいいことなのだろうか。社会のなかの一人として、私たちができることはあるのだろうか。たとえ、自分は虐待をしていなくても、子どもがいないとしても。
簡単には解決できない問題ではありますが、そんなことを考えながらお読みいただけたらと思います。

 

******

 

いまは新型コロナウイルスの影響で、大変つらい思いをされている方も数多くいらっしゃいます。外出もためらわれ、先が見えない状況のなか、どうにも欝々とした気分になりがちですね。
こうした状況だからこそ、自分たちの暮らしにじっくりと向き合い、いろいろなことを見つめ直してみるのはどうだろう。私はそう考えています。自分の手で毎日の食事をつくる意味。食材や日用品がふつうに手に入るありがたさ。
情報に踊らされず、他者に不寛容にならず、背すじをすっと伸ばして、日々を大切に歩んでいけたらと願うばかりです。
私たちのつくったこの一冊が、何かしらのヒントになれたら幸せです。どうか、心身健やかにお過ごしください。

 

下記の見開きページの画像をクリックすると、拡大画面でご覧いただけます。

 

◎リーフレット「暮しの手帖だより」は、一部書店店頭にて配布しています。
印刷される場合は、下記のトンボ付きPDFをダウンロードし、A3で両面カラー印刷されると四つ折りリーフレットが作れます。

・暮しの手帖だよりVol.20 PDFをダウンロード

春の装いに、心浮き立つ刺繍を

2020年04月10日

10刺繍DSC_0097春の装いに、心浮き立つ刺繍を
(5号「ちいさな刺繍で春じたく」)

今日はちょっと元気を出したいという時や、ここぞという大切な時に、
手に取るハンカチがあります。
それは、成瀬文子さんがデザインを手がける「アトリエナルセ」の
月の刺繍のハンカチです。
こんなふうに心が浮き立つ刺繍を、身近なアイテムに刺すことができたら――。
そんな思いから、今回の企画は始まりました。

誌面では、ふわふわと舞い飛ぶたんぽぽの綿毛や、
花びらの数が少しずつ異なる小花、前述の月のモチーフなど、
どこか有機的だったり、遊び心が感じられる図案をご紹介しています。

「刺繍というと、図案通りにきっちり刺さなければと
考える方も多いと思いますが、今回ご紹介する図案はシンプルなものが多いので、
布地にざっくりと写し、あとは全体のバランスを見ながら
自由に刺していただいたら」と成瀬さん。
その言葉を思い出しながら実際に刺してみると、
「木の枝葉の伸び方を少し変えてみようかな。
この花は、花びらを6つにしてみようかな……」と、
どんどん楽しくなっていきました。

まずは、お好きな図案をひとつ、お手元のシャツや靴下、カットソーなどに
刺してみていただけたらと思います。
お子さんのものに刺すのも、おすすめですよ。
(担当:井田)

実は、いろんなメニューに使えます

2020年04月09日

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実は、いろんなメニューに使えます
(5号「ラム肉料理入門」)

最近スーパーで、ラム肉のうす切りやラムチョップを目にすることが増えてきました。
レストランでラム肉のメニューを見かけると、迷わず注文するほど好きなのですが、
家で料理するとなると、さて、どうやって使ったらいいものか……。
豚肉や鶏肉のようには、メニューが浮かびません。

そこで、かれこれ20年以上前からご自宅でラム肉を使って料理を作り続けているという、
料理家のMakoさんを訪ねました。
すると、回鍋肉やから揚げ、ドライカレー、焼きそばなど、
親しみのある定番メニューのほか、
ハーブパン粉焼きやステーキなど手軽に作れるごちそうまで、
次々とメニュー案をあげてくださいました。

どれも絶品でしたが、なかでも驚きだったのが、回鍋肉と焼きそばです。
これからはラム肉で作るぞ! と心に誓うほどのおいしさで、
「ラムはクセがあるから苦手」という編集部員も、試作した料理を喜んで食べてくれました。
ぜひ、今夜のおかずにお試しください。
(担当:井田)

自分の家を持つってどういうこと?

2020年04月07日

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自分の家を持つってどういうこと?
(5号「ぼくらが家について考えたこと」)

唐突ですが、我が家は3年前にマンションを購入しました。
通勤には1時間ほどかかりますが、子どもが通う小学校までは徒歩2分、最寄り駅まで徒歩6分。徒歩圏内においしいベーグル屋さんとインドカレー屋さんがあります。
家を持つとき、わが家が重視したのは、慣れ親しんだ生活圏から外れないことでした。
そのためには、多少部屋が狭くとも眺望が悪くとも目をつぶろう、と思えたのです。

我が家に限らず、人は家を建てたり買ったりするとき、
「これまで何を大切に暮らしてきたか」を振り返り、そして「これからどんな暮らしを築いていきたいか」に思いを巡らせるのではないでしょうか。
子育てのこと、両親のこと、仕事のこと、地域のこと……。
暮らしの軸は人ぞれぞれ、家という場所に何を求めるかもそれぞれ異なります。

このページでは、ともに40代で子育て真っ最中、そして自分の家を持ったばかりという共通点のある、
絵本作家のきくちちきさんと写真家の平野太呂さんに対談していただきました。
自身が子どもの頃の経験や、仕事のこと、ローンのこと、子育てのことなど、
家を持つときに考えた様々な事柄を、ざっくばらんに語ってくださっています。
平野さんが撮影した写真にも、それぞれの家族の個性があふれ出ていますので、
じっくりご覧ください。
(担当:田村)

これでもう迷いません

2020年04月03日

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これでもう迷いません
(5号「味つけ便利帖」)

これの分量、なんだっけ。
それまでリズミカルに動いていた手が止まり、
急いで料理本の頁をめくる――。
なかなか見つからず、諦めて記憶任せに調味したら、
味がぼんやりしていたり、甘すぎたり、塩からかったり……。
そんな経験はありませんか? 

この企画では、
「よく作るのに、なかなか思い出せない、“あの味”の調味料の配合」を、
ひと目でわかるように一覧にまとめました。
教えてくださったのは、料理家の大庭英子さん。
水からできるめんつゆや、具材がうま味になる炊き込みご飯、
肉や魚にも合う照り焼きのタレなど、和洋中8種類の調味料の配合を
作りやすく指導してくださいました。
また、くぼあやこさんによる料理のイラストは
グラタンの焦げ具合がなんともリアルだったりと、食欲をそそります。
ぜひ頁のコピーをとり、台所の片隅や冷蔵庫の扉に貼り付けてご活用ください。(担当:中村)


暮しの手帖社 今日の編集部